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土御門ラヴァーズ  作者: 猫又
第三章

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陸の式は六神

「賢兄、和泉ちゃんの側にいてあげたら? 今は力が出ないだろう? 俺と陸で時逆のおばあさんを破れるかどうかは分からないけど、最終的に狙いが和泉ちゃんなら、側にいたほうがいいと思う」

 と仁が言った。

「そうだな」

 賢はそう言って、ゆっくりと立ち上がった。

 食事もとってなければ、睡眠もほぼまる二日近く寝ていない。

 その上怪我をしているので体調は最悪だった。霊能力の安定はおろか、式をうまく操れるかどうかも危うい。

 賢が二階の和泉が寝ている部屋を覗くと、

「何だ、お前ら」

 赤狼をはじめとして、黒凱や白露、青帝までが心配そうに和泉の枕元に座っていた。

「和泉ちゃん、随分と式に懐かれてるんだね」

 と陸が言った。

「そんな力が残ってるなら、仁の助っ人に行ってくれよ」

 と賢が言うと、赤狼はごほごほっと咳き込み、銀猫はぐーーーーーっと寝たふりをし、青帝は「あいたたた、腰が」と言った。

「じゃあ、俺が仁兄の助っ人に行くよ」

 くすくすと笑いながら、陸が立ち上がった。

「すまん、陸」

「いーって、アッキーナ! 行くよ~」

「はいさ!」

 つーっと天井から赤蜘蛛が下りてきて陸の頭の上にぽんと落ちた。

「あんたぁ! 行ってくるよ!」

「ああ、がんばれ、かーちゃん」

 と茶蜘蛛が答えてから、「うちのかーちゃんは元気だなぁ」とつぶやいた。

 賢が和泉の顔をのぞき込むように見ると、和泉の耳元で小さな蛇が一巻き半くらいのとぐろを巻いていた。

「お前も心配か」

 と賢が言うと、水蛇がうんうんとうなずいて見せた。

「誰か外の様子を探ってこれる元気はあるか?」

 賢は眠っている和泉の側に座ってから式達を見回した。

「ほな、行ってきまっさ」

 と声がした。姿はないが、特徴のある方言は紫亀である。

「頼む、参戦はしなくていいぞ」

「頼まれても無理でんがな、あいたたたた」

 紫亀の気配消えると銀猫が、

「若様も少し横になったらいい」

 と言った。

「ああ」

「身体を休めて少しでも回復しないと、仁様、陸様で加寿子様を破れるかねえ」

「ゼッチョウキノカズコサマハドンナイリョクダッタンダ?」

 と赤狼が口を挟んだ。

「ギンネコナラシッテルダロウ」

「そりゃあ、恐ろしい人だったさ。霊能力の高さは若様には適わないが、上手に使い分けるお人だった。燃費がいいっていうのかねぇ」

 と言う銀猫の言葉に賢が笑った。

「銀猫の言う通りだ。確かにばーさんは燃費がいい能力者だったよ。少しの能力で大きな仕事をする人だった。俺や親父みたいにがーっと能力を目一杯使って疲労するのとは違う。俺たちの中じゃ陸が能力者としてはタイプが似てる」

「デハカナコカラウバッタトイウノウリョクトハ?」

「加奈子はまだ発展途上だったが、真面目にやれば高い能力者になっただろう。残念ながら、幼い頃から無駄にその能力を使っていた為に自分ではそう意識はなかった。だが、潜在意識での能力は仁とはるな。ばーさんがそれを手に入れたとなると、使い方次第では俺の上をいくだろう」

 式神達がざわっとなった。

「若様より上の能力者だなんて……そんな馬鹿な」

 と銀猫が言った。

「大丈夫でやんすよ。若様と仁様、陸様、と土御門のお三兄弟が揃ったでやんすから!」

 と茶蜘蛛が言った。

「ソウダ、チャクモノイウトオリダ。ジンサマトリクサマノシキガソロウンダ。マケハシナイ」

「だけど、若様は怪我をしてるんだよ。水蛇もこんなで、四神が揃わない。茶蜘蛛だって怪我をしてるじゃないか」

「あっしは大丈夫でやんすよ」

 狐に噛まれたせいで茶蜘蛛の足が一本ぐらぐらしている。新しい足の再生は可能だが、今はそれに力を使うと戦いに出られないので、そのままにしている。

 賢の怪我に使った茶蜘蛛軟膏で、とりあえずくっつけてある。


「いや~びっくりしたぁ」

 と声がして紫亀が戻ってきた。

「どうだった?」

「いやもう、びっくりでんな。外、真っ黒でっせ。真っ白な雪が見えんくらいに黒い狐どもで真っ黒。何千もいるんちゃうかな。茶蜘蛛の嫁はんががんばってたけどな」

「そうか」

「形勢はまだどうとも言えまへんな。仁様や陸様の式もがんばってはるし。そやけど、この建物を護るのに仁様の式ががんばってはる。そやから狐は陸様の式が担当や。陸様の式は六神やからなぁ。まあ、焦りは敵も同様みたいやけどな。仁様の護りは固いからな。そうそう破れんやろ。向こうは若様が怪我してるうちに結果出さなあかんしな。仁様と陸様の参戦は想定外やったようやで」

「若様、どうか今の内に眠って下さいな」

 と銀猫が心配そうに言った。

「そやで、若様、ちょっとでも回復しといてもらわな」

 他の者もうんうんとうなずく。

「分かったよ。お前達も休んでおけよ」 

 賢はため息をついて立ち上がった。

 緑鼬が「キキッ」と言い、つきそいながら部屋を出て行った。

「和泉どのが目を覚ましたら形勢は変わるだろう」

 と青帝が言った。

「なんでや?」

 と紫亀が聞いた。

「頭を飛ばされた水蛇を一から再生出来るほどの能力だ。若様の能力も再生して安定させる事が出来るはず」

「そうか! なら希望はあるな!」

「だから我々は何があっても和泉どのだけは護らねばならない」

 青帝の言葉に、眠り続ける和泉へ皆の視線が集まった。


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