エント星 3
お読み頂きありがとうございます。楽しんで頂けたら嬉しいです。
うねうねうねうね!
ガチガチガチガチ!
「ひえぇぇっ!!」
「大丈夫のことよ、この狼さんが本気の速さ出したら追い付けやしないから」
「ほ、ほんとですか?あのモグラ、ムチャクチャ速いですけどぉっ!!」
地面の中から襲ってくるのも怖いけど、歯を鳴らしながら追われるのはもっと怖い!!
明らかに私達をゴハンだと思ってるじゃん!!
じょ、じょおだんじゃないっ!!
まだ若い身空で、異星のモグラのウンチなんかになってたまるもんかっ!!
是が非でも取っ捕まえて、この星の王様のゴハンにしてやるんだからっ!!
そうは言っても、狼ちゃんの運転はチュウさんに任せてるし、照準が合わないことには無駄弾を撃つことになっちゃう。
なんて考えてたら、そのチュウさんが突拍子もないことを言い出した。
「このまま逃げるのばっかりじゃ埒が明かないね。潟田さん、分離して空から撃つのよろしく。僕が引きつけるのするからね」
「はい???」
一瞬聞きまちがえたかと思ったその直後、ごおぉぉって音がしてシートに身体が押し付けられる。
走る振動が消え、モニターの景色がぐるりと回って青い空とギラギラした恒星が映る。
上下左右から不規則にGがかかり、目まぐるしく変わるモニターの映像。
これってもしかしてっ!!
「とっ、飛んでるぅぅぅぅっ!!!!!」
.......
.....
...
うぅっ.....き、キモチワルイ......
吐き気をこらえながら操縦桿をにぎりしめてるけど、狼ちゃんの自動操縦だからそれが勝手に動く。
まったく何ていう設計なの!!
まさか砲塔部分だけが分離してヒコーキみたいに飛ぶなんて思ってもみなかったわ!!
「とにかくモニターに集中のして!目標をセンターに入れてスイッチの押すよ!」
「......は.....い......」
ダメ、お口を開くとお昼ごはんが出てくるっ!!
脂汗がにじむ。
奥歯をかみしめる。
おかしいなぁ.......
私だってフツーの女の子なのに、こんなとこで何やってんだろ......?
オフィスでキーワードを叩いてちょこちょこっと仕事してさ、友だちとランチして給湯室で駄弁って、それで夜は合コンに行く。
社会に出たらそうやってのんびり生きていくもんだと思ってたのよ?
なのに今の状況.....なんなのよこれ???
「潟田さん、今、撃つのタイミングよ!!」
(ぅえっ??)
チュウさんの言葉に、不意に我にかえる私。
モニターの照準、そのセンターにうねうねが映っている。
(おりゃぁっ!!!往生せいやぁぁっっ!!!)
心の中で絶叫しながら何度もトリガーを引く。
いくつもの特大の網が展開し、巨大な砂土竜にからみついてその動きを止めてくれた。
.......
.....
...
「ふーっ!な、何とか捕まえましたね。それじゃ戻っていいですか?」
モニターには「合体しますか? Yes or No」の文字が表示されてる。
すっかり気が抜けて「Yes」を選択しようとしたその時、チュウさんののんびりした声が真逆のことを言う。
「まだのことよ!もう1匹いるのこと、忘れないで」
「忘れてたっ!!」
やば!!って思った次の瞬間、地面が割れて最初に逃げた砂土竜が飛び出し、また空中に浮かんでいる砲塔に向かって飛びかかって来た。
「だがしかーし!まっすぐこっちに来るなんて、かっこうの的よ!えいっ!!」
「いや潟田さん、もしかして.....」
カチン、カチン......え??
「うそぉっ!!弾丸切れぇぇ???」
「やっぱりのこと.....仕方ない。狼さん、変形のしなさい!」
「え?ええーっ???」
ガコンって音がしたかと思うと、砲塔の両側に2本のゴツくて大きな腕が出てくるっ!
飛びかかってきた砂土竜をひょいと躱して背後に回ると、そのゴツい腕でうねうねする巨体をホールド!
んで、すかさずチュウさんの乗るバイクへ向かって放り投げたっ!!
「おえっ!ゆ、揺らさないで.....」
「オッケー、実はこっちにも予備の砲のあるんよ。あとは任せるのことね!」
パスパスっ!
幾分か小さな音と共に、これまた少し小さな網が砂土竜にからみつく。
ズシーンと地響きを立てて落っこちる手土産。
その後の顛末を見届けることなく、ショウコちゃんはコックピットに備え付けのエチケット袋を開くことに専念していた......
.............................................
「そろそろ目的地の着くよ」
「はぁい......」
まだちょっとクタビレてる私。
運転はチュウさんに任せて、コックピットの空調をキツめに効かせてボンヤリしてる。
手土産としての砂土竜は3匹も捕獲できたし、しかもそのうちの1匹はなかなか見たことの無いレベルの大物だったからもう十分だろうってことになったわ。
あーしんど......
まだちょっとキモチ悪いけど、それでも安心したらチャッカリお腹がすいてきた......
「夕方までには着きたいですね」
「大丈夫のこと。ほらあそこ、もう見えてのきてるよ」
「......何処.....ですか??」
何にも無い、わけじゃないけど、前方にあるのは大きなな地割れ。
王宮とかの建物は見当たらないわね。
「いいや、地割れが目的地よ。エント星の王宮はこの谷の底にあるんよ?」
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