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噂の動物屋敷  作者: 鵠っち
日常~動物屋敷へ~
25/50

内緒話

 今話タイトルは「内緒話」です。


 どんな内緒話なんでしょうか。

 朝食の席には呉葉と夕日、悠が先に着いていた。今日の朝食は、食パンと昨日余ったカレーだ。

「昨日からおいしいものしか食べていないわ! なんて幸せなのかしら!」

 呉葉は大げさすぎだと夕日はおもったが、確かに、昨日からおいしいものしか食べていない。

「そんなに感激していただけるのは、とても嬉しいわ。毎日食べにいらしてもいいわよ」

「そんなことをしたら姉さんが悲しんでしまいます」

「それもそうね。ああ、音子さんにお会いするのが楽しみだわ」


 食事の後、未来也の部屋にて。

「そういえば、昔からお互いの家にお泊りしているって言っていたけど、いつもは何をしているの? ざっと見回しても、遊ぶものは見当たらないけど」

 悠は呉葉から視線を逸らした。

「本当に、悠さんと同じことを聞くのね」

「悠くんも聞いたの? さっき目を逸らしたのはそのせい?」

 呉葉は納得したようにうなずいた。

「それじゃあ、悠さんにまたテストをします」

「たしか、お喋りをしてるだけ、だったよね」

「正解。悠さんの記憶力は案外侮れないわね」

 美樹がさらりとひどいことを言った気がするが、誰も気にしなかった。

「それを聞くとますます、ラブラブなカップルにしか思えないのだけれど……」

 未来也の母は嬉しそうだ。

「っ! いつからそこに……?」

 夕日はとても驚いている。いつの間にか真後ろにいたのだから仕方がない。

「悠さんが呉葉さんから目を逸らしたあたりよ。中学校の途中までは、どうやって帰ろうかというくらいにべったりだったのに、いつの間にか人の目は気にするようになったのね」

「やっぱり、あたしたちで敵う相手ではなかったわね、夕日。それで、どれくらいべったりだったんですか?」

 呉葉は、ふと気になってしまったようだ。未来也の母は、未来也と美樹に目配せした。

「今……ですか?」

「お願いできるかしら? 私の口からはちょっと……」

「……分かりました」

 二人はベッドに座り、片方の手をとって指を絡めた。未来也のもう片方の手は美樹の腰の辺りに、美樹は未来也の胸の辺りにおく。見詰め合う二人の唇は、今にも触れそうである。

 余談だが、この部屋は布団を敷くこともあるが、ベッドもある。

「……近すぎませんか?」

 悠が小声で未来也の母に尋ねた。

「帰ろうにも、あんな雰囲気のところに割って入る勇気ある? 私たちには誰もそんな勇気はなかった」

 未来也の母が、悠たちに小声で返した。

「では、どうしていたのですか?」

 今度は夕日が尋ねた。

「仕方がないから、一晩預けて帰ることにしたのよ」

 呉葉が「なるほど」と納得気にうなずいた。

「それで、昔からよくお泊りしていたのですね。お互いの服が置いてあるのも」

 呉葉と夕日、悠は未来也の母から次の言葉を待った。

「それにしても、未だに一緒にお風呂に入っているようだけど、恥ずかしくはないのかしら?」

「そんなの今更だ、とか言いそうですよね。あの二人」

 悠が言うと、全員で未来也と美樹のほうを振り返った。

 未来也と美樹は、そこに人がいることを忘れて、二人の世界に入ってしまっている。

「あれって……唇触れてるよね……」

 悠が誰にともなく言った。

「夕日、あたしたちもあんな風にしてみる?」

「絶対に恥ずかしいよ……」

 呉葉の問いかけ、というより願望は、夕日に拒否されてしまった。呉葉は少し残念そうである。

「それにしても、いつも二人で何を話しているのでしょうねぇ。いつも一緒にいて、よく話題が尽きないものだわ」

 そこで、みんながいることを思い出して、美樹が唇を離した。

「ご、ごめんなさい。……話が盛り上がってしまって……」

 一秒、一瞬たりとも話をしているようには見えなかった。

「声なんて聞こえなかったし、そもそも口は塞がっていたじゃないか。どうやって話をしていたんだ?」

 なので、悠の、ひいてはみんなの疑問はもっともである。そこで、未来也と美樹は繋いでいる手をあげてみせた。

「こうやって話しているんだよ」

 組んだ指のうち人差し指、中指、薬指を不規則にトントン、と叩いている。

「まあ、みきやさまったらぁ!」

 美樹は顔を真っ赤にして甘い声をだした。そのことに、さらに恥ずかしそうに顔を(うつむ)ける。

「……今、なんて言ったんだい?」

 夕日は興味津々に聞いた。

「美樹がこんなになった言葉が聞きたいのか?」

「モールス信号かなにかかな? まあ、そうであっても僕には分からないけど」

 悠が言ったことはある意味では正解、ある意味では間違いである。

「モールス信号とか、手旗信号とかを参考に、というか着想はそこだ。でも、これは僕らのオリジナル。あらゆる文字や記号をパターン化したんだよ」

「……なんだか分からないけど、すごいんだな」

 悠はものすごく感心しているようだ。

「いつからでしたっけ? 未来也様がお考えになったのは。確か、十二年前……でしたか?」

「え?! 五歳の子どもが考えるには複雑すぎない?」

 夕日も驚いている。呉葉と未来也の母はすでに何がすごいのか、分かっていないようだ。

「考え始めたのは、さらに半年くらい前だな。今でも、一、二週間に一回くらいで変化させてる」

 それを完璧に覚えきる未来也と美樹の頭の中が見てみたい、と思う一同であった。

 また2,000文字を超えました。このところ、長いです。

 前書きにて内緒話の内容が気になった方、ごめんなさい。内緒話の方法でした。


 今話は、朝食後、しばらく雑談でした。雑談、まだまだ続きます。


 次話(予定)タイトルは「呉葉ちゃん……」です。

 呉葉が少し呆れられてしまいます。

 そして、悠が帰ります。といいつつ、家に着くのは夕方過ぎですので、まだ帰り着きませんが。

 呉葉の呆れられる原因のセリフですが、いまだもうちょっとどうにかならないだろうか、と考え中です。「R15」でいいのだろうかと。たぶん考えてもどうにもならないので、そのまま投稿すると思います。ダメそうだったら教えてください。

 呉葉が幸せそう、という今話のテンションからの次話です。2013.9.19 19:30

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