表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
誠実という名の鎖に繋がれた国母は、微笑みながら毒を飲む  作者: 蒼宙 つむぎ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/13

7.

 3日が過ぎ、王妃様と謁見の為、登城いたしました。

 本日は、どちらでお会いしていただけるのでしょうか。


 馬車寄せに到着しますと、下女1人と護衛騎士1人が待っておりました。

 扉が開き、手を差し伸べてくれたのは下女の方でした。


「……ありがとう」

 軽く手を乗せ、力が入らないように気を付けませんとね。


「エリザベート様、私は王妃様の下女のクラリス・シュミットです。シュミット男爵家の次女です。体は鍛えておりますので、体重をかけても大丈夫です」

 あら、シュミット男爵家の方ですか。でしたら、家族全員お強いですわね。屈強な武術に長けた家門ですもの。


「ありがとう。甘えさせていただくわ」

 とは言え、念のため完全に体重は乗せず。でも、女性だと少しふらつく位に。


 でも、びくともしませんわね。

「ふふ。お気遣いいただき、ありがとうございます」

 クラリスはこっそりとそんなことを耳打ちしてまいりました。

 なかなか、できる方のようですわ。


「こちらの護衛は弟のダーニエルです。以後、お見知りおきを」

 クラリスとダーニエルはそう言って膝をついて挨拶をしてまいりました。

 そう……。これから長い付き合いになる、ということね。

 2人は、どういった人たちでしょう……。

 しっかりと見極めなければなりませんわ。



「エリザベート様、本日は温室へ向かいます」

 温室、ね。庭を通らなくてもいいということね。


「わかりました。侍女のヤスミンも一緒にいいでしょうか」

 これからのことなので、ヤスミンも話を聞いて欲しい。でも、ヤスミンは平民です。断られるでしょうか。


 ちらりとクラリスの顔を見ます。

「勿論でございます。王妃様からも事前に了承いただきました」

 わたくしは、後ろに控えているヤスミンに目配せをいたしました。

 ヤスミンも心得たとばかり首肯いたしております。

 本日のヤスミンはとてもしおらしいですわね。



 わたくしたちはクラリス達の後について行き、王妃様専用の温室に向かいました。

 扉を開けてもらい、中へと進みます。


「エリザベート、よく来てくれましたね」

 カトリーン様は本日も春の陽だまりのような笑顔を向けてくださいます。


「至高なる国母のカトリーン様にご挨拶申し上げます。エリザベート・オーエンツォが参りました」

 本日も、丁寧にカーテシーをして挨拶いたします。


「エリザベート、次回からは堅苦しい挨拶は辞めてね」

 少し困ったお顔でそのようなことを申されます。が、そう言う訳にもいきませんわ。


「かしこまりました。王妃様のご意志のままに」

 一応は了承の言葉を述べますけど。


「今日は、あの女はいませんからね。気遣い無用です」

 パメーラ様は、おられないのですね。願ったりですわ。


「それで、今日はどうしたのかしら」

 カトリーン様の笑顔が、すん……と消えていかれました。


「フランクリン様との、婚約の件です」

 わたくしは、席に座っていいと言われておりませんので、立ったまま謁見の要件を告げました。

 真っすぐに、カトリーン様の目を見て。


 カトリーン様は、わたくしの目をずっとそらさずに見ております。

 何も言葉がなく、時間が流れていきます。

 隣ではクラリス様が音もなくお茶の用意をしておられます。

 流石ですわね。


 クラリス様が茶器をテーブルに乗せた後、おもむろに王妃様が口を開きました。

「エリザベート、座ってちょうだい。話しは長くなりますから」

 カトリーン様のお顔からは、完全に笑顔が消えてしまいました。



 クラリス様入れてくださったお茶からは、あの甘い香りは致しておりません。

 その代わり、最近嗅ぎ慣れてまいりました独特な香りが微かにいたします。

 わたくしは、ほんの少しだけ、口角が上がってしまいました。


「はい。失礼いたします」

 ヤスミンに椅子を引いてもらい、ゆっくりと腰かけました。

 そして、もう1度カトリーン様の目を見つめます。

 今度は同じ目線の高さで――



 さて……、王妃様。

 わたくしと向き合っていただきますわよ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ