エント星 2
お読み頂きありがとうございます。楽しんで頂けたら嬉しいです。
「4つ足動物の足音の音響サンプルの鳴らすね。上手くのおびき寄せられるといいけど」
「はぁい」
小さくガコンと音がして狼ちゃんの前輪近くにある小型スピーカーが前方へ展開し、地面に向かって4つ足動物の足音を合成した音をながし始める。
しばらくは待ち時間、お腹すいたなぁ.....
砂土竜、それは直径約2メートル、全長約30メートルの巨大な筒状の生き物で、そんなにも大きなクセに生意気なことに(?)地面の下に住んでいる。
ま、土竜って名前ではあるけど、見た目はまるで巨大なヘビかミミズ。しかもその筒の端っこはびっしりと細かな歯のついたギザギザのお口になってて、うん、これはヤツメウナギが近いのかな?
もちろんハイソなお嬢サマであるところの(?)ショウコちゃんは、実物なんて見たこと無い。
チュウさんの資料にあった写真で見ただけだよ?
ま、ハッキリ言ってグロい。
なのに生意気なことに(本日2度目)食べると美味しいらしい.....(疑)
「うーん、でも宇宙人達にしてみれば、タコやイカ、それに海鼠を好吃好吃って食べるの人類にそんなこと言われたくないんとちゃうのかな?」
「何を言ってるんです?タコもイカも、ナマコだって普通に美味しいし、見た目も別にグロくなんかないですよ?」
「.....そうやろか?」
で、こんなのが地面の下をどりゅどりゅどりゅどりゅって掘りながら近づいてくるのはなかなかの恐怖よね?
4つ足の動物が好みらしく人間は食べないらしいけど、それでもこんなのが足元でぐにぐに蠢いてるなんて、やっぱ怖いもんは怖い。
ちな、養殖にはこの星の特殊な環境が必須らしく、これまで何度も他の星で養殖が試みられたんだけど、ことごとく失敗しちゃったみたいよ。
それゆえに希少かつ上等な食材なもんだから、養殖じゃなくて天然モノともなるとさらにグレードアップした扱いになるの。
つまり天然モノの砂土竜はすべて、まずは国王陛下への献上品になる決まりで、それらが国民に下賜されてから市場に出回るということになってて、それで余計に高級品になるらしいわ。
うーん......ほのかな利権のかほりを感じないでもないわね.......(汗)
ま、とにかくそんなわけで、王様に会うってんならここらで天然モノの砂土竜の捕獲はむしろマストかもしれないのよ。
.......
.....
...
「2時の方向、近付いての来るよ。狼さんの向きの変えるよ」
「り、りょーかいでぇす......(ドキドキ)」
地面の振動から解析した砂土竜の動きがモニターに表示されている。
ピコンピコンと点滅するのが、だんだんと近付いてくるわ......
私の乗ってる砲塔部分は旋回しないから、チュウさんが狼ちゃんを動かして微調整してくれる。
ちょっと不便かもだけど、ただでさえ上のコックピットは車酔いしやすいんだから、これに旋回まであったらきっと大変なことになるわよね(汗)
「もうすぐ来るのことよ。深度8メートル.....5、4、3、2、1......そら出たよっ!!」
チュウさんのカウントに合わせ、巨大な砂土竜が地面を割ってバオンって飛び出す。
そのままびょーんと10メートル以上は飛び上がって、今度はぐねぐねしながらこっちへ向かって落っこちてくる。
「ひゃあぁぁっ!!」
「今よ潟田さん!!撃つのことよ!!」
「こ、ここ、こっち来んなっ!!おりゃぁっ!!!」
バン、バンっ!!
乾いた音を立てて左右の大砲から弾丸が飛び出す。
それらは空中で割れると網になって広がり、砂土竜の巨体にからみつく。
ドスンっ!!
っと地響きを立てて、大きなミミズみたいなのが落っこちてきた。
うねうねとのたくるけど、それでますます網がからみついて次第におとなしくなった。
「やったね!まずは一匹目確保のことよ」
「ふぅぅ.....よかったぁぁ.....」
「この調子で、あと1、2匹は捕まえてくのほうがいいね」
「えー!」
狼ちゃんに搭載されている「亜空間倉庫(便利ねぇ)」に砂土竜を収納すると、休む間もなく2匹目を探して狼ちゃんは走り出した。
.......
.....
...
「これ、ちょっとヤバいかものことよ」
「え?......あ、ピコンピコンがもう1コあるっ!!」
さっきまでモニターの点滅は1つだけだったのに!!
きっちりテンパる私に対して、チュウさんはのんびりした口調を変えない。
「うーん、2匹の振動のが重なってたのかもね。近付いてきたから分かっ...」
「どわぁぁっ!!!で、出たぁっ!!!」
チュウさんが言いおわらないうちに、1匹目の砂土竜っ!!
そして立て続けにすぐ後ろからもう1匹っ!!
ブオンッ!!
ってチュウさんが狼ちゃんをその場から移動させる。
間髪入れず、もといた場所に1匹目の砂土竜がキバだらけのおクチをガチガチいわせながら突っ込んだ!
そのまま再び地面の中へ潜ってしまう。
「逃げちゃった!も、もう1匹はっ?」
「後ろから追ってのくるねぇ」
「な、なんでそんなに落ち着いてられるんですっ!?」
「いやだって、あれ、なかなかの大物よ?レアよ?この狼さんの大きさのとあんまり違わないの個体って、これは良い献上品になるのことよ?」
「なにあれぇっ!!で、でかっ!!」
メインモニターの右端に後部カメラの映像が映ってて、さっきのよりはるかに大きな1匹がのたうつように蛇行しながら追ってくるぅぅっ!!
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