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自由な蛇神  作者: ホニャ二ティ
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16話_マッチポンプ2

「(...はぁー、分かったわ。でも、服も食料もタダでは無いんだからね!)」

「(っ!ありがとうございます!)」

「(ちょ!ちょっと!離れなさいよ!)」


喜びのあまり抱きついた...様に周りには見えただろう。だが本心は下心アリまくりであった。


(クンカクンカ...はぁ、良い匂い。それにこの柔らかな肌に艶やかな髪、少しツリ目な所はお揃いだぜ!膨らみかけの胸も可愛いぞ!フォォォォー⤴︎)


…下心どころか、ただの変態であった。しかし、周りには本当に喜んでいる様にしか見えないだろう。魔法を使い、顔面の筋肉が緩まない様に固定していなければ、顔面崩壊待ったなしで、後ろに控えているおっとりした雰囲気の侍女(メイドともいう)がその内に隠し持っている「何か」で攻撃されていたであろう。


「(...ちょっと!いい加減離しなさいよ!(そもそも何て力なの!全然逃げられないんだけど!))」

「(まぁ!私とした事が、ごめんなさい。つい嬉しくて抱きしめてしまいましたワ。(ハァ、ハァ...ふぅ、ご馳走様でした!))」

「(全く、もう....ミーナ、この人達に合う服を取ってきてくれるかしら?)」

「((本当によろしいのですか、お嬢様?)」

「(えぇ、彼女たちは悪い人達じゃ無さそうだし大丈夫よ。)」

「...」


女の子は、先程の侍女(ミーナ)に指示を出して、服を持ってきてくれるらしかった。そして、今のやり取りで確信した事が一つ。


「(あのぅ、もしかして結構いい所のお嬢様なのですか?)」

「(え?そうよ。...この辺り一帯を治めるザダリス侯爵家の長女、リリアン・ザダリスと申します。)」


先程まで年相応な振る舞いだったのが一転、佇まいを直し、スカートを摘みお辞儀をする所作(カーテシー)は、彼女が貴族令嬢である事を証明するには、充分過ぎる程に綺麗な物だった。


「(まぁ!リリちゃんは貴族でしたのネ!通りで威厳と品の良さを感じると思いましたワ!)」

「(...貴女は貴族のマナーとか分かるの?)」

「(いいえ!全く分からないけれど、思った事を言っただけですワ!)」


何故貴族のマナーについて聞いて聞いてきたのか分からないが、特に意味は無さそうなので、正直に応えていた。


素直に応えると、頰を少し赤らめてそっぽを向き「...そう」とだけ短く呟いた。

照れ隠しが可愛くて、またもや表情筋が緩みそうになるのを魔力で耐える。

地上に出てからというもの、魔力の回復量がエゲツない事になっており、ゲームでいう魔力回復薬大とかを、クールタイム無しで飲んでいるぐらいの回復速度だった。


メイドの人に服を持ってきて貰い、ソレを着用するのだが、巫女の着替えを手伝っている時に問題が発生した。


「(合うブラが無い!だと!)」

「申し訳ありません!」


人間の乳が二つに対して、鼠蛇の一族は乳が4つ存在する。人間と同じ高さに2つ、その直ぐ下に2つあり、サイズはEが最小で最大だとIぐらいだろうか。巫女は最小(一族の中では)のEカップなのだが、今ここに用意されたブラではどれもキツくて付けられそうに無さそうだった。因みに、この世界のブラは、何故か前世でもよくある背中でホックを掛けるタイプだ。


「(仕方ない、ブラ同士を繋げるか...)」

「申し訳ありません。」

「(きにするな、ブラジャー代は、今度鉄の棒でも持って来てそれで支払うからな。)」


そうして、ひとまずブラジャー問題は解決した。巫女達とリリアン達では念話の周波数を変えているので、胸の話は外部に聞こえていない。

服を着ると、巫女もトウトも服を着る感覚に慣れず、落ち着かない様子であるが慣れてほしい。...自分も女の子物の服を着ているのだから。


(...なんだか、恥ずかしいな。)


前世が男であった身としては、質素な村娘風の服であっても、女の子が着る服を着ているのは少し...かなりレベルの高い背徳行為だと思ってしまう。上半身(本当は頭)は女の子そのものなのだが。


「(...もう良いかしら?)」

「(え、えぇ...どう?似合ってる?かしラ?)」


幼い女の子に、女の子物の服を着ている成人男性の(姿は女の子)姿を見られるのは羞恥心的に悶え苦しむ所だ。

身体に流れる魔力を使い、モジモジしたり、両手で顔を覆ってしゃがみ込みたく成るのを抑える。もしもそんな事をすれば、何故女の子同士なのに、服を着て恥ずかしがって居るのか聞かれるに決まっている。...全裸の時は涼しい顔をしていたのに、急にどうしたのかと。


「(...少し浮いてるわね。やっぱり黒髪の人にここら辺の服装は似合わないわね。)」

「(いえいえ、服を頂いただけでも感謝しております。それでは、このご恩は今直ぐにでもお返ししますね。...出来れば、証人としてリリちゃんには付いてきて頂きたいのですが...もちろん、護衛の方を好きなだけ付けて頂いても構いませんワ)」


リリアンに同行を求めると、側に控えていたミーナがおっとりしているその表情に警戒の色が見え隠れしていたので、取って食う気は無いと遠回しに言っておいた。


「(さっ!行きましょう!先ずは何を直して欲しいですか?)」

「(ちょっ...うーん、先ずは動物や魔獣の死体をどうにかしたいわね...)」

「(分かりましたワ!)」


卵は巫女に予め渡してあるので、強引にリリアンと手を繋いで、ゆっくりとリリアンと村を歩きながら要望を聞く事にした。侍女は一瞬身構えた様だが、此方が走らないと知ると、何事も無かったかのようについて来ていた。そして、リリアンが初めの要望を口にする。


(さ、気合い入れるぞ!)


先ずは、死んでいる魔獣等の位置を把握するために、もう一度魔力波を放つ。その後、各種死体を空を飛ばして目の前に集結させる。この時点で、リリアンは口をあんぐりと開けており、侍女の方も目を見開いて驚愕している。

死体を集結させた後は、死体の皮と肉、内臓、骨と高速で分離させていく。その際に飛び散った血は、空中で瞬時に蒸発させておく。

肉は、空中に綺麗に並べて固定し、照り始めた日光を、蒸発させた水蒸気を使い虫眼鏡の容量で焼きながら乾燥させていく。内臓と骨は木っ端微塵にして、水分だけを抜いておく。

するとあら不思議、50を超える魔獣の死体が非常食と肥料、それからさまざまな種類の皮に早変わり!


「....」

「.........」

「(ふぅ...お次は何かシラ?あれ?リリちゃん!)」

「(へ?そ、そうねぇ壊れてしまった食料庫とかかしらねーー)」

「(まかせて!)」


少し食い気味だが、気合いの入りようを理解してくれれば幸いだった。若干思考停止していたリリアン達だったが、次の貯蔵庫もまた口を開け放つ事になるのだった。


「(何故...いえ、どこから...でも無いわね、どうやって石を持ってきたの?というか、も、も、も)」

「......」


黒焦げになって倒壊していた、貯蔵庫のあった場所に、何処からとも無く岩が飛んできて、混ざり合ったかと思えば形が四角くなり、扉用の穴と換気用の穴が空き、そこに余った石で出来た窓や扉が出現し、新たな建物が現れた。

リリアンとミーナは、目の前の出来事に頭が付いて行かず思考が大パニックである...何処からかSANチェックの音が聞こえてきそうだ。


(我ながら良い出来だな。)


コレを作った本人は、地上2階、地下一階の食料庫を作り大満足である。外見は石レンガ風に、中には、たまたまここの地下にあった鉄を使用した、鉄筋が入っていたりする。因みに入り口の扉は横開きである。いしの扉は重いので大人2人分の手を引っ掛けられる凹みを作ってある。取ってでは無い理由は、折れた場合に危ないからだ。


「(さぁ!出来ましたよ!木造は心許なかったので、近くの岩を合体させて作りました!)」

「(.....)」

「...」

「(ふ、2人とも?...)」


振り返ると、リリアンは白眼を剥いて立ち尽くしており、ミーナは目を瞑って立ち尽くしていた。まるで石像のように動かなくなった2人を見て、今のが常軌を逸した行動だと理解した。


(あちゃー、石を綺麗にし過ぎたかなぁ、もうちょっとテキトウ感溢れる見た目にした方が良かったかな?)


...流石に2人をこのままにして置けないので、新築の倉庫で休む事にした。侍女はおんぶで、リリアンはお姫様抱っこで移動させる。道中、巫女からリリアンに対して物凄い殺気を飛ばしているのが分かったが、少しだけ我慢してもらう。


次回更新も土曜日です

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