ガロス、渋々ながらも陥落(かわいい)
食堂の隅。
火魔法テストを終えたあと、ガロスは妙に落ち着かない様子で立っていた。
腕を組んではほどき、
足を踏み替え、
ちらちらとアリアを見ては目をそらす。
あきらかに“何か言いたいけど言えない”大男の図である。
アリア
「……何? 用があるなら言いなさいよ」
ガロス
「い、言うわ……!」
ドンッ、と胸を叩いて気合を入れたあと――
声を潜め、もごもごと呟く。
ガロス
「……アリア嬢。その……なんじゃ……」
アリア
「ん?」
ガロス
「最近、膝が痛くない。
――野菜、ちょっとだけ……悪くない……」
その瞬間、周囲の騎士が一斉に振り返った。
騎士A
「い、今……なんて……?」
騎士B
「騎士長が……野菜を……?」
アリアはふっと柔らかく笑う。
アリア
「素直に『ありがとう』って言っていいのよ?」
ガロス
「ぬぉぉぉ!! そ、そんな恥ずかしいこと言えるかぁぁ!!」
耳まで真っ赤にしながら吠えるガロス。
その巨体が照れて縮こまる様子は、
どう見ても大型犬そのもので――
騎士C
「騎士長が健康になっていく……!」
騎士D
「よかったなあ、膝……!」
ルチア
「お嬢様、また一人“生活習慣改革”の味方が増えましたね!」
アリア
「なんか私、どんどん
**“王国の保健委員長”**みたいになってるんだけど……」
しかしその声には、どこか誇らしげな響きがあった。
アリアの小さな改革は、また一つ、確かな実を結んだのだった。




