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荒む大地   作者: Ecrire
第一部
5/20

“Я” side 1

エクリールです。

今回は“Я”(リバース)sideの投稿になります。


本編にとって、とても重要な回となりますので、

是非お楽しみください。

『うー……時間まであと少しだけど…遅いなぁ…』


 少女は一人その場で人を待っていた。

 空は徐々に黒くなり、暗雲が空間を支配していた。

 目の前には大きな建物、そして周りはそれを取り囲むように様々な施設が建設されていて、街中を駆ける回線は全てこの建物にたどり着いていた。

 少しすると、闇に紛れて足音が静寂を破った。

 固い地面を蹴るように、ぶっきらぼうに歩く様子を見て、少女は影の主である一人の男を呼びかける。


『おーい、こっちだよー』


『…先に言っておくが、長居はできない。了承してくれるな?』


『勿論だよ。…来てくれてありがとうね』


少女は力なく笑い、男は話を切り出した。


『それで、用事は?……あの件か?』


『……うん。 私、やっぱり君しか頼れないかもしれない』


『…』


 暗い空に交じるように、少女の顔にも影が見えた。


『……言ったでしょ? 私は君たち以外には失望しちゃったの。


私があの子を嫌いになる前に、もう君の力を借りないで済むために……』


 自分を諭しながら、少女の顔は徐々に憂いに満ちる。

 そして、本心の雨を降らせたのだ。


『………――たいよ、もう嫌だよ……』


 男はその言葉を全て受け止め、その上で自分がどうするべきかを考えた。

 表情を少し和らげ、まるで泣き出した少女をなだめるように、落ち着いた声音で彼なりの意思を述べた。


『……――には、お前を止めるべきなのかわからない。 だからこそ、全てを委ねる』


 委ねる、という言葉を聞いて落ち着いたのか、

少女は涙を拭って優しく微笑み返した。


『珍しく、優しいんだね』


『……うるさい。 好きに使ってくれて構わない』


 不意に褒められたもので、男は少し赤面した顔を誤魔化すように空を見上げた。

 その様子を見て、少女はクスクスと笑い、言葉を返した。


『うん……

……ごめんね、―――…………』


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