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自由な蛇神  作者: ホニャ二ティ
31/32

29話_穏便に⁉︎

「人間が来ましたっ!」


息急き切って駆けてきながら、大きな声でサナに報告してきた。


「規模は?」

「明かりの数と足音からして、10人以上かとっ」

「...彼らには下の階にでも行って貰おう... 大至急、狩に出た者達を街に戻しなさい。時間稼ぎは私がします」

「「はっ!」」


指示を出すと、街の門番2人は地下の狩場へと走って行った。報告を終えたボス部屋の見張りには、街に入って兵を集めるように指示を出した。



ボス部屋の手前まで来たサナは、魔力波で中にいる人数を確認する。


(戦士4、アーチャー2、魔法使い2...ってところか)


おおよその職種と正確な人数は把握できたが、魔力波が当たった者の殆どが、こちらの存在に気づいたらしく、武器を構えて厳重警戒モードになってしまった。


(しくじったか? まぁ、今回は大人数だし話は出来そうだな...さて、「留守番中の幼女」作戦始動!)


気持ちを切り替えたサナは、ゆっくりとボス部屋の大扉を開ける。すると、魔光晶のスイッチを入れていないのに、中から光が溢れてきた。

少しだけ開けた扉の隙間から、頭だけ出して中を確認する。と、光の玉が4個ほど、隊列を囲むように浮いていた。


「(あ、あの! お母さんは具合が悪くて寝てるから、日を改めて来て下さいっ!)」

「「「「...(ん?)」」」」


サナが(化けの皮)を被り、幼女を演じていた。すると、前衛の戦士は剣を下ろし中衛の弓術士は弓を引き絞るのをやめた。がーー


「ーーっ! ーー! (何やってるんだっ! ココはダンジョンだぞ!)」


ーー後衛に居る魔法使いの1人は未だに戦闘態勢であった。


「(全く、何を言ってるんだ? こんな小さな女の子が我々を殺せる筈無いだろう? それに、ここの内装は君から聞いていたより、普通に整っているじゃないか)」

「(そうよ、それに天井からネズミが降ってくる為の穴も見当たらないし...そこら辺のキノコでも拾い喰いしてたんじゃないの?)」


そう、1番後ろで仲間に警戒を解かない様に注意したのは、初めにココにやって来た3人の内、生き残っていた魔法使いの様であった。


地下に転がした後は、登って来たりしないように警戒していたのだが、何かしらの方法で外に脱出していたらしい。



魔法使いの1人が、警戒しろと騒ぐ中、戦士の男性は剣を鞘に仕舞い、ゆっくりとサナの方へ歩いてくる。


「(ら、乱暴な事はしないでくださいっ!)」

「(大丈夫だよ...ほらこの薬草をお母さんに届けなさい)」


そう言って、根っこ付きの雑草をサナの前にソッと置く。どっからどう見ても、只の雑草にしか見えないが


(コレを薬にする為には何かしらの製法が有るのかもしれない)


そう思ったサナは、製法を戦士の男性に聞いて見ることにした。


「(あの...お母さんはお薬作った事無いと思うから、作り方、教えて?)」

「(む、そうか...エリー、薬草の精製方法知ってるか?)」

「(ハァ...簡易的なのなら習ったでしょうに...まあ良いわ、作り方を教えてあげる)」


男性の戦士は忘れていたようだが、女性の戦士は製法を教えてくれた。それを床に魔法で刻み、石版として掘り出した所でミコから念話が届いた。


「(あ、あのね! お母さんは、優しさには優しさで返すのが最低限の礼儀だ。って言ってたの! だから、ここから下の階層に行かせてあげる。本当だったら、私がお母さんの代わりにココで、貴方達の侵入を食い止めなきゃいけないんだけど、貴方達は今回特別に通してあげる)」

「(え、良いのかい?)」

「ー!ーーー!(嘘だ!そうやって俺たちを騙そうとしてるに決まっている!)」

(大正解! と言いたいが、別に罠がある訳では無いからなぁ)


一度痛い目を見ている魔法使いだけは、しっかりココが敵地だと理解し、行動できているようだ。


「(準備してくるから、ちょっと待っててね!)」

「(ん? ああ、お願いするよ)」


戦士の男はそう言うと、手を伸ばして頭を撫でようとしてきた。それを見て、瞬時に扉の内側に引っ込んで扉を閉める。



「ぷっ、怖がられてやんの」

「おかしいなぁ〜」

「はぁ...リーダーは昔から子供に好かれ無いんだから、諦めろよ」

「...そうね」


サナが扉の向こう側に移動した直後に、緊迫した空気が緩む。


「そ、そんなことよりも...」

「あぁ、本当にココで間違い無いのか?サルバ」


戦士の男はボス部屋の中を見回したり、地面を叩いたりして罠が無いかを入念に確認している。

サルバと呼ばれた魔法使いの1人、サナに撃退された3人組の生き残りは、顔をしかめて怒鳴る。


「忘れるもんかっ! ココで間違いない! さっきのガキが俺の仲間を殺してた奴だ! 間違いない!」

「はぁ? じゃあなんで私達は攻撃されてないの? アンタの話だと問答無用で攻撃されたんでしょ?」

「そ、それは...」


サルバは一度、拠点にしている街に戻ると、自分の仲間が1人、凶悪な魔物に捕らわれたと騒ぎ、サナの事を出来うる限り悪く表現していた。もちろんそこには虚偽も含まれていた。



侵入者がボス部屋に取り残されている間、サナは通路を整備していた。

下への入り口と、ボス部屋を一直線に結び、地面をほどほどに舗装し、他への道を塞ぎ(採掘班の為の空気穴は有る)自分だけが出入りできる機密扉(ハリボテ)を即席で作成した。


「ふぅ、コレならどうにかなるだろう。ミコ、兵の準備は?」

「はい、いつ来ても戦えます」

「う、ん。別に必ずしも、戦うと決まった訳ではないからな?」

「分かっております。『戦う』のではなく『掃除』と言った方が適切でしたでしょうか?」


彼らは、少しでも戦闘の雰囲気がチラつくと、直ぐに好戦的になる気概があった。


「まぁ、そうだな...自分の身が危険に成りそうだったら攻撃しろ。それ以外は私の指示を待て。いいな?」

「はっ」


返事だけはしっかりしている、と不安を覚えながらも「留守番中の幼女」作戦の最終段階を始める。



一方、ボス部屋の中では、焚き火を囲んで作戦会議が行われていた。


「...本当にそれで上手くいくのか?」

「あぁ、前回来た時にそうだったんだ。ソレを上手く利用すれば化けの皮が剥がれる筈だ」


サルバは、瞳に復讐の炎を灯しながら言葉を紡ぐ。


「...2人の仇は、俺が取るっ!」


決意を言葉に立ち上がると、タイミングよくボス部屋の扉が開く。



「(じゅ、準備出来ました! どうぞ、奥まで入って下さい!)」

「ー! ーー!(あぁ! 今向かうよ!)」


6人は焚き火を消化して立ち上がると、雑談をしながらサナのいる方にゆっくり(・・・・)と歩いて来た。


「それにしても、上に居たネズミども弱かったなぁ!」

「分かる! 私なんて踏み潰すだけの簡単な作業だったわ」

「最後の断末魔っ! あれぁ最高だな!」

(なにチンタラ歩いてんだ? くっちゃべって無いで、さっさと来んかい! テメェ等に構ってる暇ねぇんだよぉ!)


6人はサナの化けの皮を剥がす為、共闘していたネズミは上の階で無惨な死を遂げた、と告げてサナの怒りを買い、襲いかかって来させる作戦を敢行する。が、サナは表情を変える事なく、(念話で相手の言っている事を理解しようとしていないので)心の中で全く関係の無い悪態を付きながら、6人が近くに来るのを待っていた。


6人はサナの前に辿り着くと、緊張した面持ちでサナを見た。


「(...そ、そんなに見ないで下さいっ。あの、前の下り坂から下に行けば次の階層です...えぇ〜と、皆さんが坂道に入ったらこの道は閉じられるので戻って来れなくなります! 以上ですっ!)」


とりあえず、知っておけば良い情報だけ話すと、エアロック風扉の内側に、上半身を隠して6人の様子を伺う。ソレを見た6人は、サルバを除いて警戒を解く。


「(やっぱり違うんじゃない?)」

「(うん、さっきと対して変わらないじゃ無いか)」

「(演技だっ! 攻撃すれば分かる!)」

「(おいっ、相手は子供だぞ! やめろっ)」

『ー(燃えよ炎)ー(復讐の業火っ! ファイアーブレード!)』


驚く事に、サルバは羽交い締めにしようとして、突進してきた戦士を素早くかわした。

そして、魔法(?)の詠唱を終わらせ、溶岩のような火の刃を出現させてーー


「(なっ! 消えた⁉︎)」


ーー音も無く、瞬く間に消された。


「(何故だっ! お前だ! お前がやったんだな!)」


サルバは半狂乱になりながら、人差し指をサナに向けて言い募る。

もしもゴブリンがこの世界に居たとするなら、その醜さは今のサルバと同等だろう。


「(うぅ、 すみませんっ。怖かったのでつい...)」

「(ハハッ! 遂に、本性を現したぞっ! 生きたまま生皮を剥いで、尻尾の先端から細切れにsブッーー」)


涎を撒き散らかしながら捲し立てるサルバに、周りの仲間たちは後退り、戦士の男はゆっくりと背後に周り、首筋に手刀を打ち込み気絶させた。


「(ごめんねお嬢ちゃん。ソレで、今の魔法は?)」

「(...お母さんが、相手の魔法を打ち消す魔法だから他の人に教えちゃダメだって。)」


戦士は仲間の方を向くと、もう1人の魔法使いは肩をすごめて首を横に振る。

ソレを見た戦士は、サルバを肩に担いで下の階層に向かう。


「(それじゃあね。俺たちはこのまま下の階層に向かう...)」

「(は、はい。お気をつけて下さい)」

「(...)」


リーダーと思しき男性は、返事を受けると無言で下への階段を降りて行く。ソレに続いて他の仲間達も降りて行く。最後に、戦士の女性も「(またね)」と言って手を振りながら、最後尾に付いて行った。

サナはとびきりの(営業)スマイルに、戦士の女性が見えなくなるまで、小さく手をふりかえした。


「はぁ〜...」


長く、深いため息を吐きながら、手のひらを天井に突き出した。

ゆっくりと手を下ろすと、その動きに合わせて、下の階への入り口に、厚さ50cmの壁が天井から降りてくる。


「よし、とりあえずこれで良いか。あの馬鹿どもが使った焚火の燃えカスは、農場の土にでも混ぜておけ」

「はっ。...3班は燃えカスの回収を行うように。その他は通常業務に戻りなさい!」

「「「了解!」」」


サナの要求を聴き、ミコが集まった兵に指示を出す。兵達がキビキビと職務を遂行する為に動くのを横目に、後の事をミコに任せて採掘場へと急ぐ。


お読みいただきありがとうございます。


できればこのペースを維持したいですが...

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