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48歳からの大人バレエ ~うちのママに天才バレリーナが憑依しちゃいました~  作者: 明けの明星


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リハーサル

リハーサルも最終段階

パキータのリハーサルが終わると、そのまま舞台袖に残った真理たち。

他の出演者立も同様だ。


下手の舞台袖は、大道具などの保管スペースにもなっておりそこそこの広さがあるが、

出演者のほとんどがその場に集合して、かなりごった返していた。


このまま、グランドフィナーレのリハーサルとなる予定で、

全員がこの場に留まり、出番を待っている。


全てのリハーサルが終わり、次はグランドフィナーレだ。

その前に、客席にいる主催者であるのぞみ先生の声がマイク越しに聞こえてきた。


「みなさん、出の位置についてください」

と。


その声を聞いた、下手の舞台袖にいた出演者たちが、ざわざわと動き始めた。

真理たちも、今いるい逆側、上手からの登場だ。

急ぎ足で、舞台の後ろにある廊下を通り、上手に舞台袖に向かった。


「幸子さんたち、こっちに」

と舞台袖ぎりぎりにいた、のぞみか先生の助手が声をかけてきた。


先生たちは客席で、全体を見ながらリハーサルを見ているが、細かな指示や位置取りなどを助手と呼ばれている、アシスタント的な「先生」が請け負っているのだ。


そこまで大きな教室ではないからだろうか、

いずみ先生やあすか先生には助手と言う立場のアシスタントはいない。


あすか先生には小さい子から大学生までの生徒がいるが、補助的な役割は年上の生徒がやっている。

舞香も中学生になると、発表会では小学校低学年の子供たちの世話係もやっていた。


発表会では大役を踊ることが多かった舞香。

なかなか小さな生徒の事まで、気にかける余裕がなく真理が随分と手助けをしたのもだ。


ここは舞香も何度も舞台に立ったホールだ。

舞台裏側の細い廊下を小走りに歩きながら、舞香がチュチュからのぞくまっすぐな長い脚で同じこの廊下を歩いていたことを思い出す


グランドフィナーレの音楽が流れ始めた。

最初に舞台に登場するのは、幸子だ。


まずは8小節を聞いて、それからステップを踏みながら舞台へ。

なかなかこのタイミングを掴めず、出るのが遅れてしまった幸子だったが、

稽古を重ね、今では間違えることはなくなった。


このグランドフィナーレでも真理たちは最初に踊って、そのまま後ろに下がりポーズをとる。

パキータのコーダと違うのは、最後のフレーズでは舞台にいる全員が同じ振りを踊る。

見ていても壮観だ。


細かな立ち位置の修正などはあったものの、グランドフィナーレのリハーサルは順調に進んだ。

一通り、踊り終えると客席の康太先生がマイクを持ち立ち上がった。


「あの、最初の6人6人の組」

と康太先生。

真理たちの事だ。


「最初の位置に行ってくれる?」

と続ける康太先生。


12人が一列に並ぶ、最初の部分。

いつの間にか、舞台上にやってきた康太先生が、12人を見ながら首を傾げた。


「少し位置を変えましょうか」

と言いながら。


真理たち6人はそのまま一列に並ぶ。

その前に3人ずつ、斜めに並ぶ。

そこでポーズとなる。


そのままだと一番後ろの真理たちは、すっと立ち手を上に。

斜めにいる3人ずつの組は足を後ろに引き、中腰になった姿勢で手を前に出す。

バレエの舞台ではよく見かけるポーズだ。


「まえの3人、ちゃんと足を曲げて。姿勢を高くすると隠しちゃうから」

と康太先生が言った。


そう、前に入ることになった3人組が姿勢を低くしてくれないと真理たちはすっかり見えなくなってしまうのだ。


「ポアントで立ちたいところだけど、ずっと立っているのは無理かぁ」

と康太先生がいずみ先生に意見を求めるように言った。


真理たち6人はトゥシューズを履いている。

つま先立ちをして、手を上に掲げるのはバレエらしい美しい立ち姿だ。

しかし、ぐらつかず、ちゃんと立っていられれば、だ。


「うーん、危ないわね。誰かがコケたらみんなでぐらぐらしそうじゃない」

といずみ先生。

その言葉に思わず笑う6人。


「その通り」

なのだ。


トゥシューズを履き始めてまだあまり時間が経っていないこの6人。

長くつま先立ちをするのは無理だろう。


「じゃ、ポアントで立つのはやめておこう、その分背筋をちゃんと伸ばしてね。

少しでも背を高くしないと」

と康太先生。


まあ、一番後ろ。

少しでも、存在感を見せないと。

真理もほかの皆も、康太先生の言葉に思わず姿勢を正していた。


「じゃ、変えたところ、ポーズをもう一度」

と康太先生に言われて、位置につく真理たち。


もちろん、背筋はこれ以上伸びないほどだ。

真理は自分の前で中腰姿勢でポーズをとる、真由子がずっと笑っているのを見ていた。

面白おかしく話す康太先生の言葉は、周囲の生徒たちに笑いをさそっていたが、そうではない。

何か、いやな感じのする、心にひっかかる笑顔だった。

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