第93話:『探究の古城』
「手紙?」
「ああ、誰からか分かんねぇけど来てるぜ?しかも伝書鳩で。急用だって言うなら風属性の魔法で送る手もあるってのに、わざわざ伝書鳩で届けるなんて古風だよな!」
悪龍を戦棍一本で叩き殺すお前が言うな、と内心で少しだけ思いつつもガルシャから封蝋の手紙を受け取る。
「なんかあれだね。こうやって蝋で封をされている手紙って、「ザ・ヨーロッパ」って感じがしていいねえ。……で、どうやって開けるのこれ?」
「要するに手紙が開かないように蝋で封じているだけなので、その赤い部分をぺりぺりっとやれば大丈夫ですよ?」
「ふむふむ。なるほど……って、ボロボロになっちゃったんだけど?!蝋のところに綺麗な模様があったのにい!!」
「当事者以外の誰かが開けたかどうかを判別するために、わざとそういう作りになってますからねー」
「……先に行ってよ。それ」
「そんなことはどうでもいいから、早く手紙を読んでくださらないかしら?」
手紙でのやり取りなど中世ヨーロッパ風の世界では日常茶飯事。しかもあのローゼンガウラ家のご令嬢ともなると、そんなものは何も珍しくないのだ。イライラするメイア様を後目に、ちょっと泣きそうになりながら折り畳まれた手紙を取り出す。
「えっと、「ゼロスト教の女神を侍らせる少女・エリカよ。テルルはワタシの手中にある。返して欲しければワタシと対決せよ。『探究の古城』にて待つ。――カロルより――」だって。…………え゛っ?!テルルがカロルにやられたってこと?!あんなに強かったのに?!!」
「テルルが負けた……?カミサマパワーを全開で戦っていたあのテルルが……?どういうことなんでしょうか?とにかく一大事です!一刻も早く向かいましょう!!」
「待つであります」
小さな身体でピンクの鎧の騎士が制止をかける。
「セレン殿がそう疑うのであれば、罠である可能性が非常に高いのではないでありましょうか?『探究の古城』と言いますとカロルの本拠地でありますし、敵陣に乗り込むような真似は止めた方がいいかと」
「カロルって魔王軍の中でも『魔術王』って呼ばれるくらい魔法の知識が豊富で賢いんでしょ?だったらテルテルを打ち負かすこともあるんじゃないのー?」
「ルナティさんも見ましたよね?【ウロボロス】を持ったあのアラキラさんですら『コンビクションソード』で一撃で死んだんですよ?そんな相手をカロルが倒せるとは思えないんですけど?」
「でも、「テルルはワタシの手中にある」と書いてあるのでしょう?だったら、何かしらの方法でテルルを倒したと考えるのが妥当じゃないかしら?そうでないと私たちに接近してきた理由も説明できませんわ」
「後はカロルがゼロスト教について知っているのも謎でありますね。200年以上生きている私ですら知らなかった宗教をカロルが知っているのは何故でありましょうか?」
「いずれにせよ」
普段は日傘として愛用している刺突剣を杖のように刺して立ち上がるとこう言った。
「『探究の古城』に乗り込んでカロルを倒し、全部吐き出させてしまえば分かることよ」
☆★☆★☆
「ドウブツエンの準備で忙しいっていうなら、カロルの相手をおれたちに任せて進めてもいいんだぜ?どうせおれたち暇しているしな」
「ありがとう。でも、囚われているのはセレンの妹なんだから、この問題は私たちだけで解決したいんだ」
「……そうか。危なくなったらいつでも『ワープ』で帰ってこい。聖剣も返ってきたことだし、今度はおれたちが相手になってやる」
『探究の古城』に行ったことがあるということで、レオルスに『ワープ』を使ってもらって移動。その後に絵理華とレオルスの二人で他のメンバーたちの移動を終えると、レオルスは『ワープ』で帰って行った。
「話には聞いていたけど不気味な場所でありますね」
「ふん。ローゼンガウラ家の所有する別荘よりも古くて汚い館ね。こんな場所に住むのなんて死んでも嫌だわ」
『そう言われると傷付くな……。死してなおこの城に住み続けるモノもいるというのに』
虚空から声が響いた。数舜の後に目の前の空間が歪んだかと思うと、六つの宝珠が嵌め込まれた杖を持った骸骨が姿を現した。
魔術王カロル。
魔王軍の中で最も魔術に長け、最も豊富な知識を持ち、そして策謀を巡らせすぎるあまり、最も行動力が遅くて尻の重いモンスターだ。
「……テルルを幽閉しているというのは本当ですか?もし本当だとしたら、あなたはどうやってテルルに勝ったのですか?」
『商売が上手く行っている商人が売り上げが増えたコツを教えると思うか?ワタシだったらその秘術を独占して更なる利益を貪るがな』
「だからあなたは魔王軍なんですよ」
『永い月日の中で何度も言われたことだ。今さら気にせんよ。さて、立ち話も何だろう。まずは貴様らが疑って止まないテルルが幽閉されている場所へと案内しようではないか。大丈夫。今回はアラキラの件のように『ジルジの天秤』で事実を捻じ曲げたりはせぬから、ついて来るがいい』
「どうしますか絵理華さん?」
罠という可能性だって十分に考えられるが、ここまで自信満々に言うということは、本当にテルルを捕えているのだろう。
「分かった。行こうか」
『罠などないから安心せよ。何なら、不死身であるワタシ自らが罠の中に飛び込んでやろうか?』
かたかたと快闊に笑いながら風化してボロ布となったローブを揺らし、館の中へと消える。
☆★☆★☆
空気が籠って黴臭い匂いのする階段を降りて地下へ。
「お姉さん…………」
壁から伸びる鎖に手首を繋がれて自由を失い、牢獄の中で項垂れた金髪の少女がいた。
「テルルっ!!」
愛する妹との再会がこんな形になるとは。冷たく錆びた檻をがっしりと握る。
「どうしてしまったんですか?!カミサマパワーがあれば苦戦するような相手でもないと思うんですが?!!」
乾いた髪に煤けたトーガ。
唯一生気のある緑色の瞳を向けながら囚われの少女は話す。
「カミサマパワーがなくなってしまったんです……。ここまで移動した時は確かにあったんですが、カロルとの戦闘に入った時には既になくなっていました」
「??どういうことですか?誰かに無力化されたということでしょうか?」
『言っておくがワタシではないぞ?』
傍らに浮かんだ『ジルジの天秤』を一瞥するも、天秤は傾かない。
『これで分かっただろう?ワタシがテルルを捕まえたということが』
「待ちなさい」
昼型吸血鬼の令嬢が割って入る。
「貴方はその杖で全ての属性の魔法が使えるのよね?だったらそのテルルが闇属性によって作られた幻覚である可能性だってあるってことでしょう?」
『……疑り深い奴らだな。勇者に何か吹き込まれたか?ならば『ディスティンギッシュ=シャム』でも何でも使えばいいではないか?』
『ディスティンギッシュ=シャム』とは幻影・虚像を消し去る光属性の魔法だ。
「えっと、『ディスティンギッシュ=シャム』は、っと」
「悪魔によって作り出されたまやかしを消し去り、本当の姿を示せ!よ。これくらい覚えておきなさいな」
メイアに溜息を吐かれながらも檻の中に囚われた少女に手を向けて魔法を放つ。
が、金髪の少女の姿が消えることはなかった。
『……もう満足か?これで分かっただろう?ワタシが貴様らを嵌める気など毛頭ないということが』
「じゃあ何故わたしたちを呼び寄せたんですか?わたしたちを倒したいからでしょう?」
『勿論それもあるのだが、ワタシの真の目的は――』
かしゃり、と地面に骨を打ち鳴らしながら片膝をついて頭を垂れるとこう言った。
『ゼロスト教の女神セレン。貴女に会うことだ』
「なろう」にていいねが一件増えました!いいねしてくださった方ありがとうございます!!
今日のトーク何にしよう?このコーナーだけで毎回30分~1時間くらい考えて書いてるから結構大変なんですよね……。感想欄とかで「このキャラクターの話が聞きたい」とか「ここの設定について知りたい!」とか意見があると楽なんですけどねえ。
よしきた!!最近「ウマ娘」にハマっているので「四連サトノダイヤモンド事件」について語りましょう!!
最近意識して「ウマ娘」のグッズを意識して集めるようになって、まず最初に食玩のマグネットコレクションを買いました。
全14種類。何が出るかと開封してみたらサトノダイヤモンドでした。
そこから一週間くらい経ち、イオンで500円のフィギュアのガチャを発見しました。
ラインナップは3種類。キタサンブラック・サトノダイヤモンド・マチカネタンホイザ。とりあえず引いてみたらサトノダイヤモンドでした。
さらに一週間後。「さすがに別のキャラが出るだろ」と思いながら引いてみたらサトノダイヤモンド(2種類あるうちの別バージョン)でした。
同日、食玩のマグネットコレクションを再び購入。開封してみたらサトノダイヤモンドでした。
わずか三週間程度のうちで、ランダム封入で同じキャラクターを四回引くという珍事。こういうことってあるんですね!!
ではまた!これからもよろしくお願いします!!




