歌保の受難??
お読み頂きありがとうございます。楽しんで頂けたら嬉しいです。
何事もなく三連休が明けて、また仕事の日々が始まったんだけど.......思えばその日は、朝からツイてなかったの。
いつもの立ちソバ屋で朝定食をたのんだら、いつもよりなんだかネギが少なかったり、ワリバシがうまく割れなかったり。
あげくには七味のフタがはずれて、おソバに赤いのがドバっと入っちゃうし.......(涙)
まあ辛いのはそんなにニガテでもないから、大汗をかきつつ全部(もちろんお出汁も)食べたんだけど。
でもこんなのはしょせん、ただの序章にすぎなかった.......
......
.....
...
「おはよーございマースっ!!」
「ショウコちゃんっ!!!」
元気よく事務所のトビラを開けたとたん、まっ赤な顔をした歌保ちゃんが詰め寄ってきた。
御機嫌ナナメっていうか、完全にお怒りモードだ。
どうしたんだろ??
「あ、歌保ちゃん、おは....」
「おはよう、じゃないわよっ!!!こ、こ、これはっ!!これはどういうことなのっ!!!」
「え?何、なに、ナニ??」
ぷるぷるとふるえる手で目の前に突き出されたのはその日の朝刊。
トップ記事にでかでかと「エント星の紛争 いよいよ終結へ」の文字、そしてにこやかに微笑むエント星の国王陛下、そのカラー写真。
「あ、これ。ふーん、あの国王陛下、やっぱり戦争ゴッコ止めたんだ。で、何をそんなに...」
怒ってるの?って聞こうとして、その記事の端っこのほうに載っているもう一枚のカラー写真に目が釘付けになった。
こ、こここ、これってまさか.......(冷汗)
そこには「平和の女神像」と名付けられた大きな銅像の写真。
今後はこの女神像を平和の象徴として、戦乱で荒れたエント星の復興を目指すって書いてある。
接待の時にお渡しした写真を元にしたんだろう、超広域宇宙生活圏連合の公序良俗に反するような、チャーシューダブル麺大盛ヤサイマシマシのラーメン。
その巨大なドンブリを左の手のひらに軽々と積載せ、もう一方の右手はエント星の特産である砂土竜を首のところでがっちりつかんでいるっていう、なかなかにシュールなデザイン。
ま、ここまではいいのよ。ここまでは(デザインのセンスはちょっとアレだけど).....
問題なのは.......
「これ、私よね?」
「え、え、えーと.......ど、どうだろ.......」
「どう見ても私よねっ(怒)!!」
汗、汗、冷汗、滝の汗!!
そうなの、その女神様の「ご尊顔」が、あきらかに歌保ちゃんになってるぅぅっ!!!
「え、えーと、えーと.......ごっ、ごめんなさいっ!!」
「やっぱりショウコちゃんのしわざね?そうなのねっ?」
「いやあの、ラーメンの写真が欲しいって言われただけでございまして.......まさか隣りに写ってた歌保ちゃんまでモデルにしちゃうとは思わなくて.......」
「.............」
「そ、そういえばあの国王陛下、写真見て『美しい』ってつぶやいてたけど、あれ、歌保ちゃんのことだったんだ.......」
「.............」
「あ、あのね歌保ちゃん、人って精神的に進化すると怒らなくなるみたいだよ.......って、こんなの怒るなってほうが無理ですよね........(私ったらテンパって何を言ってるのよおっ!!)」
「.............」
沈黙が怖い!
すっごく怖い!!
こんな時にはあやまるしかないっ!!
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい!!!今から国王に電話してすぐに取り消してもらうからっ!!!」
「.........もういいわよ」
「うんうん、チュウさんにも電話して.....え??」
フッと歌保ちゃんの顔と目から怒りの色が消える。
「あなたのことだもの....悪気は無かったんでしょ?」
「悪気もなにも、ワタクシのあずかり知らぬところで進んじゃった話でして.......ううん、それでもやっぱりごめんなさい!!」
「もういいの。ごめんね、取り乱しちゃって」
「歌保ちゃん......」
何かをあきらめたような、哀し気でやさしい微笑みに思わずキュンとなる。
「美しい」ってつぶやいてたあの時の国王陛下の気持ちが分かる。
やばい、惚れちゃう!!
「でもショウコちゃん、この埋め合わせはきっちりとしてもらうからね?なにしろ、このカワイイカワイイ歌保サマの肖像権を勝手に使わせたんだから!」
「あ、はい.......仰せのままに.......」
このドキドキは.......どっち??
.............................................
しばらくの間は、出張ごとに各星の小物を買い漁るように(もちろんショウコちゃんの自腹で)と仰せつかり、それとついでに今日の晩ゴハンをごちそうすることになったんだけど。
「.....そんなので許してくれるの?」
「そんなのってなによ、私にとってはかなり高いハードルなのよ」
「そ、そうなんだ.....」
「あ、私、麺大盛りで♪」
「私も......」
そんなわけで、今は例のラーメン屋に並んでる。
前に食べた時、もうここのラーメンは一生分食べたって思ったらしいんだけど。
「不思議よね。数日すると、また食べたくなっちゃったの。それも無性に」
「うんうん、その気持ち分かるよ。なんか中毒性あるよね?」
「でもさすがに一人じゃちょっと恥ずかしいし、それに『お残し厳禁』だし」
「そこはまあ、まかせてよ!」
そんなわけで今日は歌保ちゃん、「チャーシューダブル麺大盛ヤサイマシマシ+ニンニク致死量」に挑戦するんだって。
もし食べきれなかったら、このショウコちゃんが残りを平らげる予定(ほぼ確実だけどね)なの。
それよりも気になるのが.......
(なあ、あの子って.......)
(似てるよね.......)
(まさか、違うでしょ.......)
(いやでも、ひょっとすると.......)
行列のあちこちからヒソヒソ、ボソボソと聞こえてくる声。
あきらかにみんな、歌保ちゃんのことをチラチラと見てる。
心の広い歌保ちゃんもさすがに恥ずかしくなってきたのか、だんだんと顔がうつむいてくる。
そしてぼそり......
「私、も、もうお嫁にいけないかも.......」
「だ、だだだ、ダイジョウブだよっ!歌保ちゃんってばカワイイからきっと引く手あまただし、えーと、えーと、なんなら私がおムコさんになるからっ!」
「.......本当に??.......それ、本当ね??」
「う、うん.......」
ちょっと涙目のジト目で睨まれちゃった.......(汗)
ま、これはこれで眼福なんだけど♪
「お待ちの2名様どうぞ」
「あ、順番だよ歌保ちゃん、さあ食べよっ!!」
「うん!!もうこうなったらヤケ食いしてやるぅっ!!」
「その意気、その意気っ!!」
ちょっと情緒不安定になっちゃった歌保ちゃんを、宥めすかしてお店に入る。
お腹いっぱいになれば元気になってくれるかな?
出てきたラーメンは、なんだかいつもよりチャーシューが多めに盛られてる気がした............(汗)
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