21話_寄り道の道しるべ
少し短いです。
すみません(汗
辺りが夕焼けに照らされ、森のコントラストが強くなってきた頃、一台の荷馬車が、荷物を積んでいるとは思えない速度で走行していた。
それは、ロバが引いてるとは思えない速度で帰宅途中のサナ一行だ。
周りの景色がそれなりに早い速度で移り変わる中、森の奥を指差しながら、キクレがあれ何?と興味津々で聞いてくる。因みに、森の中に敷き詰められていたトラバサミは、魔物の肉を解体する工程で撤去してある。
「ん?...何だろうね?ちょっと近づいてみようか。巫女たちは、ここで待っていてくれ。」
「...はい、直ぐにお戻り下さいね。」
「(うむ。直ぐに戻るさ。)」
背に巫女の声を聞きながら、キクレの見つけたものの方に移動する。目の前に立ちはだかる低木は、魔物の肉を粉砕した要領で肥料へと変え、倒木は中を空洞に加工し、周りの土やミミズ、作り立ての肥料等を詰め、肥料樽に作り変える。そうこうしながら進むと、目の前に岩の様に大きな黒い水晶が現れた。
(コレは?)
「かぁしゃま!キラキラたくさん!」
「えぇそうね、キラキラだね。...っ!」
「どうしたの?かぁしゃま?」
洞窟で見かけた水晶(以後魔光晶と呼ぶ)と同じように、何となく触ってみると、触れた場所から水晶に魔力が吸い取られ、言いようの無い倦怠感が襲って来た。
(コレは触っちゃダメな奴だったか!)
「かぁしゃまのキラキラ無くなった?...かぁしゃまのキラキラ返して!」
「ちょっと、キクレ!触っちゃダメよ!」
抱っこされた状態から、黒い水晶(以後魔吸晶と呼ぶ)に小さな握り拳を振り下ろすキクレを引き離し、大丈夫だよと笑いかけるも、まるで親の仇と言わんばかりに魔吸晶を睨みつけていた。
(キラキラって魔力の事か?)「ほらキクレ、お母様のキラキラだよー」
「っ!キラキラ!かぁしゃまのキラキラ!」
キクレは、サナの手に作られた魔力の塊を、ペタペタと確認する様に触り、今度こそ取られまいと、魔吸晶から守る様に胸に抱き、魔吸晶を尚も睨みつけていた。そんなキクレの為に、母は強しという所を見せる事にする。
「キクレはお母様を甘く見過ぎよ。こんな水晶に負けはしない...わ!」
「!...かぁしゃま、だいじょーぶ?」
「ええ!大丈夫よ。お母様のキラキラは誰にも取らせないわ!...あら?」
魔力の塊を体内に戻し、魔吸晶を無造作に引き抜く。魔光晶と同じように、体内の魔力を操り、勝ってに持って行かせないようしながら持ち上げる。キクレは、目を見開き驚愕の表情を浮かべて固まっていたが、すぐさま心配するように縋り付いて来る。それを、何とも無いと見せるため、頭の上で上げたり下げたりしていると、水晶の裏側に紋様が描かれている事に気がついた。そして、魔吸晶を引き抜いた穴には、沢山のトゲトゲが生えていた。
(何ぃこれぇ?群衆恐怖症だかの人には見せられないな。もちろん、うちの子にもな。)
「かぁしゃま、何があったの?」
「何でも無いわよ。さぁ、帰りましょう。」
「...うん」
名残押しそうに穴のあった方向を向いているキクレに、「本当にタダの穴だったのよ」と言い聞かせながら、魔吸晶を持って巫女達の待つ荷馬車に急ぐ。
実際には、穴を埋め立てる時に、魔力波で調べた結果、ただの穴とトゲでは無く、洞窟の光る水晶に繋がっていた物と、同じ材質の魔導線が突出した穴であった。
周りを見てみると、少し離れた所にも魔吸晶が点々と生えているのが見える。
(ふむ、この魔吸晶がダンジョン内に魔力を供給していると見て間違いなさそうだな。)
来た道を戻りながら、物を縛ったりするのに使えそうな蔦を回収した。
荷馬車へ魔吸晶を乗せ、採ってきた蔦を使い固定する。先程以上の速度を出すために、魔力を車体にしっかりと浸透させて補強する。
「ただいま、巫女とトウト。急ぐからしっかりしがみつくように!」
「えっ!また荒いうんてキャ〜〜!」
「はやーい!はやーい!」
巫女は、またしても荒い運転なのかと、車体にしがみついているが、キクレはサナに抱かれて先程よりも早い移動に大はしゃぎであった。
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