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第13話 大地盾哉は怒りを覚える。

 週明け、学校が始まった。

 僕はいつも通り学校に赴き、教室へと向かう。

 いつも通り授業を行ない、いつも通り昼食を取る。

 ……だけど、いつものように話し掛けてくれる先輩が居なかった。

「先輩、熱下がらなかったのかな……」

 小さく呟きながら、僕は昼食を食べるけれど……あまり美味しいと思えなかった。

 どうしてだろうか……そう思いながら正面を見るけれど、そこには誰も居ない。

『まったく後輩君は、女性にそう言うのはどうかと思うよ?』

『私が変な食べ方をしてても別に良いじゃないか』

『キミは気にせず戻りたまえ』

 正面でいつもの様に呆れた様子で僕を見ていた先輩の姿が頭の中に思い出される。

 先輩に会いたい。何故だかそう思えてしまい、僕は食事をそこそこに先輩のクラスへと向かう事にした。

 もしかすると教室のほうに居るかも知れないし。

 そんな期待を抱きながら僕は歩き出した。


「すみませーん、先輩……えっと、神林先輩はいますか?」

 先輩のクラスに到着すると中へと入らず、入口から周りに聞こえるように声をかけた。

 すると数名のクラスの女性が反応した。

「あー、天才? ねー、天才見たー?」

「わたしは見てないや。またいつものようにエスケープしてたんじゃないの?」

「え、アタシは海外旅行に言ったって聞いたけどー?」

「ま、どっちにしろ居ないってことだよね!」

『『アハハハハハハハハハハッ!!』』

 クラスの女性達の反応、それは天才天才と言っているけれどバカにしてるように見えた。

 なんだか……腹が立つ。

「それで、今日先輩は休みなんですか?」

「休みなんじゃないの? アタシらは見てないからさー」

「このまま来なけりゃ良いんだけどねー、天才が動くたびに先生達ビクビクしてるよ。まさに天災!」

「なにそれうけるー!」

 何が楽しいのかケラケラと楽しそうに笑い始めた。

 何で先輩がそこまでバカにされないといけないのだろうか?

 先輩をネタに馬鹿みたいに笑う女性達へと怒鳴りつけようとした僕だったが、彼女達の一人が何かに気づいたように声を上げた。

「あ、てかこの子って噂のナンパ王じゃない?」

「えー、あのうわさの? やだうけるー!」

「ヒョロそうな感じなのに色んな子に声かけてるんだって? アタシはこんなの無理だわー」

「わたしだったらもっと筋肉質の大人が良いわー」

 ……そんな風に僕を値踏みするようにしながら笑う女性達に対し、僕が思うのはこっちこそ貴方達はお断りだ。という想いだった。

 そして話にならないと判断した僕は、笑い転げる女性達(バカ)を無視して教室へと戻った。


「……どうしたんだ? なんつーか、いつものアホさが無いぞ?」

 苛立ちながら席に座ると心配そうに隣の席の友人が僕を見ていた。

 彼にそう言われて少し……いや、かなり苛立っていたのを理解し、息を吐いた。

「ごめん、ちょっと先輩の教室に行ってイラッとしてた」

「あー……、お前って女性が貶されるのは腹が立つ人間だったなー。やってる事がアレすぎるっていうのに」

 僕の言葉に理解したのか友人は苦笑しながらこちらを見る。

 あと自分でも相手を傷つけてるかも知れないって思ってはいるんだぞ?

「それで女性を貶されたって……、もしかしなくても神林先輩のことか?」

「うん、先輩……天才だけど調子乗りすぎてるってクラスでバカにされてたんだよ」

「……あーうん、部活の先輩に聞いたんだけどさ、神林先輩って天才で顔は良いけど、性格がすごく最悪だから周りに嫌われているんだってよ。自分の研究にしか興味が無い、授業中に勝手に抜け出す。周りを見下すような話し方……数えるとキリが無いって。まあ、本人は気にしていないみたいだけどさ」

 僕の前で言うべきじゃない、そう思っているのか友人は気まずそうに僕に部活の先輩に聞いた先輩の評判を口にしていく。

 それを聞き、僕は顔を悲しげに歪ませる。

 当たり前だ。いつも世話になっている先輩がそんな風にバカにされていたのを知ったのだから。

 でも、どうすることも出来ないという歯痒さも感じてしまう。

「どうにか、出来ないのかな? 先輩も普通の女性なんだからさ……」

「あー、無理じゃないのか? 悪評は一日二日で出来たもんじゃないだろうしさ」

「そうか……、でも先輩がそんな風に思われてるのは……なんか嫌だな」

 呟きながら僕は先輩の事を考える。

 自分に対して親身になってくれて、恋路を応援してくれる優しい先輩なのにな……。

 どうにかして、先輩が周りと仲良く出来る様になれば良いのに。

 そう思いながら、僕は午後の授業開始のチャイムを耳にした。

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