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48歳からの大人バレエ ~うちのママに天才バレリーナが憑依しちゃいました~  作者: 明けの明星


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初中級クラス、後半

意外な出会いに驚き

「え?大河君?」

と思わず驚きの声を上げた真理エリゼ


声をかけられ、振り向いてみるとそこにいたのは大西大河、真理の勤務先の若手社員だ。

かつて、海外留学までしたバレエ少年だったが、プロになる道を諦めて普通に就職。


しかし、バレエへの想いを完全に立つことは出来ずにいたところ、

偶然、真理が「大人バレエ」をやっていることを知ると、すぐに意気投合。

社内チャットで熱く語り合う「同士」なのだ。


「最近、僕もレッスンを再開したんですよ。ここはいい刺激になりますよね」

と大河。


今ここに居る受講者は女性が圧倒的に多いが、数名の男性もいる。

いずれも、プロまたはそれなりのレベルの様だ。


それでも、バレエは女性ダンサーを「前に」するのが礼儀。

こういう時は、男性は最後になるのが通例なのだ。


「さ、僕たちの番だ」

と大河が言う。


見ると、センターレッスンの最初、アダージオの稽古は1組目が終わり、次の組と入れ替わっている。

「後の組」とはいえ、ここはスタジオ・アーツイン。

基礎クラスガラ急遽変更の受講者は多少ためらっていたが、皆すんなりと立ち位置を決めた。


真理エリゼは、2列目、真ん中より少し左側をキープ。

無意識に、大河と一番遠い位置を選んでいた。


真由子は真理エリゼの斜め前にいる。

そう最前列だ。


ほどなくピアノ伴奏が始まる。

後ろでは、先ほど踊り終えた「一組目」の受講者が見つめている。

そこには舞香の姿も。


両手を外側から回して、最初のポーズをとる。

その時、真理エリゼは自然と少し上半身をひねり、首を腕に沿うように動かした。


「さあ、音をよく聞いて」

とエリゼ。

音楽を全身でとらえながら、ゆっくりと動かす。

エリゼが子供のころから、何度も繰り返してきた優雅なムーブメント。

真理の身体でも、これくらいならなんとかなる。


まあ、足は上がらない、背中もキープできない、

そもそも、足の指が使えない。

足首は固く、まるで動かないし、このルルベはなんだろうか。

足の指の根元がまるで曲がらず、かかとが上がらない。


エリゼの中では、この足で、バレエを踊ろうとすること自体、「無理がある」レベルだ。

真理の身体でバレエのレッスンをするようになって、何度も思い知らされる体の条件の違い。


それでも、エリゼは真理の身体を最大限に使い踊る。

地道なストレッチを日々のルーティーンとし、真理の身体も少しずつだが変化してきている。

何より、エリゼの「バレエの稽古」を真理の身体が拒んでいない、これは真理のバレエに対する思いそのものだ。


センターレッスンで最初にやるアダージオ。

少しぐらついたりしはしていたが、鏡に映る真理エリゼはそれなりに優雅な動きをしていた。


「まあ、よしっと」

真理エリゼも納得だ。


その後は、同じく二組に分かれての足さばきの練習や、小さなジャンプを組み合わせたステップなどが続いた。


このあたりから、二組目の受講者の中には、間違えたり、途中で止まってしまう者が現れ始めた。

ひとつひとつは基礎的な動きだが、それをつなぎ合わせるとかなり複雑な動きになる。


真由子も挫折組だった。

まるで、足の動きが間に合わない。

そして、順番も頭にも身体にも入ってこない。

もう苦笑いを通り越し、険しい顔で鏡の前に立っている。


「じゃあ、ピルエット、行きましょう」

と講師。

受講者たちは、自然とスタジオの左奥へと向かう。

そして、なんとなく列になる。


ピルエットは、片足で体の軸を保ちながら回るバレエの回転テクニックだ。

4,5人ずつスタジオを斜めに進みながら、助走のステップを踏みそれから、くるくると回る。


先頭は、流石に上級者だ。

くるくるくると、3回転も回っているのに、ぴたりと着地をしている。

いや、2組目も3組目も、軸がぶれることなく、綺麗に回転している。


そして、舞香と楓の番だ。

楓は、問題なく、3回転をきれいに回る。

舞香は、流石にそこまでは出来ず2回転だ。

それでも、綺麗に回り、優雅に着地していた。


そして、真理エリゼの番になった。

ふと見ると、同じ組に真由子もいるではないか。


真理エリゼは、身体を引き上げ軸がぶれないように、正しい形でゆっくりと一回転した。

まるで、お手本のようなピルエットだ。


真理エリゼたちの後ろは大河たち男性受講者が続いた。

さすがに、力強い回転で迫力がある。


そして、レッスンの最後になるグランワルツ。

講師が、簡単に振りを見せながら説明し、一度全員で振りを確認する。


ステップ自体は、難易度の高いものはないが先ほどまでと同様、複雑に組み合わされており、

右へ左へと移動する。

方向転換と、場所取りが大変だ。

間違えると、衝突しかねない。


しかし、受講者たちはワルツの調べに合わせて優雅に踊る。

まるで舞台の一コマを見ているようだ。


楓と舞香の順番となった。

真理エリゼはこの二人を自然と目で追っていた。

楓はもちろん、舞香も綺麗にまとめて、踊っている。


そして、真理エリゼたちだ。

エリゼからしたら、これくらいのステップの組み合わせは、特に問題ない。

いつもの稽古でごく当たり前に踊るレベルだ。

これを、真理の身体を使いどう、バレエらしく見せるか、それが問題だが。


「皆さんたちは、ここはピケターン1回で、それから振り返りのコントラターンはしなくていいわ」

と講師が、少し振りの修正をした。


皆さんたち。

真理たち、基礎クラスを受講予定だった受講者のことだ。


「出来る人は、やってくれていいからね」

と加える講師。

その視線が真理エリゼの方を向いていた。

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