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荒む大地   作者: Ecrire
第一部
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7/20

祭りの前夜

「ん~…もうこんな時間か…」


 自宅の窓辺でくつろぎながら、少女は不意にそう呟いた。

時刻は夜になる少し前で、美しい夕焼けはもうこの目には映らなかった。

代わりにいつもより暗がりを増した空が、悠々と世界を支配していた。


「…なんだか今日はやけに空が暗い。

何かあったっけ…?」


 思い返すように記憶を探る。

 忙しそうに塔を出入りする人や、街の賑やかさから少女はひとつの結論にたどり着いた。


「あぁ、そういえば計画がどうとかっていうアレの日なのかな。

中心部に行って確かめに行こうか!」


 アレの日、すなわち街では祭りが開かれているだろう。

たった数秒でそこまで思考を回転させて、楽しみな気持ちを顕に、少女は街へと出かけていった。


~~~


 塔の屋上階、普段なら誰も訪れないであろう場に、たった一人情景を楽しむ者がいた。


『……風が気持ちいいな』


 弄ばれるように、闇に金色の糸を溶かすが、むしろこの糸が風を操っているのかもしれない。

 全てを見越した彼女は、遠目にクスクスと笑い、世界に足を伸ばした。


『これで、全て上手くいく……あぁ、楽しみだな~理想郷……』


 暗がりは徐々に消え失せ、光が彼女の顔を少し照らす。

 何故彼女は、自らの夢が叶うというのに、

こんなにも悲しそうな顔をしているのだろうか。


 分かりきった解は証明されないまま、


『ごめんね、―――――、――…』


 と、曖昧に空に溶かされた。


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