永井家にて
今話タイトルは「永井家にて」です。
お昼のめにぅは……?
永井家につくと、悠の母が出迎えてくれた。
「いらっしゃい。そろそろ来るころだろうと思ってたよ」
「初めまして。悠くんのクラスメートの加古未来也と森美樹です」
「初めまして、小母さま。森美樹といいます」
「私が悠の母親さ。
二人のことは悠から聞いているよ。なんでも、ものすごくラブラブなカップルだそうじゃないか」
未来也も美樹も、焦るどころか、顔を赤くすることすらしない。
「そんな、カップルだなんて。……ねぇ、未来也さん」
「そうだな。僕たち別に付き合ってるとかじゃないんですよ。幼馴染です」
初めて会う悠の母以外、全員呆気にとられていた。
「美樹ちゃん? 今、『未来也さん』って……」
「おや? どうかしたのかい、呉葉ちゃん?
美樹さんは随分と礼儀正しいお嬢さんじゃないか」
「でも、いつもは『キ……』」
「そんなことを言ったら、呉葉さんと夕日さんだって、十分にラブラブじゃないですか」
夕日が言おうとしたことを遮って、美樹は無理やりに話の矛先を変えた。
「悠の話によると、納葵ちゃんとこよりもすごいって話だったが、そうか。
じゃあ、ウチの悠はどうだい? 未来也くんと比べるとアレだが、見てくれは悪くないだろう?」
「見た目で選んでいるわけではありません。だけど、私には未来也さんだけですから」
こんなことを恥ずかしげもなく言う美樹に、今度は悠の母も驚いている。
「あれ、でもこの間『何人に告白された』って張り合ってなかった?」
夕日の疑問は当然のことのように思うが、二人とも気にしていない。
ちなみに、悠の母は早くも驚きすぎて、感情の揺れが少なくなっている。
これは、一学期の終業式の前日に大勢のクラスメートに目撃されていて、実は、中学生のときにも、何度か目撃報告がある。
「美樹は人気者だしな。中学二年のときだったか? 二週間で百回以上とかあったな」
「未来也さんだって、去年は一週間で五十回に届きそうだったじゃありませんか」
ほとんどが言葉をなくしている中、一人口を開いたのは呉葉。
「ねえ夕日? あたしたちも今度やってみましょうよ」
「無理だよ呉葉。僕たちに声をかけてくる人自体、一週間で三十人くらいじゃないか」
しばらく沈黙が続いたあと、悠の母が「お昼でもどうかね?」と言ったところで、重苦しい空気が幾分かやわらいだ。
「大したもんではないけど、これでいいかね?」
そう言われて出されたのはうどん。涼を感じる盛り付けが施されている。
「っ! おいしい! お母さん、これは!?」
呉葉の好物の一つがうどんである。このうどんは、そんな呉葉が今まで食べた中で、間違いなく一番である。
「そうか、呉葉ちゃんはうどん好きだったね。これはわたしが粉から挽いたうどんさ。やっぱり、違いが分かる人に食べてもらえるのは楽しいねぇ」
ちなみに、永井家の周りはほとんどが農家であるため、なんでもいいものが手に入るが、永井家は農家ではない。
余談だが、悠の母だけは美樹の「食べたことあるような……」という呟きが聞こえていた。
今話は、悠の母と未来也、美樹の顔合わせでした。
お昼のメニューは冷やしうどんですね。
悠の母が聞き取った美樹の最後のセリフは、人間関係に関するちょっとした伏線です。あまり直接的ではありませんが……。
え~っと、次話タイトルは、まだ決まっていません。
どんなお話かというと、『動物屋敷』に着いちゃうお話です。
見た感じ、結構長めです。(改行が多いだけかもしれませんが……)
タイトルが決まり次第投稿したいと思います。2013.5.12 16:25




