すっごい美人!と、その付き添い(笑)
お読み頂きありがとうございます。楽しんで頂けたら嬉しいです。
意識と視界が、だんだんとハッキリしてくる。
もう何度も見たことのある殺風景な部屋。
ああ良かった、無事に帰ってこれたー!!って心の底からホッとする。
.......ん?
無事にって....ナンダロ?
転送なんて、社会人になってから何十回も経験してることだし、これまでにトラブルなんて一回も起こったことなんか無い。
なのに何故だか、すごくヤバいことがあって命からがら戻って来たって感じがするわね......
??
ううん!
きっと気のせいねっ!!
だって今回の出張、いろーーんな惑星を訪ねては激しい営業バトルをくり広げてきたわけで。
ヒルに襲われたり土竜に追いかけられたり狼ちゃんに懐かれたりと、そりゃあもうホントにしんどかったんだもん!!
やっぱりちょっと疲れてるのかな??
.............................................
「ああ、やっと帰って来たね。ごくろうさん」
「あれ?課長、いらしてたんですか?」
入星のための諸々の手続きを済ませてゲートから出ると、意外なことに日来課長が出迎えに待ってくれていた。
窓の外はとっぷりと暮れて、ショウコちゃんの腹時計がさっきからグゥグゥとうるちゃい。
「遅くなりそうやったから迎えに来たんよ。今から電車に乗るのはしんどいでしょ?」
「た、助かりますぅ~」
「お疲れさま。今回は、ジョーがあなたを置いてけぼりにして大変だったでしょ?ごめんなさいね」
そう言われて日来課長のとなりを見ると、すんごい美人がニコニコと笑ってる。
「あの課長、こちらの方は?」
「紹介するわ、僕の妻ね」
「初めまして、いつも主人がお世話になっております」
「あ、こ、こちらこそ、はじめますしてっ!!潟田と申しますっ!!いつも課長にはお世話になっておりまするっ!!」
緊張して嚙んじゃった......(汗)
目の覚めるような美人って表現があるけど、日来課長の奥さんがまさにそれ。
疲れてたせいか少し眠かったんだけど、そんなもの見事に吹き飛んじゃった。
うーむ、はっきり言って日来課長にはもったいない!!
落ち着いた色の和服を上品に着こなし、アップにした銀髪と赤い瞳がすごくきれい。
その瞳が私のことをじっと見つめてくる。
なんだか吸い込まれそうな赤いおめめだわ......
......ん??
「もしかして奥様って、レヌ星のご出身ですか?」
「ええそうよ。やっぱり......分かっちゃう?」
「そりゃあもう」
美男美女が多い(ってゆーか100パーセント)ことで有名なレヌ星人。
その銀髪と赤い目は、これまた大きな特徴でもあるのよ。
にしても日来課長って、異星間結婚だったんだ。
こーんな美人が奥さんだなんて、そりゃあ愛妻家にもなるわ。
ちくそー、うらやまちい!!
「そうでしょ?うらやましい?」
「ふーん!いいモーン!ショウコちゃんには歌保ちゃんがいるモーン!!クヤシくなんかないモーン!!」
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日来課長の車が停めてある駐車場まで、ガラガラとキャリーバックを転がしながら歩いていく。
「明日から祝日を合わせて三連休やし、ゆっくり休んでな。まあ、僕とあと何人かは出勤してるから、仕事しに来てもうても構へ.....」
「休みますっ!!!」
間髪入れずの休養宣言。
明日は朝からぐっすりと寝倒して、そのあとは繫華街へ行って地球の美味しいものを食べまくってやるんだからっ!!
だけどその前にまず、目の前の空腹をなんとかしないと(汗)
このままでは飢え死にしちゃうよぉ.......
「あの課長、私の家じゃなくて、その近くにあるラーメン屋で降ろしてもらってもいいですか?」
.............................................
バックミラーに手を振る部下の姿が映っている。
上司である自分の車が、角を曲がって見えなくなるまでは(一応)見送るつもりのようだ。
ちゃらんぽらんなようで、割とそういうところはちゃんとしている。
もっとも内心では、とっととラーメン屋に突撃したいに違いないのだが(苦笑)
助手席の妻が、少し残念そうにこぼす。
「せっかくだから、一緒にご飯を食べたかったわ」
「うん?」
「あの子でしょ?普段アナタが目をかけている『なかなかに優秀な』部下って?」
「優秀?......うん、まあ......そうやね。ああ、もしかして妬いてるん?」
「ふふっ、まさか」
くすくすと含み笑いをする妻。
彼女は知っている。
夫が自分以外の女に目を向けるような男ではないことを。
ハンドルを握りながら、少し真面目な口調でたずねる。
「で、どうやった?」
「ええ、亜空間トラブルの記憶については問題ないわ。少し残滓があったけど、さっき完全に消去しておいたし」
「ありがとね」
しばらく二人で無言のまま、流れていく夜の街並みを眺めている。
やがて妻がぼそりとつぶやく。
「まだ、少しだけ早いわ」
「僕は?」
「アナタは特別よ.....超の付く特例」
「それは光栄やわ」
再びの、少しの沈黙。
妻が何を考えているのか分かる。
いや、分かる気がしている。
「いい子ね、彼女」
「そうやね」
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