リベンジ
今話タイトルは「リベンジ」です。
そんなことを話している内に、すっかり夕方になってしまった。永井家は、もう既に最終の電車には間に合わない。そんなこともあろうかと、音子に先に断って、着替えを持ってきている。加古家と森家も、一部屋ずつ、使ってもいいと音子が言ってくれたので、今日は、全員泊まることになった。
「音子ちゃん、キッチンを使ってもいいかしら? 私たち、遙にお昼のリベンジをしたいの」
「祈裡さんのカレーと、一樹さんのシチューですね。是非本物も味わってみたいです」
話し合いの中で、祈裡と一樹からは音子ちゃん、音子からは祈裡さん、一樹さんで呼び合うことにしていた。
「さあ、そうと決まれば早速材料調達よ、祈裡ちゃん」
「あ……一樹ちゃん、盛り上がりすぎて大事なことを忘れていたわ」
「なに? 祈裡ちゃん」
そう、カレーを作るうえで欠かせないもの。
「スパイスを持ってきていないわ」
「…………」
「…………」
「え? い、祈裡さん?」
「ごめん、音子ちゃん。粉末のスパイスって置いてないかしら?」
「私はスパイスからは作らないから……。この辺りでそんな本格志向のお店は……、ん?」
呉葉に後ろからちょんと服を引かれて振り返る音子。目を輝かせる呉葉を見た祈裡は、すこし期待のこもった眼差しになった。
「私が、色んなものを乾燥させて粉末にしたものがあります。それを使えないでしょうか?」
なんと、意外なところに救世主がいたのである。
「これは……なんとも斬新なカレーができそうね……」
そこに、今度は夕日がやってきた。
「ごめんなさい、呉葉が変わった趣味のものを……。スーパーの近くに二十一時までやっているスパイス専門店があるので、材料調達の帰りにでも、遠回りにならない道がありますので、案内します」
夕日はまともな回答を持っていた。やはり(?)呉葉より頼りになると思った音子だった。
スーパーからの帰り道。
「こんなにたくさんでこのお値段! しかも、うちの近くのお店よりも品揃え豊富! 香りもいいわ。赤字にならないの?」
「奥さん、カレー屋でも始めるつもりかい?」
「いいえ。でも、この人は、一流料亭でもなきゃ引けをとらないわよ」
「やめてよ一樹ちゃん」
祈裡は大量のスパイスに囲まれて、いつになくハイテンションである。
大量の買い物をして、大満足で帰ってきた一行。真っ先に一樹が言ったのは……、
「ハル、お昼のリベンジよ。私たちのオリジナルなんだから。レシピは非公開だから、入ってこないでね」
である。当然、音子と呉葉も追い出され、美樹さえも入れてもらえなかった上に、未来也と美樹に、これから出すメニューについて何も喋らないように、緘口令をだした。
前回の次回予告では、例のアレができるはずだったのですが、意外と文字数が多かったので、今回はここで区切りです。申し訳ありません。
呉葉が変な行動を起こしていましたね。自分で粉末にしてスパイスっぽく使おうという……。ただ、水気の多いものって、普通に置いとくとシオシオになっちゃいますよね。どうやったんでしょうか、ちょっと気になりますね……。
カラッカラに干して、もはや生薬みたいになってたりして……。妄想はここまでにしましょうか。
次話タイトル(予定)は、「カモカチュー」です。
本当に味と材料の保障はしないので、やるなら自己責任でお願いします。
カチュー作ってみたよー・・・なんて方がいらっしゃいましたら、味と感想をいただけたら嬉しいです(笑)




