誰だ雑にキャラ設定したやつは
「おかえりなさ~い、2人とも~」
事務所に戻ると鍵が掛かっていなかった。ということは、既に中に人がいるということだ。
そういえば社長と緋奈ちゃん以外の人にまだ会ってないな。
……なんて、そんなことを思っていると、開いた扉の先にあったのは――
おっぱい。
いや、これだと語弊があるな。ちゃんと服は着ている。ただ、その服というのが胸元の大きく開いたメイド服であった。そして何よりそのサイズが半端なかった。
今の瞬間を擬音語、擬態語で表すと、ガチャ→ポヨ~ンだ。
……僕は何を言っているんだ。
ギリッ。
隣で何か歯ぎしりの様な音が聞こえた気もするが……まあ気のせいだろう。
「あら、あなたが翔君ね! 社長から話は聞いているわ。ささ、話は中でしましょ。入って入って!」
肩をガシッと捕まれ、室内へと連行される僕。
あの、後頭部に何かたわわなモノが当たってるのですが、これは当てているんでしょうか。
「んふふ~。新人だ、新人だぁ、か~わいいな~」
いや、多分違うな。うん。
あと、僕の心拍数を読んでさり気なく背後で「iE」を錬るのはやめてくれないか、緋奈ちゃん。これは不可抗力だ。
「社長、2人が帰ってきましたよ!」
「おや、おかえり2人とも。初仕事ご苦労さん」
社長はデスクに座って何やら事務仕事をしているようだった。
そして、その後ろに隠れているちびっ子が2人。
「おかえりなさい、です」
「なのです」
小学校低学年くらいだろうか。緋奈ちゃんよりも小さい。可愛い。
「子供に欲情するなんて変態ね」
「な、何を仰るやら」
背後から聞こえる声が怖い。怖すぎて振り返れない。
「皆、新しく入ってくれた翔君に自己紹介してもらえるかな」
社長に促され、1人ずつ自己紹介が始まる。
「はいは~い、私はJeanne de l'Archange。この町の守護天使メイドよ~! 気軽にジャンヌ、って呼んでね♡」
守護天使メイド。何を言っているんだ。属性は多ければ多い程いいってモンじゃないんだぞ。
「何言ってるのよ高橋 ヰネさん」
「その名前で呼ぶのはやめてよ~緋奈ちゃ――」
「あ゛!?」
「ヒッ……ごめんちゃい……」
厨二病設定が被っているじゃないか。誰だこんな雑にキャラ設定したやつは。
それにしても、飛び跳ねる度に胸が揺れるのはどうにかならないものか。男子高校生には刺激が強すぎる。
「ほら、2人も隠れていないで。ごめんねぇ翔君、この子たちは人見知りなんだ」
ヰネさんの自己紹介が終わっても一向に社長の後ろから出てこないちびっ子たち。
「……ふじた コクです。いちねんせいです」
「ふじた ハクです。おにいとおんなじいちねんせいです」
「自己紹介出来たじゃないか、偉いねぇ」
社長が両手で頭を撫でると、緊張していたであろう2人は同時ににへらと破顔する。可愛い。
「この2人は双子でね、まだまだ働ける歳じゃないからお手伝いというていでうちの事務所に置いているんだけど。それでも重要な戦力なんだ。因みに、漢字はコクが黒で、ハクが白だね」
この2人も超能力者なのだろう。まだこんなにも幼いというのに大変だな。
それにしても、この会社はこれだけの超能力者を集めて一体何と戦おうとしているんだ。
「僕とスィンジェちゃんとジャンヌさんとコクとハク。あと今日は非番でいないけど神崎 真人君っていう大学生もいるよ。この事務所の人間はこれで全員だ。改めてよろしくね、翔君」
にっこりと温和な笑顔で差し出された社長の手を掴む。
社長、緋奈ちゃん、ヰネさん、コク、ハク、そしてまだ見ぬ神崎さん。なんて個性豊かな面子だろう。僕はこの会社の1員になるんだ。なんて楽しそうな毎日だろう。あぁ、とても――
不安だ。
これにて第1章完結でございます。
毎日更新もこれで終わります。また気が向いたら、第2章の内容を思いつきましたら行き当たりばったり毎日更新再開します。ここまでお付き合いいただきありがとうございました。




