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48歳からの大人バレエ ~うちのママに天才バレリーナが憑依しちゃいました~  作者: 明けの明星


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はじめてのスタジオ・アーツイン

知らないスタジオでのレッスン

スタジオ・アーツイン。

ここは、レベルの高いオープンクラスのバレエスタジオだ。


いくつものクラスがあるが、その受講者はみな本格的にバレエをやっている。

プロのバレリーナや、プロを目指す若者たちだ。


そのスタジオ・アーツインで、いずみ先生の友人が講師をしている。

基礎のクラスを担当しているというるみ先生だ。

スタジオ・アーツインの基礎クラス、難易度自体はいずみ先生のバレエクラスと大差がない。


「うちの生徒が一度、アーツインのレッスンを受けてみたいって言ってるのよね」

そんなことをいずみ先生から言われて、


「じゃあ、うちのクラスにくるといいわよ。面倒みるから」

とるみ先生が快く応じてくれたという。


その「うちの生徒」が真由子であり、

その真由子が、いずみ先生のバレエクラスの生徒たちのグループチャットで参加希望者を募ったと言うわけだ。


しかも誰でもOKではなく、人選にはかなりのこだわりがあるのは明らかだ。

自分と格段にレベルの差がなく、自分より年上か同年代、そして少し若いくらいまでなら許容。


そんな選抜を通過したのが、晴美とあかりだ。

真由子の年齢ははっきりわからないが、見たところ真理や晴美と同年代のようだ。


「それにしても、真由子さんいつの間にスタジオ・アーツインに行きたいってこと、いずみ先生に話していたのかしらね」

と晴美がそう真理にメールをした。


普段のバレエの稽古の時は、いずみ先生と話をするとしても、レッスンの前後くらいだ。

それに常に、数人がいるから個人的な話をすることはない。


「そのあたりも、今度探りを入れてみる」

と晴美。

三人でスタジオ・アーツインのレッスンに行くなら、その時が絶好のチャンスだ。


そして、予定通り、真由子、晴美、あかり、の三人でスタジオ・アーツインの基礎クラスに参加をした。

平日、夕方からと言う時間帯は、学校帰りの若手の姿も多かったという。


いつもの「あすかバレエスタジオ」の稽古場の三倍はありそうな大きなスタジオ。

それに生ピアノでの伴奏。

ここには、レッスンスタジオが4つほどあり、それぞれ大きなガラス窓が付いており廊下から中の様子を見ることが出来る。


受け付けて手続きを済ませて、更衣室で着替える。

そして、受講クラスがあるスタジオに移動するのだが、真由子たちの受ける基礎クラスは一番奥のスタジオだ。

他の3つのスタジオの様子を横目で見ながら、目的地まで進む。


「すごいわね」

と晴美が思わす声を漏らした。

最初に通りかかったのは、「上級者クラス」のレッスンが行われているスタジオだった。


「あの人」

とあかりが視線をむけたのは、現役で活躍するプロのバレリーナだった。

華があり、顔もかわいく、CMなどにも出演している人気者だ。


「レベル違いすぎるわよね」

と流石の真由子も及び腰だ。


それでも、

「でも、まあ、私たちが受けるのは基礎クラスだしね」

と強気で言った。


基礎クラスのあるスタジオの前には、すでに数人が待っていた。

まだ、前の「初級クラス」のレッスン中だ。


初級クラス、基礎クラスよりも少しレベルが高い講座、そんな印象だが窓ガラス越しに見る限り、

とんでもなくハイレベルだ。

難易度が高い、というよりも受講者のレベルが高い、そんな印象だ。


「ここに来てる人、全員バレリーナよね」

とあかり。


「なんで、ここに来ようと思ったの?」

と晴美が真由子に聞いた。


スタジオ・アーツインのレッスンが受けてみたい。

それをいずみ先生に伝えた、いきさつが知りたかったのだ。


「だって、最高のオープンクラスじゃない。受けてみる価値はあるかなって思ってて。

いずみさんに、聞いてみたら知り合いが講師やってるから、話つけてあげるって言われて」

と真由子。


いずみさん?


と晴美とあかりは内心首をかしげが。


「合同発表会の時、いずみさんが私のメイクをしてくれて、その時に結構話をしたのよね。

そうしたら、なんか意気投合しちゃって。

いずみさん、私より少し年下だけど、お互い独身だし、プライベートの話で盛り上がって」

と真由子が言う。


そういえば、いずみ先生のバレエクラスの生徒たち、ほぼ全員が家庭を持っている。

子供のいる者も多い。

稽古の前後に話すとき、ついつい家庭の話題が多い。

子供の学校や行事の事、旦那の愚痴、義実家の不満などなど。


それをいずみ先生は、笑顔で頷きながら聞いていたのだが、少しの疎外感があったようだ。

それを真由子には露土していたのだ。


「なんか、気が合うの。いずみさんと」

と真由子。

そう言った横顔は、自信に満ち溢れたいつもの真由子ではなく、寂しげで少し憂いをおびていた。


スタジオでは、前の初級クラスが終わった。

すぐにスタジオを出ることはせず、振りをさらったり、身体のストレッチをしている受講生が多い。

その傍らに、次の「基礎クラス」受ける生徒たちが入っていく。


窓側以外の壁にバーが取り付けてある。

常連の生徒たちは、バーでの立ち位置が決まっている様で、迷うことなく自分の場所に行く。


「あなたたちがいずみちゃんの生徒さんね」

講師であるるみ先生が声をかけてきた。


いずみ先生に似た、明るい感じの先生だ。

るみ先生は、壁側中央に真由子たちを連れて行った。


「今日初めての人たち、よろしくね」

と前後の受講生に言いながら、そのバーに付くように促するみ先生。

少々、恐縮しながらバーに付く晴美とあかり、真由子は委縮する素振りもなくストレッチを始めていた。


「あれ、あの人」

とその時あかりが言った。

その視線の先に、合同発表会の時に真理と親し気にしていた、「会社の同僚の若手」と聞いていた、

大西大河の姿があった。

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