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太陽が昇らない国の物語(仮) 第三部  作者: 岸田龍庵
風と水の回顧録(かいころく)
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24/34

眠ったままの船長と、訝る(いぶかる)族長

第二部では、いいとこナシだったジェス兄貴とグレイス夫妻、妹ベルタの過去を遡っていくお話です


この辺りから、過去の投稿からのカットバックが出てきます。

参照して頂けると幸いです

◆風と水の回顧録


【丘陵地帯 風の民のキャンプ】


のんびりと回る風車がいくつもある、穏やかな風が吹き抜ける丘陵地帯

風車の周りには、いくつものゲ(・)ル(・)のような移動式住居がある

テントの近くでグレイスの長男が家畜の鳥をかまって遊んでいる

番犬が大きくあくびをする

すやすや寝息を立てている乳飲み子をおんぶしているグレイスが、皮の袋をゴロゴロ転がしている(乳製品を作っている)



長男:「ねえママー、ベルタいつ起きるのー?」

グレイス:「いつかなーわからないねー」

いくつものカウベルの音が風に乗る

長男:「パパ帰ってきた」

羊の群と一緒に、放牧から帰ってきたジェス

トタトタとジェスに近づく長男

長男:「パパお帰り」

息子をだっこするジェス

ジェス:「ただいまー。良い子にしてたかー?」

長男:「ベルタねえ、今日も寝てたよ」

ジェス:「そうか、良く寝るなー」

言ってから渋面を作るジェス





【夜 風のキャンプ 族長ジェスのテント】


ランプを囲むゲルの中

明かりの向こうにジェスの長男の寝顔がある

その近くにやはり寝顔のベルタ

穏やかな寝姿

ジェス:「平和な眺めで結構なんだが、今日で7日目だぜ」



◆回想 第二部 ミランの騒動が終わってから

        

風のキャンプに帰ってきたジェスの一行

あくびを隠さないベルタ

到着するなり眠ってしまうベルタ

青いドレスから太ももが見え隠れするセクシーな寝相のベルタ



◆回想シーンのベルタの寝顔に、夜のキャンプのベルタの寝顔がオーバーラップする


グレイス:「故郷(ふるさと)に帰ってきて安心したからって、ちょっと寝過ぎよね」

ジェス:「そうかといって、どこか悪いようには見えないしな」

グレイス:「疲れたんじゃないかしら」

ジェス:「疲れた?ミランの騒ぎでか?」

頷くグレイス

ジェス:「でも、ほとんど船の上、っていうか水の上にいたんだぜ」

グレイス:「それでも相当プレッシャーがあったのよ。ミランにセレン、いえ、あの『すべての闇』とかいう私たちのわたしってヤツのよ」



◆回想

次々と顔が変わっていくすべての闇(第二部36部参照)



ジェス:「プレッシャーってベルタだけか?」

グレイス:「うーん、そこが分からないけど」

ピクリと反応するジェスの耳

テントを飛び出すジェス

次々と手矢を構えた風の男達が躍り出る

鼻をひくひくさせるジェス

3人の船乗り風の男達が現れる

ジェス:「どうした、お頭が心配になったか?」

会釈をする船乗り風の男達






【風のキャンプ 族長ジェスのテント】

        


こ(・)う(・)こ(・)う(・)と灯るランプ明かり

酒を飲んでいるジェス家族と来客の船乗り

ベルタとジェスの長男が寝っぱなし

夜分に風のキャンプを尋ねてきたのは、ベルタの船マリア・アズーラ号の乗組員達

ランプ明かりが深い影を作っている



ジェス:「もう七日も寝っぱなしだぜ、お頭は」

船乗り:「体調が優れないようには見えませんが・・・」

ジェス:「だから、気味が悪いんだが・・・」

穏やかな寝息を立てているベルタのセクシーな寝姿

常に肌のどこかがあ(・)ら(・)わ(・)になっている



ジェス:「わざわざ親方の寝姿を見に、陸(おか)まで来たわけじゃあるまい」

船乗り:「はい、それが青地に白の星を染め抜いたマストの船が現れまして・・・」

ジェス:「なんだと?」

口に運ぶ杯の手が止まる

グレイス:「ウソでしょ?」

船乗り:「私も直接見たわけじゃないんですが、どうやら本当らしいです」

顔を見合わせるジェスとグレイス

船乗り:「話はこうです」




◆船乗りの会話を交えた回想シーン(第三部10部参照)


港町ポート・オブ・エリアの船乗り達が集まる宿屋のエントランス。

船乗りと交渉している騎士風の男



船乗り:「2日前のことです。海図にない、霧の向こうまで行きたいという3人組が港を歩き回っていまして。

 当然そんな酔狂な船乗りはいません。

 そんな中、1人の船乗りが名乗り出たんです。どうやらそれがハイド様に似ていまして」

グレイス:「ハイド・・・」

ジェス:「それで?」


◆回想(第三部 11部参照)


出航するベリッシモ号

船乗り:「その、3人組を乗せて、船は出航していったんです」


◆夜のキャンプに戻る


グレイス:「ハイドって、ハイドは死んだのよ!」

ジェス:「んな事ぁ分かってる。問題はなんでハイドを騙(かた)るようなヤツが現れたってことだ」       

船乗り:「実は、続きがあるんです」




◆映像はベリッシモ号に乗り込むミラン、フレイ、メタリオンの面々


船乗り:「その海図に乗っていない、霧の向こうに乗せていってくれと港を歩き回っていた3人組の内、2人がミラン様と騎士フレイにそっくりだったそうで」



◆映像は夜のキャンプに戻る


顔を見合わせるしかないジェスとグレイス

ジェスの長男:「ママー、ベルタ起きたよー」

はじかれたように振り返る一同

そこには幽鬼(ゆうき)のように蒼白(そうはく)のベルタが立っている

読了ありがとうございました。


今後もごひいきによろしくお願いします。

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