呉葉の料理
今話タイトルは「呉葉の料理」です。
ついに、呉葉がうどんを作ります!
「ただいま~。みんな、ちょっと手伝ってー」
帰ってきた未来也の母に呼ばれると、
「どうしたんですか、こんなにたくさん……」
呉葉は唖然としている。
「失敗しても大丈夫なように多めに買ってしまったのだけれど、一回でできてしまったらどうしましょう?」
呉葉はなんだか嬉しそうな顔になった。
「おうどんの材料ですね! お手伝いします!」
うどんは未来也の母の得意料理の一つ。ということは、美樹の家では食べることはできない。
「小母さまは、おうどんもとってもおいしいのよ?」
美樹も興奮気味である。
「私のおうどんは、中学生のときに友人に教えてもらったものなのよ。遙、元気かな~」
どうでもいいことだが、未来也の母の口調が一晩たって完全にくだけたものになっている。
「遙さんとは、どんな方なのですか?」
「遙とは中学一年のときに知り合って、三年間で一番の友達だったわ。別々の高校にあがってすっかり疎遠になってしまったから三十二年くらいかしら? まったく連絡を取り合っていないから、もう忘れられてしまったかもしれないわね。私も、たった今思い出したくらいだもの。
遙はとにかく料理が上手で、絶対に勝てないな~って、思ったくらいよ」
そう言うと、買い物袋から粉を取り出して作り始めた。未来也、美樹、夕日は邪魔になってはいけないと、早々に未来也の部屋に退散している。
「未来也くんと森さんは、料理上手なの?」
「僕はやらないな」
「私は少しくらいなら。それと、未来也様ができなくても、私ができれば問題ありませんわ」
今すぐにでも結婚すればいいのに、と思った夕日だった。
「いや、それなら僕も母さんに料理教わろうかな。そうすれば、美樹と一緒に楽しめることが増えるし」
「そうでしたら、私がもっと上手くなって未来也様に教えて差し上げます! そのほうが、一緒に楽しむ時間も増えます!」
美樹はなにやら張り切っている。
「ありがとう美樹。それじゃあ、教えてもらえるまで待っているよ」
「そうそう、そういえば夕日さんは、お料理はするの?」
「……実は、呉葉より上手くできると自負してる」
だったら夕日も手伝えば、夕日も同じものが作れていいんじゃないか、と思った未来也だった。
「呉葉は僕と一緒に料理するのを嫌がるんだよ」
未来也の表情から疑問を読み取った夕日が答えた。
「では、呉葉さんは夕日さんに見せられないほどの腕前ということ?」
「いや、別にお金を取ろうとかいうんじゃなければ、どこに出しても大丈夫なレベルだよ。ただ、教わり始めのときに鍋をひっくり返したらしくてね。一緒にいたら大やけどさせたかもしれないって、一緒にやらせてもらえないんだよ」
呉葉ならそれくらい日常茶飯事だろう、と思った未来也と美樹であったが、ぎりぎりで表情を隠せたらしい。夕日からは何も言われなかった。
しばらくして、美樹が進み具合を見に行くと、呉葉と一緒にできあがったうどんを持って戻ってきた。時間はちょうど十二時。呉葉がなんだかんだやって調節したのだろう。
「呉葉、なにか収穫はあった?」
「うちとは少し手順が違ったわ。味は、まだ確かめていないのだけれど」
みんなで「いただきます」と唱和して食べ始める。
「これは! 悠くんのお母さんのおうどん?」
「そんなことはないと思うのだけれど……。もしかして、悠さんのお母様の旧姓は『十和乃』?」
未来也の母が突如として現れた。
「そこまでは分かりませんが、名前はたしか、『はるか』さんだったと思います」
呉葉は驚いてむせ返ってしまったので、夕日が代わりに答えた。
「な、なんで夕日、が、そんなこ、こと、知ってるの、よ」
むせていたので苦しいらしい。言葉が途切れ途切れである。
「一応付き合い長いんだから、覚えとこうよ。呉葉」
納葵家と永井家の付き合いは、かれこれ十七年である。
うどんを作りました呉葉ですが、描写は他三人でした。残念!
理由は……うどんなんて作ったことがないからです!(威張るなよ)
さて、『十和乃遙』さんという人が出てきました。未来也の母の中学の親友だそうですね。
まあ、たぶん分かるとは思いますが、詳細はまだです。
一応、こんな設定でした。
呉葉が鍋をひっくり返したときは、たまたま音子が離れていて、夕日は宿題をやっていたため、呉葉がとっさに避けたことによって誰も怪我をしなかったそうです。(キッチンのスペース的に、逃げ場は一方向)
納葵家と永井家というか、音子と悠の母の付き合いが十七年です。
次話タイトルは「帰宅」です。
ついに本編最終話!
悠、呉葉と夕日、美樹がそれぞれの家に帰り着きます。2013.9.23 19:55




