動物屋敷へ
今話タイトルは「動物屋敷へ」です。
ついに『動物屋敷』到着! なんですが……。
「午後も探しに行くのかい?」
食事のあと、悠の母がおもむろに尋ねた。
「うん、もう少し探してみようと思う、みんな、いつ頃行く?」
「早めに出たほうがいいだろうな」
「そうね。そうと決まればさっさと出発しましょう」
しばらく歩くと、案外あっさり見つけることができた。時刻は午後一時くらい。
「ここが悠が言っていた『動物屋敷』なのか?」
「そうだと思う。……さ、早速入ってみようよ!」
悠は随分と興奮しているようだ。
「ここが、泊まっていくと死んでしまうお屋敷? 随分と豪華なお屋敷なのね」
呉葉と夕日は何も言わない。何か言うと、なんだか空々しくなりそうだからだ。
呉葉と夕日の心配をよそに、一向は進んでいく。
「おじゃましまーす……」
返事がない。どうやらだれもいないらしい。
「土間がないな。このままあがっていいのか?」
そのレンガ調の建物の中はホテルみたいな感じ。玄関からは吹き抜けでロビーのようになっていて、正面の奥に螺旋階段があり、二階につながっている。
「これは……? いったい何かしら?」
美樹が何かを拾い上げると、どうやら小動物の骨のようで、よくみると同じようなものがあちこちに散らばっている。未来也は美樹に近づくと、固まっている美樹の手からそっとソレを取り上げ、そこで我に返った美樹は、珍しく赤面している。
ちなみに、悠は壁際で頭を抱えている。
……どうやら二人には刺激が強すぎたようだ。
「これは……細工物か? 本物をじっくり見たことはないから何ともいえないけど」
「誰もいないにしては、随分綺麗に片付いているわね」
正気に戻った美樹がつぶやいた。が、片付いてはいないと思う一同。……美樹はまだ動揺しているらしい。
「まあ、目立った埃は見当たらないから、掃除はされているみたいだな。
とすると、この大量の骨は何だ? 悪趣味すぎるだろう」
部屋の隅で那子がクスクス笑っているのは呉葉と夕日にしか分からない。
「未来也、ここは『動物屋敷』と呼ばれていた家だ。その動物たちの死骸だろう」
どうやら悠も戻ってきたようだ。だが、住んでいた動物の死骸、ではない。
短くない時間、沈黙が続いた。
「せっかくだから、みんなで中を見てみようよ」
呉葉と夕日は少しためらっていたが、異を唱えることはしなかった。
だいぶ時間が経ち、もうすぐ日が暮れそうである。
「なぁ、本当かどうか試してみないか?」
悠が言ったのと、ガチャン! と何かが割れる音は同時だった。
「悠、お前は自殺願望でもあるのか?」
「い、いや、そんなことはないけど……」
前者に対しては反応があったが、後者のほうは誰も気にしていない。古い家だからどこかで何かが壊れたのだろう、くらいにしか思っていない。
――呉葉と夕日は心の中で「ドンマイ、那子姉」と言っておいた。これで聞こえている……はずである。
那子が寂しそうな顔をしているのは呉葉と夕日しか知らない。
「あの、ちょっといいかしら?」
話しかけるタイミングを計っていた呉葉と夕日が、少しの間ができたことでようやく美樹に目配せをした。
「あの、実は、何もなかったらと思って、キミちゃんのお母様にお夕食を用意していただいているのだけど……」
なんで呼び方がコロコロとかわるのだろう、と思っている納葵姉弟であった。
「それで、昨日はあんなに買い物をしていたのか」
未来也は納得気に頷いた。
「ごめんね悠くん。これについては僕が提案したんだ」
「美樹ちゃんを責めないでね? あたしが、秘密にしておきましょう、って言ったの」
悠は、納得いかない、という顔をしている。
「そういうことならいいけど。でも、なんでウチなんだ? 美樹の家のほうが広いぞ?」
「うん、悠くんが美樹さんの家に行ったことがあるから、今度は三人とも行ったことがない未来也くんの家にしようと思って」
もうちょっと理由はあるが言えるはずもないので、夕日は前もって用意していた無難な言い訳を言った。
「そうと決まったら、さっさとこのお屋敷から出ましょう。日が落ちると出られなくなるって話よ」
立ち話で時間が過ぎていたので、もう夕方である。早くしないと拙いことになるので、呉葉はみんなを促した。
ついに『動物屋敷』に到着しましたが、お話のメインではないのでさっさと過ぎ去っていきます。
あと何話か、自分でも把握していませんが、本編は終わりへと差し掛かっております。
本編後、そのあとのお話(章が変わる予定です)で終わりとなります。
先に言うと、「このお話、何が言いたいんだろう?」ってのはそこにでてきます。
こんな設定でした。
最後のほうの『もうちょっと理由はあるが~』の理由ですが、本編10話4「双子の計画」にあった通り、『未来也の母と約束すれば、美樹はその約束を破れないだろう』というものです。既出でした。
ええと、次話ですが、たしか短かったはずです。
例によって、タイトルがつき次第投稿します。2013.5.31 20:55




