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第67話:『ライザーズ』へ二名様ご招待!!

「まあ、ここは何ですの?家禽の飼育小屋か何かかしら?」

「初めましてであります!ドワーフのハロイラであります!!」

「……また変な女を連れて来たな嬢ちゃん」


 LS(レジェンドエス)ランクの依頼を受けるためには、SSランクに相当する依頼を三つ達成させた実績がないといけないのだが、何も一気に熟す必要もない。

 動物園たるものが何かを知ってもらうのと、『ライザーズ』の活動拠点・寝食の場を説明するために『ワープ』で移動し、『アルミラージの集会所』へと入る。


「この人が『アルミラージの集会所』の店主・ガルシャだよ。私たちの活動拠点は客室の一室を使っているから、ガルシャにはちゃんと挨拶しておいてね」

「これからもよろしくお願いするであります!」

「おう。よろしくな嬢ちゃん」


 丁寧な態度で頭を下げる小ぢんまりとした騎士(ナイト)に対して、


「この暑苦しい男に頭を下げるんですの?(わたくし)に下げるのではなく?」

「……なあ誰か、吸血鬼を使った料理のレシピを知らないか?」

「ほう。この(わたくし)に勝てると言うんですの?相当腕に自信がおありのようで?」


 昼型吸血鬼は相変わらず強気だ。自分から引き下がる気はない。


「落ち着いて!こんなところで争っても仕方がないでしょ!!」

「ふんっ!淑女に頭を下げるのが下僕の役目よ」

「折角自然が多い所まで貴族様がご足労なさったのだから、星が綺麗に見えてモンスターに会える、とても素敵な場所にベッドを運び出しておいてやろうか?」

「あら?そのベッド貴方にお譲りしますわ。(わたくし)は室内で寝るから構わなくってよ」

「随分と騒がしいのが増えたな……」


 開け放たれた宿の入り口から靴音を鳴らして金髪と黒髪の男が入ってくる。


「あっ。トールとロキ。今日もあのお店で働き終わった後?」

「茶化すなよ。秘密にしていた趣味を家族に見られた気分だぜ。……で、そこの二人は何者だ?」

「ハロイラであります!よろしくお願いするであります!!」

「貴女から名乗るのが礼儀ではなくって?」

「(抑えてトールくん!俺たちが神なのは一般人には内緒だよ!!)」

「……オレ様がトールでこっちがロキだ」


 今にも「オレ様は神だ!!」とカミングアウトして殴り掛かりそうなトールをロキが必死に抑え込む。


「彼らは何をしている人たちなのかしら?」

「ここの従業員で動物園と『アルミラージの集会所』の資金稼ぎをする仲間だよ」

「ふうん。で、ランクは?」

「……オレ様たちは特殊な理由で冒険者になれなかった。だからランクはない」

「おーっほっほっほ!つまり、(わたくし)よりも『下』ということですわね!!」


 北欧神話では短気で喧嘩っ早いと言われるトールがここまで言われても持ち堪えている。接客業で鍛えた賜物か。

 大きな雷が一つ建物に落ちて大炎上の危機を感じたので、


「とっ、とりあえず動物園の方に行こうか!ささ、早く!!」


 ぞろぞろと新入り二人を誘導して動物園スペースへと向かう。


「ここが動物園ですの?」


 テュールとヴィーザルにもメイアが同じような態度を取ったが、テュールは「勇ましい女ですな!戦士だったら最強だったかもしれませんぞ!!」とか言いながら肩を揺らして大らかに笑い、ヴィーザルはこれと言って相手にしなかった。いきなり上から目線で物を言われて腹が立つのは分かるが、トールとガルシャにもこれくらい柔軟に接して欲しいものである。


「動物たちが飼育されているであります。ここにいる動物たちは、全てエリカ殿が【テイム】したのでありますか?」

「ふふん。ここのグリフォンたちの【テイム】にはルナティちゃんも一役買ったのだ!そして名前も一緒に考え……って、ごめんって!!ルナティちゃんは美味しいご飯じゃないよっ?!!だから、狙いを定めた猛禽類の目で見ないでえ!!」

「今は『ザ・モンスター』って感じのモンスターはあまりいませんけど、いずれは追加されていく予定です!」

「なるほど。王族が自身が所持する宝物を誇示するために王城を解放する式典に似たところがあるわね。……で、この宮殿は何かしら?」

「その中のドラゴン・アジ=ダハーカが作った宮殿だよ。『動物共と同じ場所で生活するのは性に合わん』とか言って、自分で宮殿を造っちゃったんだよね」

「宮殿、と言っても、随分と無骨なものね」


 アジ=ダハーカはゾロアスター教の聖典『アヴェスター』に登場するモンスターだ。


『アヴェスター』そのものが完成したのは3世紀頃と言われているが、紀元前11世紀頃に使われていた独自の言語で書かれたものを纏めた書物であるため、実際の成立年代はもっと古く、その頃の建築物となると、四角く切り出した大きな石の塊を煉瓦のように積み上げた形の建物となる。アジ=ダハーカは3,000年程度前の世界で語られていたドラゴンであり建築などに関する知識も必然的に古いものとなるため、石を積み上げただけの建物になってしまうのだ。


「ロマリアなどにある建物とは随分と違うでありますね。時折発掘される古いダンジョンに出てくるような遺跡にも見えるであります」


 それぞれが動物園の中で最も高い建物を評していると、


『素直に美しいと言ってはどうだ?我の宮殿をな』


 黒いガウンを身に纏ったブラックドラゴンの男が建物から姿を現す。


「……普通の人間ではないわね。貴方。禍々しいオーラが溢れ出ているわ」

『貴様こそ人間ではないな。血生臭い匂いが身体に染み付いているぞ?』


 一目で互いの素性を見破った両者が睨み合う。


『我が名はアジ=ダハーカ。世界最古の龍にして絶対的な『悪』。1,000を超える魔法を知る者なり』

「自分から名乗るなんて、少しは貴族としての礼儀を(わきま)えているようね。(わたくし)の名前はメイア=ローゼンガウラ。ローゼンガウラ家の娘でしてよ」

『ローゼンガウラ家か。随分と気高い娘を仲間にしたものだな』

「えっ?!ローゼンなんとか家のこと知ってるの?!」

『この世界に封印されていたとはいえ、地上の様子はずっと観察していたからな。多少のことは知っている』


 地面に転がって楽しくカミサマTVを観るザッハークを想像したが、彼は1,000種類の魔法を知るドラゴンだ。きっと絵理華(えりか)が知らないだけで地上の様子を知ることができる魔法もあるのだろう。


『夜型吸血鬼の筆頭・ガヴェウス=ユーゴリスとの戦いは見事であった。ラウノーラ=イグロータストとイズヴェル=ローゼンガウラ。イグロータスト家とローゼンガウラ家の見事なコンビネーションがなかったら、貴様ら昼型吸血鬼は分裂に失敗して滅んでいたかもしれんな』

「……?……!え、ええそうね!そんな古い時代から(わたくし)たちのことを知っているなんて、感無量ですわ!!」

「私が生まれるよりも前の時代の話でありますね……」

『??』


 どうやら昔の時代過ぎて当のローゼンガウラ家のお嬢様ですら又聞きでしか聞いたことがないらしい。微妙な空気感が三人の間に流れる。


「とっ、とにかく、(わたくし)のことを知ってくれているだけで嬉しいものよ。ここにいるモノたちは誰も知らなかったのですし」

「ルナティちゃんは『何か凄い名家』程度には知っていたけどー?」

「私も知っていたでありますよ?」

「私も知識としては知ってましたよ?」

「……ならば、もう少し丁寧な接し方というものができないのかしら貴女達」


 ガチで知らなかったのは異世界に来て日が浅い絵理華とタイガだけだったようだ。何だか冷たい視線が向けられていると、


「なあラウン。やっぱりおかしいと思うんだ。勇者であるおれが山の中に入って水汲みや薪割りをするのはっ!」

「これもモンスターを倒すための鍛錬だ。意味のないことなどない」

「美味そうな山菜が採れたな。早速ガルシャにスープにしてもらおうぜ!」

「怪しいキノコでも【女神の祝福】で浄化すれば食べられます。スープに入れたらもっと美味しくなりそうですね」


 ごそごそと近くの森林を勇者様御一行が通り過ぎる。

 勿論、聖剣リライトの話で盛り上がっていた二人が聞き逃すはずもなく、


「こっ!『煌々(こうこう)たる裁きの剣』の勇者様御一行?!!」

「どうしてこんな所にいるでありますか?!!」


 驚きを隠せない表情を作り出す。


「……おいレオルス。大声を出すから気づかれてしまったではないか。私の計画は完璧だったのに」

「ま、裏方に回って隠し通していたのが逆に奇跡みたいなものだったしな。仕方がないか」


 頭をポリポリと掻きながら振り返る。


「知ってはいるだろうと思うが、おれはレオルス。自分で言うのも恥ずかしいが勇者をやっている」

「その勇者様が、一体何の用で…………?」

()()()()()()()()()()()()エリカたちの手伝いをすることになっているんだよ」


 自分たちが負けたことと、その戦った相手が異教のモンスターと神であったこと。

 有事以外では秘密にしておいて欲しいと言われているため、表現をボカす。


「あっ、レオルス。今日から『ライザーズ』に加わることになったメイアとハロイラだよ」

「昼型吸血鬼のお嬢様とドワーフか。特にドワーフの方はリライトを作る時に世話になったな。ありがとう」

「よ、よよよよよ!よろしくお願い致します、わ」

「もももももも勿体ないお言葉でありますう!!」

「おうよろしく。まさかとは思うけど、動物側じゃあないよな?」

「あたしのような龍人・吸血鬼・ドワーフ・獣人は亜人種だから、そもそも【テイム】できないぜ?」

「あそこに住んでいる黒い龍みたいに、【テイム】できるモンスターだけど人間に変身できる、っていうパターンもあるからな。紛らわしいぜ」


 勇者様がトークに華を咲かせようとしている間も、メイアとハロイラは緊張して身体を小刻みに震わせるだけだった。ローゼンガウラ家のお嬢様が頭を下げるのは、かの昼型吸血鬼の祖先・イグロータスト家だけではないらしい。


「……で、様子はどう?」

「何かを企んでいるような気配はないね。案外ゴロド王の手足になる生活に辟易していたのかも?」


 一本の太い樹に背中を預けながらタイガとヘイムダルが何やら話しているようだったが、絵理華には会話の内容は聞き取れなかった。

「なろう」にていいねが一件、ブックマークが一件増えました!いいね&ブックマークしてくださった方ありがとうございます!!



 謝辞を述べると共に、何か面白い話題を提供しようかと毎回思っているのですが、なかなか思い浮かびません。ヒキヲタニートの悲しい宿命です……。


 ではまた!これからもよろしくお願いします!!

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