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母親と言う恋人【18】

 組合長室へとやって来て分かった。


 ……マジで、三十年後と何も変わってねぇっ!


 いや、マジか?

 普通、少しは変化があっても良いんじゃないのか?


 余りにも同じ過ぎて、俺は二度見してしまった。


「……? 何か、おかしな物でも見付けたのかいの?」


 驚いた顔のまま、思わず立ち尽くしてしまった俺がいた所で、ジーさんは不思議そうにこちらを見上げながらも尋ねて来た。


 ……まぁ、ジーさんからすれば、今の俺が異様だったに違いない。

 三十年後の世界を、実際に見て来た訳ではなかったのだから。


「……いや、なんつーか……変わりが無さすぎてビックリしてた」


「ほほぅ……そうなのじゃな? まぁ、そんな物なのかも知れないのぅ? かく言う、ワシもこの部屋の間取りを二十年は変えた記憶がない」


 ……じゃあ、都合半世紀はこのままなんだな。

 俺は、胸中でのみ毒突いた。

 どうして、そんな事をするのかは知らないが……それ、意味があるのか?


 正直、意味があるとは思えない話ではあったが、小人ウルズが言っていた事をただただ実感するだけにとどまる。


 確かに、変わらな過ぎだ。

 もう、この建物だけ時が止まってんじゃねーのか? と嘯きたくなるまでに、全く変化がない。


 こんな所もあるんだな……。


 今ある現状なんざ、俺とは全く関与しないと言うか……ただ、あと二十年近くもすれば、若造の俺がこの組合で働く様になる……ただそれだけの関係でしかない。


 取り敢えず、普遍の物が無駄にあると言う程度の事にして置こうか。


「……さて、時間がないので手短に話すぞ?」


 ジーさんはそこから真剣な顔になって言うと、自分の机から一枚の似顔絵を持って来ては、


「コイツの首を取って来てくれ」


「……なるほど? これが、俺の仕事……って事か? それで? コイツは何処にいる? 名前は?」


「話は以上だ」


「手短過ぎるっ⁉︎」


 俺はガーンッ! って顔になった!


 密かに、ここは俺の知っている組合長……クロノスとは正反対だ!

 もう、無駄にクッソ長い話しを遠回りに言って来る!

 最終的には『もっと単刀直入に言え!』と、叫んでやりたくなる!


 しかし、このジーさんは逆だ!

 顔しか情報がない状態で、どぉぉぉぉやって首を取って来いと言うんだよっ⁉︎


「……お前は、世界最強の賞金稼ぎなんじゃろう? それなら、このヒントだけで相手の首を取って来れる……違うかのぅ?」


「流石にそこまで優秀じゃねーし……つか、アンタは組合長だろ? ここにゃ、山の様に情報が入って来んだろ? 普通に知っている情報は提示しろよ!」


「いや、だって……ワシ、面倒な事、嫌いだし」


 なんで、そんなジーさんが組合長してるんだよっっ⁉︎

 ああ……もう、嫌だ!


 こんなの、ただ面倒臭がりな耄碌もうろくジジイじゃねーかっ!


「せめて、もう少し掘り下げた情報をくれよ……例えば、名前とか」


「名前か? うーん、なんじゃったかのぅ? 確か……ああ、あれあれ! アレじゃよ、アレ!」


 さっきから、アレしか言ってないんだが?


「……と言う事じゃ! 頑張れ!」

 

 どう頑張って良いのか、分からないんだが?


『アルフェド・グリニッヂ・ナガオ……ナガオ公国を治めている公爵様だね? 今はニイガ王国の中にある公国として、ニイガ国内の一部として分類されているんだけど、独立して完全なる王国を作ろうとしているね? 首都ニイガで革命が起こった時……そのどさくさに紛れて、ナガオ王国として立国した挙げ句、ニイガ王家領の一部まで自国の領土にしてやろうと企んでいるみたい』


 少ししてから、小人ウルズの説明が入った。

 取り敢えず分かった事は、このジーさんが役に立たないと言う事だった。


 それにしても……公国ねぇ?


「それとこれと、どう話しが繋がって行くんだ?」


 俺は少しだけ不思議そうな顔になった。


 話しを聞く限り、公国として独立しようとしていた模様だが……その行動に移す条件は、革命が起こった時だ。


 もしそうであるのなら……コイツは独立を諦めるんじゃないのだろうか?


 少なからず、ニイガ王が誕生した事で、革命派は致命的なダメージを受けた。

 そして……今も、衰退の一途を辿っている。


 情勢は、間違いなくニイガ王家に傾いていた。


 こんな状態では、革命のどさくさに紛れる……なんて事は出来ないだろう。

 根本的に『革命は起きない』状態になっているのだから、火事場泥棒をしたくとも、出来ないだろう。


 所が、小人ウルズは言った。


『イリが「この時代から居なくなってから」に問題があるんだよ? この時代から一年後……ルシェンド王は、この公爵に一杯喰わされる……きっと油断もあったんだね? これまでの一年間、余りにも順調に事が運んでいたから』 


「……どう言う事だ?」


『うっかり、アルフェド公爵の刺客にルシェンド王が殺されるんだよ……結構、アッサリとね?』


「……っ⁉︎」


 俺は思わず息を飲んだ。

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