しかし、アリアが“魔力姿勢”チェックした結果…
アリアはため息をひとつつき、
騎士長ガロスの背後に回り込むと――
そっと指先で背筋に触れた。
その瞬間、アリアの動きが止まる。
アリア
「…………え?」
騎士たち
(ん?)
アリア
「ガロスさん……これ……」
そっと、背中を押してもまったく動かない。
まるで石板か、古代遺跡の壁のような硬さ。
アリア
「背中、板みたいに固いわね。
魔力の通り道……完全に詰まってるわ。」
ガロス
「なにぃ!? ワシの背中は“岩”じゃ!! 誇るべき硬さじゃろ!」
アリア
「誇ったらダメなやつよ!!
岩=通らないの!!」
ガロス
「なん……じゃと……?」
アリアは姿勢を正し、指で背骨のラインをなぞる。
そこに本来流れるはずの魔力が、
ゴロゴロと渋滞して震えているのが見える。
アリア
「ほら、魔力が“渋滞”してる。
道が細くなってるのよ。
これじゃ火魔法が真っすぐ飛ぶわけないわ。」
ルチア
「お嬢様、計測しますね!」
ルチアが魔力計測器をガロスの背に当てると――
ビュンッ! ガタガタガタガタ!!
針が左右に暴れ、ほとんど音を立てそうな勢いで跳ねた。
ルチア
「お、お嬢様……!
この方、火魔法の軌道が“常に5度ズレてます”!」
騎士たち
「5度!?」
「だから訓練場の壁、いつも焦げてたのか!」
「俺の盾も数回焦げたぞ!」
ガロス
「むぅ!? そ、そんなバカな……
ワシは……いつも……真っすぐ……!」
アリア
「(いや、真っすぐ飛んでたこと一度もなさそう……)」
ガロスは頑固な眉をひそめながらも、
計測器の針の暴れっぷりを見て
さすがに言い訳ができない顔をした。
アリア
「ガロスさん。
肉が悪いんじゃないの。
“姿勢と硬さ”が魔力制御を邪魔してるの。」
ガロス
「…………ぬ、ぬぅ……!」
圧倒的事実を突きつけられ、
頑固者の騎士長が人生で初めて、
“沈黙”という敗北を味わうのだった。




