こちらhawkeye(ホークアイ)
主人公の超能力名を「チート飛行」に変更しました。
僕の超能力――チート飛行は空中で座標を固定し、座標の数値をいじることで自由自在に移動することができる能力だ。だから、僕の中には疑似的な3つの舵が存在していることになる。
・前後に移動することができる垂直舵
・左右に移動することができる並行舵
・上下に移動することができる昇降舵
もちろん、これらを操作するために必要な座標情報、数値は頭に入っている。というか、僕は自分自身の現在位置を完璧に把握することができる。
緋奈ちゃんに吹き飛ばされた僕は咄嗟に能力を発動し、放物線を描いていた体は空中でピタリと止まった。
えっと、僕は空から不良を探さなきゃいけないんだよな……なら、高さは200ft(約60m)くらいがいいか。
| | | |8| |川|
|0|1|6| |・|川|ft
| | | |9| |川|
脳内に存在する高度計がカラカラと回転を始め、同時に僕の体は急上昇していく。
その間、僕は慣性も風圧も感じないから、まるで地面が自ら遠ざかっていってしまうように見える。
緋奈ちゃんの方に振り返ってみると、スマホを持った右手を掲げてブンブンと振っているのが見えた。
掛けろってことかな。
「もしもし?」
『良かったわ、腕が真っ黒に焦げる前に気づいてくれて』
「そっちから掛ければいいじゃないか」
『私はあんたの能力をよく知らないもの。驚いて落っこちたりでもされたら困るわ』
この子なりの気遣いなのかな。そう思うことにしよう。
「それで、僕はこれからどうすればいい」
『どうしてそこまで私が指示しないといけないの。好きな方法で探せば?』
「……それもそうだな」
『見つけたらまた連絡しなさい、じゃ』
切られた。
この物言いに思うところはあるが、今は怒っていても仕方がない。
……探すか。
――――――――――
捜索開始から10分足らず。目的の不良共は思いの他すぐに見つかった。
『早いわね。これって送られてき――』
「こちらhawkeye。HQ(司令部)、HQ、応答願う」
『……は?』
返ってきた緋奈ちゃんの声色が冷たい。だが、男子としてここで引くわけにはいかない。
「そちらに送信した位置情報――point-candystore(駄菓子屋)にて、target-yankeeを補足した」
『普通に喋りなさいよ』
「しかも奴ら、kid(子供)を囲んでやがる。HQ、至急指示を乞う」
『……』
次はどうすればいいんだ。早く教えてくれ。このままでは罪のない小学生がカツアゲされてしまう。
『駄菓子屋近くのコンビニでまず落ち合いましょ』
「roger。target-yankeeの監視は続行しつつ、point-711でのrendezvous(合流)に備える。hawkeye over(以上)」
よし、緋奈ちゃんがセブンに到着したらそこの駐車場にでも降りるか。
――――――――――
「あんたねぇ……」
「はい……すみません……」
僕はやってきた緋奈ちゃんに物凄い視線を向けられることとなった。
いや、ちょっとした悪ふざけじゃないか。こういうのやってみたかったんだよ。男子なら憧れるだろ?
「はぁぁ……さっさと行くわよ。子供が囲まれてるのよね」
「ああ。見ていた限り暴力を振るわれている様子は無かったが……」
肩を突き飛ばされたりなどはしていなかったが、なにせ相手は不良だ。どんな蛮行に出るか分からない。
「急ぎましょ!」
「おう!」
両手でドレスの裾を持って走り出した緋奈ちゃん。
意外と足早いな……。僕もこの子に置いていかれまいと全力で走る。
「あれ、そういやさっきまで持ってた日傘はどうしたんだ」
「あの日傘は私の血で作った創造物よ。だから、体内に収納できるの」
へー、成程。
全く理解はできなかったが……兎に角、吸血鬼って凄いんだな。




