エント星 1
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エント星の宇宙港を出ると、一面の荒れ地が広がっていた。
「なんだか......コータット星へ戻ってきちゃったみたい.......」
「そやね、ここも荒れ地と砂漠のばかりの星やからね。日焼け止め、ちゃんと塗ったのこと?」
「ええ、モチロン。それにしても熱いですねー」
「とっとと狼さんに乗るのことよ。コックピットに空調の効かせてもらお」
「さんせーです」
「いつ砂土竜が襲ってくるかのも分からないしね」
「大さんせーです!!」
えっちらおっちらハシゴを登ってコックピットに乗り込むと、シートベルトをしっかりとしめる。
既に冷房が十二分に効かせてくれてあって涼し~♪
すぐに汗が引いていく。
ま、それでも降りる時に、大量の冷や汗をかくことになるんだろうなぁ......
「じゃあ出発のするよ。もし途中で砂土竜を見つけたら捕まえてくのからね」
「りょーかいです!」
ブルルンとエンジンをふかし、狼ちゃんが勢いよく走り始めた。
......
.....
...
この星については、チュウさんの資料で予習済み(ちなみに有料でしかも結構いいお値段。まあ経費で落ちるからいいんだけどね)。
資料によるとこのエント星はほとんどが不毛な荒れ地か砂漠ばっかりで、人々のほとんどは少し離れた場所にあるガメス星系とラント星系にあるいくつかの惑星に分かれて住んでいる。
しかもこの二勢力は、ただいま紛争状態まっただ中。
え?
宇宙人達は戦争なんかしないんじゃなかったかって?
うーん、そのあたりの判断はビミョーなとこなんだけどね、それでも命のやり取りをしてるわけじゃあ無いのよ。
この狼ちゃんの大砲と同じく、捕獲網やペイント弾を装備した乗り物を使ってて、それでもスポーツのレベルって言うよりは、やや「やんのかオラぁ!」な戦争ゴッコって感じ?
しかも、このエント星だけじゃなくて、2つの星系のあっちこっちの惑星でもう100年以上もドンパチやってるんだって(汗)
「見て潟田さん、あっちでやってるのことよ」
「うわぁ、いっぱいいますね.....」
狼ちゃんがブレーキをかけて止まる。
チュウさんに言われてその方角を見ると、1人乗りの小っちゃなロボットみたいなのが何10機も、わらわらと入り乱れてバンバンやっている。
この狼ちゃんに比べればずいぶん小型で大きさは5メートルぐらい、1人乗りのジープみたいなものだそうよ。
「えーと...緑色のがガメス星系軍で、黄土色のが...」
「ラント星系軍のやね。うん?ガメス星系軍は精鋭の軍やわ。じきに勝負がつくのことよ」
「なんで分かるんです?」
「狼さんのカメラをズームアップのして見てごらん。右肩が赤く塗られてるのでしょ?」
「えーと.....あぁホントだ。あれってもしかして?」
赤いペイント弾が当たるとロボットは動きを止め、しゃがみ込んだようなポーズになる。
それが撃墜されたってことみたい。
でも赤い色が付いてるのに動いてるのもあるじゃんって思ってたら、どうやらはじめから右肩だけ赤く塗ってあったのね。
チュウさんの資料にあった注意事項を思い出す。
赤い肩のガメス星系軍に会ったらすぐに逃げること、って書いてあった。
喧嘩っ早くて気性の荒い人達を厳選した特別な部隊なんだって(汗)
「見つかる前にとっととずらかるのことよ」
「はぁい!行きましょう!!」
両方の軍とは無関係だけど、もしもペイント弾を当てられちゃうと、この星の法律に則ってその場で1日待機しなくちゃいけない。
修理にそれだけかかるって設定なのと、実際、ペイントを落とすのにそのぐらい時間がかかるらしいわ。
ここが最終案件なんだし、そろそろこの長い出張も終わりにしたい。
それに何より、早く地球のごはんが食べたいのよぉっ!!!
......
.....
...
「ここらへんは4輪のモードにするかな?」
チュウさんが狼ちゃんの操作をしたみたいで、前輪が真ん中からふたつに別れる。
多分後輪もおんなじ変形をしたらしく、狼ちゃんは4輪モードに。
スピードも少し落としたみたいで、ちょっとだけ揺れるのがマシになった。
「火星のお菓子とかの手土産は持ってきてのいるけど、やっぱり天然モノの砂土竜を2、3匹は捕まえておきたいのからね。何せ取引相手はこの星の王様やから」
「そうですね。ここまで急いで来たせいか、全然エンカウントしてないですもんね」
そうなのよ。
実は今回仕入れようとしている「お薬」の材料ってのが、この星に生息している砂土竜っていう巨大な生き物の肝を干したヤツ。
んで、その取り引きと輸出に関しては、この星の国王陛下の許可が絶対に必要なの。
岩と砂ばっかりのエント星だけど、ここの砂土竜のお肉は珍味として超広域宇宙生活圏連合で知られていて、この星の超重要産業として養殖がなされているわ。
私?モチロン食べたことなんか無いわよ......(涙)
捕獲の大変さもあって、やっぱり天然モノの方が高級品扱いなもんだから、国王陛下への献上品としては非常に説得力がある。
だから拝謁するまでに、ここは何としても取っ捕まえておきたいところね!!
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