祭りの前夜
「ん~…もうこんな時間か…」
自宅の窓辺でくつろぎながら、少女は不意にそう呟いた。
時刻は夜になる少し前で、美しい夕焼けはもうこの目には映らなかった。
代わりにいつもより暗がりを増した空が、悠々と世界を支配していた。
「…なんだか今日はやけに空が暗い。
何かあったっけ…?」
思い返すように記憶を探る。
忙しそうに塔を出入りする人や、街の賑やかさから少女はひとつの結論にたどり着いた。
「あぁ、そういえば計画がどうとかっていうアレの日なのかな。
中心部に行って確かめに行こうか!」
アレの日、すなわち街では祭りが開かれているだろう。
たった数秒でそこまで思考を回転させて、楽しみな気持ちを顕に、少女は街へと出かけていった。
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塔の屋上階、普段なら誰も訪れないであろう場に、たった一人情景を楽しむ者がいた。
『……風が気持ちいいな』
弄ばれるように、闇に金色の糸を溶かすが、むしろこの糸が風を操っているのかもしれない。
全てを見越した彼女は、遠目にクスクスと笑い、世界に足を伸ばした。
『これで、全て上手くいく……あぁ、楽しみだな~理想郷……』
暗がりは徐々に消え失せ、光が彼女の顔を少し照らす。
何故彼女は、自らの夢が叶うというのに、
こんなにも悲しそうな顔をしているのだろうか。
分かりきった解は証明されないまま、
『ごめんね、―――――、――…』
と、曖昧に空に溶かされた。




