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48歳からの大人バレエ ~うちのママに天才バレリーナが憑依しちゃいました~  作者: 明けの明星


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お誕生日会と家庭の事情

夫の帰国と飲み会がバッティング

「幸子さん、真理さんのお誕生日会のお知らせ」

そんな題名のメールが、いずみ先生のバレエクラスの大人生徒たちに一斉送信された。


以前から計画されていた、同じ月に誕生日を迎える幸子と真理を一緒にお祝いしようと言う企画だ。

レッスン仲間である、あかりが幹事をかって出てくれている。


次の週末、時間は夕方から。

「飲み会」にしては少し早い集合だが、出席者のほとんどは家庭を持つ身、あまり遅くならず帰宅できる時間設定にしたのだ。


そして、場所は落ち着いた雰囲気の焼き鳥屋だ。

これは真理の希望を叶えたのだ。


「最終的な出欠を確認したいので、明後日までにお知らせください」

と最後に書かれているメール。


真理エリゼはすぐに、出席の旨をあかりに返信した。

そして、

「お店、ありがとう。あの焼き鳥屋さん行ってみたかったんだ」

と付け加えた。


あかりに返信メールを送った後、なにげなくスマホをみると、画面には、祥太からの着信アリ、とメッセージが出ていた。


気付かなかった。

なぜだろう。


そう思いながら、折り返す真理エリゼ

1コールもしない間に、祥太が電話に出た。


「あっ、ママ?」

と祥太の声だ。


「ごめん、気付かなくて出られなかった」

真理エリゼ


「帰国の日が決まったよ。金曜日に帰れる」

と電話口の祥太が言う。


「予定では再来週だったんだけど、都合で変わっちゃって」

と祥太。


「あ、そうなの」

真理エリゼはそう答えながら、思わずスケジュールを確認する。


祥太の話によると、滞在期間は金曜日から翌週の火曜日まで。

当初の予定より短くなった。


「急な変更だけどごめんね」

と祥太が言うが、


「家に帰るだけなんだから、謝る必要はないわよ」

と真理。


「和人にも連絡しておくわ」

真理エリゼが続ける。


「それから」

真理エリゼ


バレエクラスの仲間たちが企画してくれている「お誕生日会」が祥太の滞在中に重なってしまった。

それは伝えておかないと。


「そうなんだ、日にちはずらせないの?」

と事の次第を聞いた祥太が言った。


さすがにもう日を変えてもらう訳にはいかない。

それに、自分を祝ってもらう会だ、欠席するわけにもいかない。

それを話すと、


「そっか。予定を変えたのはこっちだから仕方ないね」

と祥太。

なんとか納得したようだ。


そんな会話をしている間に、息子、和人からの返信が届いた。


「日曜日帰って、月曜日までいる」

とこれだけ。

和人も忙しいのだろう。


その後、色々と話をした後、電話を切った。

エリゼが真理の思考を探る。

単身赴任の夫が帰宅する時のあれこれについて。


真理の本心はどこか嬉しそうだ。

それは感じている。


しかし、エリゼには不安な思いを感じている。

長年連れ添ってきた夫婦だ、今の真理に違和感を感じないだろうかと。


それから、真理は帰宅する祥太のために家の中を整え始めた。

あまり時間がない、出来ることはすぐに済ませておこう、そう思ったのだ。


真理の思考を参考に、家の中をいつもより丁寧に掃除した。

それから、祥太の部屋を換気し、布団類を洗う。


どうやら、真理と祥太の寝室は別なようだ。

これはエリゼからすると考えられないことなのだが、真理の本心は疑問に感じていないらしい。

「お国柄」というものなのだろうか。


真理の夫、祥太はその週の金曜日、帰国後会社に顔を出してからの帰宅、そして翌週月曜日に再度赴任先に戻る。


「はい、これ」

と舞香が一枚の紙をキッチンの冷蔵庫に張り付けた。


「パパのスケジュール」

と書かれている祥太が滞在中の予定表だ。


「いつも作ってたでしょう?」

と舞香。


「ああ、そうだったわね」

真理エリゼが曖昧に答えた。

真理の思考に、その記憶がなかったからだ。


金曜日:普通に夕食。(パパ含む)

土曜日:パパ、家でゆっくり。夕方ママ飲み会

日曜日:兄帰宅。ママのお誕生日会

月曜日:パパ、またね


と色とりどりのペンで書かれているカラフルな予定表だ。


「わかりやすい」

真理エリゼ


「ママの飲み会入れてくれてありがとう」

と土曜日の予定を指さしながら言った。


舞香にとっても久しぶりの父の帰宅。

それに兄も帰省し家族が揃う。


楽しみでしかない、はずなのに。

不安が募る舞香。


それは、やはり母が母ではないからだ。


「パパは異世界とか憑依とか言っても無理だよなあ」

と舞香。


父はあくまでも現実的だ。

母が誰かに乗っ取られている、そんなことを信じるはずがない。

母も自分も病院に連れていかれるだろう。


ここはやはり、母に、いや母の姿をした「誰か」に自分が気付いていることを伝えた方がいい。

そう決心した。


しかしそれを言い出すきっかけを見つけられず、時間は過ぎてゆき明日はもう父が帰宅する金曜日だ。

舞香は、その日の夕食後、真理に向かって静かに口を開いた。


「ねえ、ママの中にいる人。あなた誰なの?」

と。

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