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誠実という名の鎖に繋がれた国母は、微笑みながら毒を飲む  作者: 蒼宙 つむぎ


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78.パメーラ

※残酷な描写が最後に含まれます。

 苦手な方は、最後(★******★)を飛ばしてください。



 王城のとある秘密通路で、パメーラはエリザベートが服毒したことを見ていた。


「フィリクスが毒を飲めばいいものを!大国の王も、南国の王も、みんな死ねばよかったのに!」

 秘密通路で苛ついた感情を吐き出しながら出口を急いでいた。

 この通路は王族のみが受け継ぐものだった。

 本体なら、パメーラが知るはずがないのだが、オリヴァー王が1つの通路を教えてしまった。

 この通路を使って多くの人の秘密と弱みを握り、脅して便宜を図ってもらっていた。

 役に立ったが、そろそろこの国を出ないと自身の身が危険にさらされると感じていた。

 だから、最後にフィリクスを殺そうと思っていたのだ。

 フランクリンも自分が産んだ子供であるが、オリヴァーの子供は宿せなかったからどうでもよかった。

 役に立たない駒はもういらなかったから一緒に死んでもらいたいとさえ思っていた。


「本当に役に立たない奴らばかりだったわ。でも、もう潮時ね。さっさと次の国へと向かわないと」

 パメーラは、もうすでに自分がどの国へ身を寄せようかと考えていた。

 西は大国だから向かうつもりはない。

 東に行けば小国がいくつもある。

 北に行けば冬は寒くて身を隠すにはうってつけだ。


「ふふ……。北の狩猟を生業にする帝国は、白銀の髪にスカイブルーの瞳でとても見目がいいと聞くから、北にしようかしら」

 パメーラは自分中心に世界が回っていると思っていた。

 なんでもできるし、なんでも手に入れられる。

 自分に傅かない男は頭がおかしいとさえ思っていた。


「こんな国とは、おさらばね」

 パメーラは自分が一番頭が良いと勘違いしていたので気が付かなかった。

 秘密の通路を知っているのがエリザベート以外にもいたことを――。


 出口に到着し、外の様子を確かめた。

 今は締結で人が王城の広間に集まっているし、エリザベートが吐血していたから大慌てで裏側は手薄なはず。

 そっと様子を見たところ、人っ子一人いなかった。

 自分の予想通りだったので、可笑しくなって笑ってしまった。

 自分はやはりできる女だと、浮ついていた。

 だから、自分が背後からつけられていることに気が付かなかった。


「もういいのか?」

 背後から、声が聞こえた。

 あり得ないと思った。

 この通路を知るものは、毒に倒れたのだから。


「お前は……」

 ゆっくりと、後ろを振り返った。


「お前に、お前呼ばわりされる筋合いはない」

 ミヒャエルは顔の中心、鼻に向けて強く殴りつけた。


 ガッ!!


 出口の隠し扉に強く打ち付けられ、それを壊しながら外に放り出された。


「痛い!!何するのよ!」

 パメーラは叫んだ。

 ここが王城の敷地内で、自分が終われている身であることを忘れて。


「観念するんだな!よくもエリザベートを!」

 普段、寡黙なミヒャエルが叫んだ。

 パメーラは、ミヒャエルをにらにつけようと、手で鼻を押さえながら顔を上げ、自分が騎士たちに囲まれていることに気が付いた。


「……さっさと、この国から出るべきだった、のね――」


 パメーラはとうとう捕縛されてしまった。




★******★


 王城の北の棟の地下。

 既に1人身動き取れない女が収容されていたが、新たに見目のいい女が入れられた。

 顔つきはとても儚い容姿をしているが、睨みつける目は修羅場をいくつもかいくぐってきたものの目だ。


 北の棟の世話役が楽しそうに鼻歌を歌いながら長机に器具を並べ始める。

「今度はどんなことして楽しませてくれるんでしょうね、あの鬼畜な旦那は」

 鬼畜な世話役が鬼畜だという人間は、たった一人しかいない。


「ちょっとあんた、この縄を解きなさい。特別にあんたの相手をしてあげるわ」

 パメーラは気が付いていない。


「はあ?!お前に誰が欲情なんかするもんか!気持ち悪い。さっさと舌を切り落としたいくらいだ。旦那がいいというまでは、ほんの少ししか楽しんじゃいけないから我慢だけどな。あ~。足の指くらいはいいかな。うん、きっと旦那はそれくらいなら許してくれる」


 世話役は、鑿と金槌をおもむろに手に取って舌なめずりをする。

 パメーラは、この男が普通じゃないということにやっと気が付いた。


「やめなさい!お願い!来ないで!いや!!」


 パメーラは、泣き叫んだ。

 もうしないと常とう句を言いながら、助けを乞うた。

 だが、この北の棟でそれに耳を貸すことが出来る者は、――いなかった。



******


 エリザベート王妃が倒れたことは、表向きは伏せられていた。

 しかし、彼女を慕っていたものも多かったことと、彼女は王妃として認めている民が多かったことで、そのことがすぐに周知のものとなった。

 民は心配し、多くの見舞いの花が王城に届けられた。







※※明日、表ENDとなります!

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