17話_マッチポンプ3
寝過ごしました(汗
今回は少し短めです。
倉庫の1階に、2人を寝かせられる石造りのベンチを2つ作ってそれぞれ寝かせておく事に。
2人が起きるまで、巫女の機嫌を直す為に卵を抱いたままの巫女を膝...とぐろの上に座らせて、卵を間に挟んで抱きしめてあげる。
「(全く、お前という奴は少しの間持っていただけだろうに。ヤキモチをやきおって...)」
「蛇神様ぁ〜、他の雌を抱っこしているのを見ていると、胸の奥がチクチクして...」
「(...よしよし、良く耐えたな。ん?)」
卵越しに巫女の頭を撫でていると、卵に異変があった。コンコンと、中から振動と音が伝わってきたのだ。
「(なっ!もう産まれるのか?お、お湯と綺麗なタオルを用意しなければ⁉︎)」
「落ち着いて下さい。先ずは、お湯を入れる物をどうにかしませんと...」
パキパキ、
「(くぅらぁー!)」
卵にヒビが入った瞬間に、側の地面を盛り上げぬるま湯で満たす。その速度0.5秒。
水面の揺れが収まった頃に、卵が大きく揺れ、内側から二本の小さな腕が突き破ってきた。
その手が、何かを掴もうと必死になっているので、優しく手を握る。すると、突如として腕が生えている殻の周囲が砕け散った。
「(何事ぉ〜!)」
「かぁしゃま〜!」
中からは、自分にそっくりな黒髪に金のラインが入っている、幼稚園ぐらいの女の子が飛び出してきた。
(な、なぜ、赤ちゃんじゃないの...?)
「(...キクレ、落ち着きなさい。嬉しいのは分かったから。ほら...ママ様も抱きしめて欲しそうにしているよ。)」
「まましゃま?」
顔を上げた娘の顔を見て息を飲む。娘の目元は母親の自分に似てツリ目ではなく、巫女にそっくりだったからだ。
キクレを抱っこしたまま(自分に巻きついているので)、巫女のほうに連れて行く。巫女はソワソワした様子でキクレに両腕を伸ばして、消え入りそうな声で「おいで」と言った。
「...キクレ様、ママですよ。」
「...まましゃま!」
伸ばした巫女の掌にキクレが触ると、今までは誰?みたいな反応をしていたが、パッと顔を笑顔にして、流れる様な動作で巫女に抱きつく。
抱きつかれた巫女は、心配そうな半笑い状態の表情から、嬉しそうな慈愛に満ちた表情へと変わり、キクレを抱きしめながら一筋の涙を流した。
少し離れた場所にいたトウトは、「神の子が御生れになる瞬間にたち会えるとは...」と、こちらも嬉し涙を流していた。
しばらくすると、気絶していたリリアンとミーナが起きてきた。内装を見学しながら話しかけてくる。
「(ねぇ、ここの建物って、あの食料庫よね?)」
「(ええ!そうよ!まだ何も置かれて居ないけれど、これなら建物が燃える心配は無いワヨ!)」
「(...ところで、聞いても良いかしら?その子は?)」
「(この子は私の娘で、菊麗というの!貴方達が気絶している間に生まれたの。)」
リリアンは、説明を聞き混乱した様子で「(子供って?産んだの?その年で?)」と思考がまとまっていない様子だった。因みに、侍女の方も、澄ました顔をして立っていたが、内心では娘を卵として産んでから、どうしてここに居るのかを、少し卑猥な方向で考えている様であった。話すと理屈が通らないので、何も言わなかったが。
「っ!蛇神様、外に何人かが立っています。」
混乱している2人を、どうやって落ち着けようか考えていると、不意にトウトが耳打ちしてきた。気配的には殺気を少し感じただけらしい。魔力波を、薄くして扉の方向に放つと、確かに人が10人ぐらい武装して立っているのが分かった。
「(...ところでリリーちゃん?この辺に武装した集団ってどういう方達がいるの?)」
「(...突然どうしたの?)」
「(うちの護衛が、金属音がするというから、村人か賊、無いし、この惨状に気がついた兵隊さんかと思ったのだけど...)」
それを聞くと、リリアンは少し悩んでいたようだが、不意に頭をあげて扉の前へとツカツカと歩いて行く。そして、声を張り上げて自己紹介をした。すると、扉の向こうから、下卑た笑い声とふざけているかのような言葉が掛けられた。それを確認したリリアンは、自分たちの元まで戻って来ると真面目な表情で「(賊ね。)」
と言い切った。
次回も土曜更新です。




