~ エピローグ 邂逅の予感 ~
本日二話目、エピローグなので短いです。
では、どうぞっ!
ハリソン=ホーガンは、目の前の光景を静かに眺めていた。
仕えるべき主人の娘であり、彼の護衛対象である、リリー=オルブライト。そして、その華奢な胸の中で涙を流す一体のオーク。
その光景を受け入れている自分を、ハリソンは実感していた。
人間とオーク。両者が共存する未来を、彼はこれまで心の底から信じて来たわけではなかった。
確かに、アルトというオークは賢く、こちらに危害を加えてくる様子も見られなかった。
また、彼が連れて来た、他の何体かのオークも、総じて穏やかな性格をしているように思えた。
それでもオークは魔獣だ。人間とは相いれない存在なのだという思いが、どこか心の奥底にあったように思う。
だからこそ、アルトのことを信用はしていたが、信頼はしていなかった。彼とリリーとが対面する際、護衛として無意識のうちに最大限の警戒をしていたのがその証拠だ。
そんなハリソンであっても、目の前の光景は美しく思えた。
互いが互いを思いやり、信頼している。
いつも飄々としているアルトが涙を見せたのも、相手がリリーだからであろう。
そしてリリーも、傷ついたアルトに寄り添おうと心を尽くしているように見える。
種族の違いなど関係ない。
野暮な言葉かもしれないが、二人の間には確かに絆があるように思えた。
(辺境伯閣下に……お話しする時が来たのかもしれんな)
これまで彼は、あくまでも状況の報告しかしてこなかった。
リリーに危険がなかったか。アルトというオークに危険性はなさそうか。リリーとアルトとの間にどのような会話があったか。
そのような情報を、私情を挟むことなく報告することに徹してきた。
それは、ハリソン自身が、自分の考えを決めかねていたからだ。人間とオークが手を取り合って生きるという未来図を、信じきれなかったからだ。
だからこそ、目の前で支え合おうとしている二人の姿に、彼の心は動く。
その姿は何よりも雄弁に、人間とオークが共存していけるということを語っているように思えた。
ロアージュ大深森。それは、王国の西の端に位置する、広大な森である。
その森を領有するオルブライト辺境伯と、『森の大賢者』、アルト=バイエルンとの邂逅の時が、すぐそこにまで迫っていた。
これで、書籍を想定した場合の第二巻が終了します。いやぁ……一段落ですね。
明日よりしばらくの間、書き溜め期間に入らせていただきます。リアルが少し忙しいため、少し時間がかかりそうですが、なるべく早くに連載を再開できるように頑張ります。
更新の状況につきましては、活動報告やtwitterでお知らせしていきたいと思いますので、よければそちらもご覧ください。
さて、お話に一段落がつきました。
……感想・アドバイスをいただけたら嬉しいです(*^^)v 香坂……けっこう頑張ったので、ご褒美をください(笑)
最後になりましたが、この小説を読んでいただき、応援していただきありがとうございます。
今後も皆さまに楽しんでいただけるよう、頑張って書いていきますので、よろしくお願いいたします。
それでは、次のお話でお会いしましょう。
香坂蓮でしたー。