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48歳からの大人バレエ ~うちのママに天才バレリーナが憑依しちゃいました~  作者: 明けの明星


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舞香の「確信」

舞香と久しぶりに再会の先生

スタジオ・アーツインのレッスンで、初中級クラスを受けてから数日が経っていた。

家での真理エリゼの様子を注意深く「観察」する舞香。


真理の中のエリゼ、という存在を確信している舞香。

舞香はこのテのイセカイモノ、アニメやゲームが大好きなのだ。


「こんわワクワクすることってないわ」

とすっかり楽しんでいる。

かつて、エリゼが舞香の身体に入り込んだ時、たいして驚きもしなかったのも頷ける。


しかし、気になっていることが。

エリゼはどういう形で母、真理の身体にいるのだろうか。

母は今どうなっているのだろうか。

そして、自分が母の中にいる「エリゼ」に気付いていると、知らせるべきかどうか。


「なんか、天国の門?とか言ってたし、エリゼだけで判断できることじゃないかもだしね」

と舞香。

以前、自分の中で、今の状況を話していたエリゼ。

しかし、今のままではその詳細を確認することはできない。


「まあ、いっか。このままで」

とあっさりこの状況を受け入れる舞香。


それよりも、復帰することが決まったバレエの事が気がかりだ。

まずは、あすか先生に会いに行かないと。

これをクリアしないことには先に進めない。


舞香は母にも言わずに、あすか先生にメールをした。

「お久しぶりです。お話したいことがあって、一度スタジオにお邪魔していいでしょうか」

と。


するとすぐに返信がきた。

「舞香ちゃん、元気にしていますか。いつでもいいわよ、ぜひ遊びに来てください」

とあすか先生から。


久しぶりに見る、絵文字の付いた可愛い文面。

なんだか安心した。


「もしよかったら、駅前のカフェでどうですか?スタジオだと誰かいたりして落ち着かないし」

と続けてメールが来た。


あすか先生も舞香が、自分の決意を伝えに来ることはわかっているようだ。

それならば、ゆっくりと話がしたい。

そんな配慮をしてくれたのだろう。


学校が早く終わる日の放課後、あすか先生にとってはレッスンの前となる時間に、スタジオに近い駅前のカフェで待ち合わせをした、舞香とあすか先生。


時間通りにカフェに着いた舞香。

広々とした店内は、平日の午後にしては賑わっていた。

店の奥、窓際のソファ席から手を振るのはあすか先生だ。


入り口で、自分の好きな飲み物を注文して、そのままあすか先生の元へ向かう舞香。

あすか先生と会うのは、バレエを辞めて以来だ。


「あの、お久しぶりです」

と少しかしこまってあすか先生に挨拶をする舞香。


「舞香ちゃん、すっかりお姉さんぽくなったわね」

とあすか先生が言う。


「そうかなあ」

と舞香。

舞香は高校の制服姿だが、中学の時とほぼ変わらないデザインで、身長もほんの少し伸びたくらいだ。

それほど、変わったようには思えない。


しばらく、それぞれの近状を話した。

あすか先生のバレエクラスでは、今また大きなコンクールを控えている生徒が何人かいて、

毎日、レッスンに励んでいること、舞香は高校生活を楽しんでいること、


そして。


「あの、私、もう一度バレエを習おうと思っているんです」

と切り出す舞香。


「でも、あすか先生のクラスには通えません。もうコンクール目指さないし。

だから、他の先生の元で、ゆっくりと踊りたいと思っています。それをあすか先生にはちゃんとお伝えしておきたくて。」

と舞香が言う。


「そう」

とあすか先生。


舞香は、そのあすか先生の顔をまともに見ることも出来ず下を向いていた。

あんなに、きっぱりと「バレエを辞めます」って宣言したのに、今こうやって「また踊りたい」と言っている自分が気恥ずかしい、そんな気持ちもあった。


「そうなんだ。で、何処でお稽古するの?」

とあすか先生。

舞香が拍子抜けするようなあっさりとした返事だ。


「康太先生のクラスに行こうと思っています」

と舞香が少し戸惑いながら答えた。


「そう、それはいいわね。舞香ちゃんも康太先生なら安心でしょう?」

とにこやかなあすか先生。


康太先生、舞香がバレエを辞める直前の発表会で、パートナーを務めてくれた先生でもある、あすか先生、いずみ先生の先輩ダンサーだ。


それから、あすか先生は特に舞香のバレエ復帰について、何かを言うわけでもなかった。

それでも、その表情はどことなく穏やかで嬉しそうだ。

その後、しばらくの間、あすか先生と舞香はバレエの事をあれこれと話した。

他愛もない、世間話をしているように。


小一時間経った頃、

「じゃあ、そろそろ」

と舞香が言った。

あすか先生も次の「教え」があるし、舞香もそろそろ家に帰る時間だ。


そうは言ったものの、思い出したように、


「あの、母はどんな感じですか?いずみ先生のクラスで」

と舞香。

バレエ教室での母の様子を聞いておきたかったのだ。


「ああ、舞香のママ、がんばってるわよ。特にこの前の合同発表会が終わってからかしら。

姉も驚いているくらい。なんだか、バレエへの愛がひしひしと伝わってくるくらい」

と笑顔で言うあすか先生。


それを聞いて舞香も思わず笑ってしまう。

スタジオでの母の姿が目に浮かぶようだ。


「それから、舞香のママ、動画の見過ぎなのかしら、かなりロワイヤルスタイルにこだわっているみたいだけど。これも、合同発表会の後辺りから、かしらね」

とあすか先生。


やはりそうだ、バレエを知る人にはすぐにわかる。

あの、ロワイヤルスタイル。

そして、エリゼが、信念をもってそれを貫いているということ。


「先生たちが、疑問を持つのも時間の問題かしたね」

と舞香は思う。


それはさすがに避けたい。

舞香は新たなる問題に直面したかのように、悶々と考え始めていた。

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