第14話 神林葛葉は笑みを浮かべる。
「はぁ……今ごろ後輩君はどうしてるだろうか……」
休み明けの月曜日、私は学校に行かずにベッドで眠っていた。
視界に見えるのは生まれてから見慣れた天井。
正直学校へは行けると思うけれど、足はまだちょっと痛い。
だから大事を取って休むこととなった。
「だけど……少々ヒマではないか?」
静かな室内でボーっとしながら私は呟く。けれど、呟きに反応してくれる者はいない。
まあ別に構わないけれど。そう思いつつベッドに寝転がると……ふいに「先輩」といつも声をかけてくる後輩君の姿が浮かんだ。
…………彼の姿を思い出した瞬間、何だか怖くなってしまった。
誰かの手を握りたい、人肌に触れたい。そんな想いだ。
……まさか、まさかこれが。
「さびしい、ということか?」
ぽつり、と呟いた瞬間、私の頭と心は寂しいという感情を理解してしまった。
けれど家の中には今は私しか居ない。外も敷地が広いというのと会社員が多い住宅街だからか、人の気配はあまり感じられない。
そう思ってしまうと、寂しさと誰かに会いたいと言う恐怖が体を襲い始めた。
諸葉、はまだ授業中だ。帰ってくるのは夕方だし、両親は元から家には居ない。
時計を見ると……もうすぐおやつの時刻だった。
学校のほうではこの時間帯に、購買で購入したお菓子を摘みながら実験を度々しているけれど……今回は家なのだ、実験も何も出来やしない。
いや、それ以前に研究対象である後輩君は学校だから、何も出来ることは無いのだ。
「……後輩君は、また誰かに声をかけたのだろうか? 次は何年何組のどのような子だろうな……」
文系か、理系か、体育系か……、髪は長いのだろうか、短いのだろうか、それとも普通の長さか……、顔は可愛い系か、カッコイイ系か、性格はおっとりなのか、ズバズバ物を言う性格か……。
色々と考えが膨らんでいく。……膨らんでいくのだが。
「なんだろうか、この……胸に、ムカムカとした感情は……それに後輩君が頭から離れない…………たくましかったな」
あの時、水族館でナンパをしてきた男から私を助けてくれた腕は、とても強く感じられた。
普通の体型で、私なんて持ち上げるのは難しいだろうと思われていたのに彼はヒョイと私を抱き抱えたし……、負ぶってくれた。
『先輩は重くなんてないですよ?』
「~~~~~~っ!!」
頭の中に後輩君が言った言葉が思い出されると、私の顔は一気に熱くなってしまった。
わ、私は軽くなんてないと言うのに、彼は……彼は、もうっ、もうっ!!
なんと言うかムカムカしていた胸の奥がもにゃ~ってし始め、私はゴロゴロベッドの上で転がる。
が、その結果痛めた足が衝撃を受けたらしい。足に痛みが走った
「あいたっ、いたたたたたた……っ!」
足を押さえながら丸まりつつ、しばらくそのままの体勢を意地していたが痛みが引いてきたので丸まっていた体を戻す。
ふぅ……気をつけないとな。
そう思っていると、ブッという震動と短い音がスマートフォンから発せられ、メール着信を知らせた。
「……誰からだ?」
スマートフォンの設定で迷惑メールなどは排除している設定となっているから、このようになるのはあまり無い。
諸葉だろうか、と思いながらメールを開くと……。
「こ、後輩君からっ?! ど、どういうことだ……あ、そうだった。アドレスは一応交換してたんだ。ああ、でも、いったいなんのようなんだい??」
どきどきしながら、メールを開く。……後輩君はどんなメールを送ってきたのだろうか。
気になる。そう思いながらメールの中身を見た。
【先輩、今日休みですか?】
「ただの安否確認か……、まあ返事を返そう」
休みだよ。と返信を送るとすぐに返事が返ってきた。
【そうですか……。早く治って戻ってくるのを待ってます】
返ってきた後輩君のメールは当たり障りの無い文章だけれど、なんと言うか心配そうにしている様子が浮かんだ。
そう思うと、何だか寂しいと言う感情が薄れて行くのを感じた……。
「……後輩君、もう少し心配しているとかそんな感じに女性を労わるようなメールをくれないと女性は靡かないぞ。ふふっ」
呟き、小さく笑いながら私はベッドに寝転んだ。
いちおう書くだけ書いてみた感なので、しばらくしたらまた書くかもって感じですね。




