亜空間の中で
お読み頂きありがとうございます。楽しんで頂けたら嬉しいです。
ふと気が付くと、見たことのない場所にいた。
上とか下とかそーゆーのは無くて、少し青みがかった暗い空間。
まるで宇宙空間をただよっているみたい。
で、そのあちこちに、流れ星.....ってゆーか、人魂を細長ーくしたような白いモノがひゅんひゅん飛んでいる。
どこ.....?
ここ.....?
(システムエラー復旧中です.....)
(システムエラー復旧中です.....)
遠くから機械で合成された音声が聞こえてくる。
それで思い出した。
あぁ.....そっか.......
私、転送の途中で.......
なにかエラーがあって........
いやちょっと待って!!!!!
てことは何、ここって亜空間の中なの??
え?
いやこれ、かなりヤバくない??
汗々...
汗々...
か、帰れるのかなぁ.....
.......
.....
...
一瞬パニくったけど、それじゃどうしようもないって思い直す。
ま、まあ、「復旧中です」って聞こえたからには、そのうちなんとかなるかな?
そう思いなおして、気を静める。
いつも日来課長に「困ったらまず、深呼吸するとええよ」って言われてたもんね。
多分今の私って魂だけの存在だから、物理的な深呼吸は出来ないけど(苦笑)
すーーーっ...
はーーーっ...
よしっ!!
少し落ち着いたところで、辺りをキョロキョロと見回してみる。
ぐるうっと全体を見渡す。
と、自分から見てだいたい右下あたりに、白い流れ星(それともヒトダマ?)の見当たらない真っ黒な部分があった。
そこへ注意を向けると、身体(意識?)がぐるんって方向転換する感覚があって、その真っ黒なのが真正面にきた。
なんだろ、あれ??
(只今、システムの復旧中です...)
(只今、システムの復旧中です...)
(お客様におかれましては、大変ご迷惑をおかけしております...)
(心よりお詫び申し上げます...)
いや、感情の無い機械音声で「心よりお詫び」って言われてもなぁ.....
いきなり亜空間へ置いてきぼりにされて心細かったせいか、ちょっとイラっとしちゃう私。
その途端、目の前になる黒い何かがぐぐっと大きくなる。
あれれ?
あ、いやこれって多分そうじゃない。
私の方が引き寄せられたんだ。
で、女の直感が、なんとなーくだけどあの黒いのには近付かない方がいいって言ってるの。
だけど、離れようとしても離れられない。
ああもうっ!!
再びちょっとイライラっとする。
するとまた、すすすーっと黒いのに近付く。
いや待って待って待って!!
ヤバいヤバい、なんかヤバい!!
.......
.....
...
しばらくして、何となく状況が理解できた気が.......してきた。
ヒントになったのはエント星の国王陛下のおコトバ。
「怒り」の感情を持ったまま亜空間に入ると、肉体も魂も引き裂かれてはじけ飛んじゃうってハナシね。
.......こわいよぉ(涙)
多分あの黒いヤツがそうで、「怒る」と引き寄せられる。
で、近付きすぎると魂がはじけ飛んで、二度と出てこられない。
そうそう、それで思い出した。
チュウさんが、まるでブラックホールみたいだって言ってたわね。
ん?
まてよ??
だとすると.......
..
..
..
..
..
うん、今度こそ本当に分かったと思う。
.......
.....
...
亜空間じゃなくて、宇宙にあるホンモノのブラックホールってのは、超新星爆発なんかで星の欠片が超々々圧縮されてできる、すっごく重い物体。
だからその重力(引力?)で周りの物体をなんでも引き寄せて、さらにどんどん重くなっていく。
ま、歌保ちゃんほどには脳ミソのシワが少ないショウコちゃんとしては、この程度の理解までが限界なんだけどね(汗)
だから亜空間にあるあの黒いのは、「怒り」という感情のエネルギーが集まってできた、精神的な一種のブラックホールなんだと思うの。
そしてもうひとつ、国王陛下の仰ってたことがある。
それは、亜空間が発見されたのは、宇宙人さん達が「怒り」の感情を捨て去ってしばらくしてからだってこと。
つまり、大量に廃棄(?)された「怒り」のエネルギーが行き場を求めて集約されたあげく、この亜空間が生み出されたんだわ。
宇宙人さん達が「怒り」の感情を持たない(持てない?)くせに、ちゃんと「喜び」の感情を持っているのは、捨て去った「怒り」の感情がきれいさっぱりと消えたからじゃない。
それらは全て、この亜空間へ流れこんでいる。
「怒り」の感情は、この亜空間を維持するためのエネルギーになってて、そしてその中心に、あの黒いのがあるってことね。
なんてことだろう........
このかわいいショウコちゃんが、亜空間の秘密を解き明かしてしまった........
運命は残酷ね........
いくら私が絶世の美人だからって、ただの女の子であるショウコちゃんに、こんな重い真実を背負わせるなんて........(と、とりあえず、今後のことは日来課長にでも相談しよっかな?)
ん??
なんだかおケツのあたりがムズムズする........
なんだか後ろから引っ張られる気がするわね........
遠くで声が聞こえるわ........
(システムが回復しました...)
(システムが回復しました...)
(お客様には、大変長らくお待たせいたしました...)
(心よりお詫び申し上げます...)
(まもなく、転送が再開されます...)
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