最悪の顔合わせ。2
「なんだ、もう集まってたのか」
気だるげな声とともに黒崎先生が入ってきた。時計の針は17時40分。集合時間はとっくに過ぎている。先生は、俺たちの姿を見るなり意外そうに目を丸くした。
……そんなに俺たちは信用がないのか。
しかし、先生が驚きの表情を浮かべたのも一瞬のこと。すぐにいつもの表情に戻すと、部屋の中央まで歩み寄る。手に持っていた1枚の大きな紙を床の中央にバサリと広げ始めた。
「あの…、まだ1人きてない……気が」
そのとき、視界の端で海璃君がためらいがちにおずおずと手を挙げた。その声は今にも消えてしまいそうな細い声だった。
確かに資料にかかれていたのは俺含めて4人だが、この場にいるのは3人だけだ。
「あー、5分くらい遅れるっつってたな、そういや。にしてもおっせぇな……」
黒崎先生は腕を組みながら苛立ったように呟いた。作業をしていた手を止め、その場に座り込む。
くたびれたジャージに、片手に缶コーヒー。
なぜか様になっているその様子を眺めていると、部屋の外、廊下からこちらへと近づいてくる足音がすることに気づいた。
扉を開けて入ってきたのは、背の高い男子生徒だった。
光の加減で銀にも見える黒髪。
切れ長の目は人を寄せ付けない冷たさを帯びている。
制服は着崩され、耳にはいくつものピアスホール。
「近寄るな」
そう全身で言っているようだった。
彼が資料にかかれていた最後のメンバー、早瀬零なのだろう。彼は部屋を見回したあと、露骨に眉をひそめた。
「……何このメンツ」
「お前が言うな」
開口一番、吐き捨てるように言った言葉に対して黒崎先生が呆れたように返すと、入り口近くに投げ捨てたカバンの横にどっかりと腰を下ろした。
これで4人。全員がそろったわけだが…
「協調性なさすぎだろ、お前ら。いくら初対面といえど部屋の隅に座るな」
正方形の部屋の四隅に座っている俺らを見て、黒崎先生はそう言い放った。




