第12話 怒涛の終盤と謎の光
胎動ゾーンを抜けた瞬間、ほのかの前には再び複雑に入り組んだ立体コースが広がっていた。
コースの周囲は今まで以上に光の粒子が渦巻き、危険な雰囲気を放っている。
(ここが……最後のセクション……!)
残された体力、集中力、そして機体の耐久値も限界に近い。
それでも、ゴールラインまではあと少し。
ほのかはスロットルを握り直し、再びフルスロットルで駆け出した。
「行けぇぇぇ!!」
そのとき、後方から再びビームが放たれる。
胎動ゾーンでは影を潜めていたお邪魔虫たちが、ここで再び出現したのだ。
しかし、そのビームに反応したクリスタルが淡く光り、守護霊の父が声を絞り出した。
「もう限界だが……最後まで、俺はお前を守る!」
次の瞬間、ビームを防ぐ薄いシールドが展開される。だが、それは今までのような完全防御ではなかった。
シールドはビームを受けるたびにひび割れ、その光は弱まっていく。
「私も……できる限り、機体を支える!」
母の守護霊も必死に修復の力を送り続けるが、もうクリスタルの輝きも薄れていた。
(あと、少しなのに……)
消滅ラインは依然として加速を続け、ほのかの機体を飲み込まんと迫る。
場内も騒然となり、MCが叫ぶ。
「なんということだ!湊ほのか選手、守護霊の力も限界!そして迫る消滅ライン!どうする、どうなる!?」
そのときだった。
ほのかのコックピットの横に、ふわりと白い光の粒子が現れた。
それはまるでかつて宇宙ステージでほのかと並走していた、あの光点だった。
(……えっ)
光はゆっくりとほのかの機体の前に出ると、進路を示すようにコースのラインをなぞる。
父の守護霊も母の守護霊も、その光を見て驚愕する。
「まさか……!」
次の瞬間、消滅ラインはさらに速度を増し、ほのかの機体を包み込もうとするが、その光が生み出した波動が、わずかにラインの接近を押し留める。
(この光……宇宙ステージで、いつも一緒にいた……)
ほのかは思わず呟いた。
「助けてくれるの……?」
応えるかのように、白い光はほのかの機体の先を走り始める。
そして、その後ろに続くように機体は、まるで限界を超えたかのような加速を見せた。
「こ、これは!?消滅ラインと並走する形で進む湊ほのか選手、謎の光と共に驚異的なスピードでラストスパート!」
MCも絶叫する。
守護霊たちも、その光に包まれ、穏やかな顔になる。
「頼んだぞ、ほのか」
「あなたなら、必ずゴールできる」
父と母の守護霊は、最後の力を振り絞り、クリスタルの光の残滓をほのかへ託すと、そのまま静かに消えた。
(……行く!)
残りコースはわずか。
消滅ラインの追撃と、激しいビーム攻撃、そして極限の速度域の中、ほのかは謎の光を追いかけ、ラストスパートに突入していくのだった。




