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太陽が昇らない国の物語(仮) 第三部  作者: 岸田龍庵
火と星の旅路
23/34

崩壊する大地

ミランのお供、鋼鉄の護衛機械メタリオン

「T−2」の人間と機械の関係みたいな物にしようと思って登場させましたが、いまいち書ききれなかった気がします。

【寂れた村】

        

辺り一面が地響きに包まれる

大気までもが揺れているように感じられる

彼らの言う御山(おんやま)が揺れている

帝都の暴走が、御山までに及んでいる



村人:「村長、どうなってしまうんですか?」

村長:「御山が、御山が怒りに震えている

山の稜線が割れて、御山が崩れ始める

御山のかけらが村を襲う

村人:「村長、御山が、御山が」

村長:「皆の者、ここはもうダメじゃ」

地の底から溶岩が吹きだし、大地が裂けていく



村長:「ハイド様、村の衆を頼みます」

ハイド:「あんたはどうするんだ」

村長:「わしの肉体はこの地とともにある。この地が滅びるのなら、わしも滅びるまで」

村人:「しかし村長がいなかったら・・・」

村長:「生きて伝えるのだ。大地のわしらの教えを守っていくのだ」





【崩壊する大地】


裂け目が広がってゆく大地

地を流れゆく溶岩

もはや崩壊は止められない




【ベリッシモ号 甲板】

        

ハイドの船に乗り込んだ寂れた村の村人達

崩壊してゆく大地を見つめるハイド

裂け行く大地の中にミランの姿は見えない




【崩壊する大地】


火砕流の中を疾走(しっそう)するメタリオン

裂け目を跳躍するメタリオン

だが、足らずに馬の前足がひっかかり大回転するメタリオン

宙に投げ出されるミランとフレイ

したたか地面に打ち付けられる



ミラン:「イタタ」

背中を抑えるミラン

フレイ:「大丈夫かミラン?」

ミラン:「メタリオンは?」

地割れに挟まっているメタリオン

左腕が無くなり、顔の半分も欠損(けっそん)している


ミラン:「メタリオン!起きて!一緒に帰ろう」

近づくミランに、手のひらをパーにして制止するメタリオン

パーになっていた手がミラン達の背後を指さす

メタリオンの指先にはベリッシモ号がある

ミラン:「逃げろって・・・」

すっかり動かなくなったメタリオン

赤く光る目だけが意思表示をしている。

ミラン:「やだ!メタリオン、あなたならもう一度動けるでしょ!動いてメタリオン!一緒に帰ろう!」

メタリオンの目がまたたくと光が消えた

完全に動かなくなったメタリオン



ミラン:「メタリオン・・・」

ミランの肩を抱くフレイの手

フレイ:「行こうミラン」

ミラン:「フレイ・・・」

フレイ:「メタリオンはキミを全力で守ってくれた。リエルが僕を守ってくれたように」





【ベリッシモ号 甲板】


ハイド:「みんな乗ったか?」

人であふれかえっているベリッシモ号

崩れゆく地平を必死に走るミランとフレイ

冷たくなったリエルを背負って

ハイド:「あいつら・・・」

ミラン:「船長待って!」

ハイド:「早くしろ!お前達!」



出港するベリッシモ号

船が陸を離れると同時に轟音を立てて御山は崩壊してゆく

すすり泣きで埋め尽くされるベリッシモ号甲板



ハイド:「メソメソ泣いてんじゃねえぞ。

 お山はお前達が安全な場所に出られるまで耐えてくれたんだ。

 お前達がお山の最後から目を反らしてどうする。

 しっかりと目に焼き付けろ!」



舷側に乗り出し、崩れゆく御山の姿を見つめるミランとフレイ

ミラン:「私・・・何をしたんだろう」

食い入るように崩れゆく御山を見つめるミラン

フレイ:「ミラン・・・?」

ミラン:「これで良かったのかな・・・」



崩れ落ちる御山

その奥から巨大な帝都の影が浮上する




【ベリッシモ号 甲板】


ひとり、またひとりと舷側から海に飛び込む寂れた村の村人達

ハイド:「おい、お前達!」

村人:「船長、やっぱり俺たちは御山とともにある。俺たちは御山と運命をともにする」

またひとり飛び込む村人

        


冷たくなったリエルを抱える村人

村人:「リエルは、最後まで勇敢(ゆうかん)だったか?」

頷くフレイ

村人:「ではリエルも満足だろう。それが聞けてよかった」

リエルの遺体を海に投げ込むと、村人も海に身を躍らせた

気がつくと人であふれかえっていたベリッシモ号の甲板にはミランとフレイ、それに船長ハイドだけになっていた



フレイ:「リエルは、リエルは確かに僕よりも勇敢だった」

ひとりごとを言うフレイ

ミラン:「フレイ・・・」

フレイ:「僕はリエルも、キミも守れなかった」

ミラン:「そんなことないわフレイ。そんなことない」

フレイ:「僕は、誰も守れなかった」

呆然(ぼうぜん)と崩れゆく御山を見るフレイ

自分の両手をじっと見るミラン

手のひらに火ぶくれがいくつもできている



◆回想シーン 帝都地下

預言者アレキサンダーに向けられたミランの指

ミラン:「火の力がでない?」


ミラン:「私が、火傷?」



崩れゆく御山

波間に浮かぶベリッシモ号

        


【火と星の旅路】終わり

読了ありがとうございました。

火の力を失ったミラン、自信を無くしたフレイは、立ち直ることができるのでしょうか?

二人の物語は一旦終わります。

今後もごひいきにお願いいたします。

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