第69話:『ドンガーラ市マンティコア抹殺作戦』
『マンティコア』と言えば、ライオンの身体に蠍の尻尾、蝙蝠のような形をした大きな翼を持つモンスターというイメージをほとんどの人が持つだろうが、このイメージは20世紀に登場した「ダンジョンズ&ドラゴンズ」によって定着したものであり、実際のマンティコアには翼は存在しない。
燃えるような赤い身体を有し、顔は青い瞳を持つ人間・胴体はライオン・尻尾は蠍の姿をしたモンスターであり、ペルシャ語で「人喰い」を意味する「マルティコラス」をプリニウスが『博物誌』にて「マンティコラ」と誤植。それによって英語名で「マンティコア」となって定着したとされている。
「ClmoXAqso!!」
顔は人間の形をしているため人語を話すことができるそうなのだが、それは何も知らない人間を誘き寄せて喰い殺すための罠。管楽器の音に似た聞き取り不可能の『音』を喉から鳴らして威嚇する。
「マンティコアは尻尾の部分に猛毒を持っているであります!鋭く尖った先端部分を飛ばして攻撃することもできるので、注意するであります!!」
「厳しそうなら加勢するわよ?【朽ち褪せない騎士道】だけで持ち堪えられそうかしら?」
「お心遣い感謝であります!ですが、ここは私一人で引き受けるので大丈夫であります!!」
「そうは言っても――」
言葉を続けようとしてハロイラの横顔を見る。
出逢ってからまだそれほどの日にちが経ってはいないものの、あんなに真剣な表情をした彼女の顔を見るのは初めてだ。
「……分かったわ。危なくなったらすぐに呼んで」
「これくらいっ!耐えて!見せるでっ!あります!!」
獅子の前脚による引っ掻き、櫛状に三列に並んだ牙による噛み付き、毒針を有した尻尾を使った突き刺し。
猛攻を受け止めるのに必死で言葉が途切れ途切れとなり、毒針が刺さるたびにルナティの解毒魔法が光る。
「今のうちに魔法を詠唱してください絵理華さん!」
「な、何を撃てば」
「ああもう!『サンセットアロー』でいいと思います!火属性と光属性を合わせた魔法です!!」
……北欧神話の神様たちにお願いして、ゼロストにスマートフォンで魔法が調べられるように頼んでもらおう。
そう決心しながら準備魔法を詠唱して、セレンから『サンセットアロー』を教わる。
そして、
「雲の隙間から漏れる転舜の光を裁きの一撃へと変化させよ!サンセットアロー!」
『サンセットアロー』は属性を融合させた魔法の中では威力が低い部類に入る魔法だ。
その代わり詠唱に掛かる手間や連射性に優れ、その威力は似た系統であるファイヤー=ミサイル・フラッシュ=ミサイルよりも高い。
構えた手からレーザー光線のような光が射出され、マンティコアへと真っすぐに向かっていく。
が、
「FyLKagJp!!」
素早く身体を捻ってこれを躱す。
「避けられた?!!」
「連射です絵理華さん!!当たっても殺してしまうようなことはないはずなので、手数で勝負してください!!」
何度も太陽光の弓矢を生成して射出するが、その度に身を翻して回避され、逆立てた尻尾の先端から針を射出して撃ち落とす。
「全然当たんないんだけど?!」
「ボクが止める」
「貴女はただの大きい虎になるだけじゃない?尻尾の毒が相手ともなると貴女じゃ止められないわよ。エリカに向かって飛んでくる針でも撃ち落としていなさい」
傘の頭の部分を取り外すと、傘の柄の部分を構える。
刺突剣ブラッドサック。
数多ものモンスターの血を吸ってきた、メイアが愛用する刺突剣である。
「君こそ無理があるんじゃないの?刺突剣一本でマンティコアに対抗できるのかい?」
「……言ったでしょう?私のポジションはサブディーラー。パーティで足りない火力を補うのが仕事よ」
「だったら、回避タンクをしているボクの方がよっぽど向いていると思うけど?それとも、その刺突剣に何か仕掛けがあるのかい?」
「忘れていないかしら?私のもう一つのスキルを」
【アブゾープション】。
味方から魔力を吸収する代わりに、吸収した魔力を攻撃力へと変換することができるスキルだ。
「本当はあまり使いたくはないのだけれど、マンティコアを抑える手段が限られているのであれば仕方がないわ。……ところで、この中で魔力量が最も多いのは誰かしら?」
「MPを参照するのであれば、一番が絵理華さんで次がルナティさんです。ですが、絵理華さんはマンティコアへの集中砲火に専念しなければいけませんし、ルナティさんは回復魔法を使っているのでMP量が少なくなっています」
とことこと裸足で駆けながらセレンが説明する。
「ボクはそもそもモンスターだから魔力を持っていないし、ハロイラまで近づくのは危険だね」
「と、なると、貴女しかいないわね」
「わ、わたしですか?!」
驚いた様子で自分を指す。
「確かに、わたしなら一切使っていないので魔力を差し上げても問題ないですが、Sランク程度のMP(3,001~4,000)しかありませんよ?」
「それだけあれば十分。貴女の魔力を【アブゾープション】で吸収させて欲しいのだけどよろしいかしら?」
「どうやってやるんですか?」
この世界についてはほとんどのことを知っているはずだったが、【アブゾープション】は相当稀少なスキルだ。セレンですらもほぼ聞いたことがない。
事態が急を要するので少し焦った様子でセレンが聞くと、
「――するのよ」
「はい?」
声が小さくて聞こえなかった。
「声が小さくて聞こえませんでした!わたしは何をすればいいんですか?!」
「――するのよ」
頬を染めて恥ずかしそうに口籠るので、何を言おうとしているのか全く分からない。
「急を要するんですからはっきり言ってくださいよ!わたしは何をすればいいんですか?!!」
こうなったら絶対に聞き出してやる。
顔を近づけてメイアの顔を覗き込むと、意を決したようにこう言い放った。
「だから、貴女とキスをするのよ!!」
「はいい?!!」
「なろう」にていいねが一件ブックマークが一件増えました!いいね&ブックマークしてくださった方ありがとうございます!!
先日に引き続いて少女マンガの話を少し。
「りぼん」や「なかよし」などは読んだことがないので「ちゃお」に限定した話になってしまいますが、「ちゃお」の最大の魅力の一つには、いつ書店で本を手に取っても同じ漫画家に会うことができるという点もあると思っています。
例えば、「きらりん☆レボリューション」の中原杏先生や、「極上!!めちゃモテ委員長」のにしむらともこ先生、「ナイショのつぼみ」のやぶうち優先生、「ミルモでポン!」の篠塚ひろむ先生。
ここに挙げられた四本の作品はどれも過去にアニメ化した大ヒット作品ですが、これらのヒット作を生み出した四人の先生は、作品は変わってはいますが現在も「ちゃお」で連載を持っています。
なので現在でも「ちゃお」を手に取ると、欲しいグミをコンビニに買いに行くような感覚でこれらの漫画家と再び出逢うことができます。レジェンドと言えるような漫画家と比較的近い距離でいつでも逢えるというのは、なかなか貴重ではないでしょうか。
……コロコロについて話す隙がなくなってしまいましたね。期待していた人は申し訳ありません。続きは次回ということで!!
ではまた!これからもよろしくお願いします!!




