表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
誠実という名の鎖に繋がれた国母は、微笑みながら毒を飲む  作者: 蒼宙 つむぎ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

59/70

58.

 宴会が無くなり、わたくしはあてがわれた部屋へと向かいました。

 王妃様と同じ離宮の南向きのお部屋をいただきました。


「フランクリン王子は、どうされるのかしら」

 二人掛けのソファーに座り、フィーに問いかけます。


「フランクリンはここには来れないよ。安心して」

 そうなのね。よかったわ。


「今後は、どういたしますの?わたくしはフィーと婚姻を結んだ、のよね?」

 ほんの少し、上目遣いで聞いてみました。


「ああ。俺たちが婚姻を結んだんだ。フランクリンは血を受け継いでいないからね。入れ替えをすることになる」


「入れ替え?」


「ああ……。表向きは俺が“フランクリン”となる。嫌だけど、これが一番平和に解決するんだ」


「平和に……」


 確かに、フランクリン王子が世継ぎであると皆が認識してしまっています。そして、それが間違いでしたと言うと、公国として独立させることが間違いだったのでは……と言われかねません。せっかく、ここまで公国として整えてきたのです。皆の努力をなかったことにはできません。

 それに、元の国へ戻された際、公国民だった民衆は地位を下に見られ、働き口が無くなることもあるでしょう。貧民が増え、女性は花を売るものが増えてしまいます。そんなこと、したくもない人が生きるためにしなくてはならないなんて、悲しすぎます。


 平和に落としどころを見つけるとしたら、フィーとフランクリン様が入れ替わるしかないのでしょう。


「そう、ですわね。この公国王の血は受け継ぐことが必須ですものね」


「ああ。この血が無いと、霊廟が開かない。守れないからね」


「言っておりましたわね。霊廟を守るのだと。婚姻式の儀式は何をしたのでしょう?」


「今日のはね、短刀に俺の伴侶だという証を付けたんだ。俺のサインには、俺の血が含まれたインクで書いておいた。そして、サインをした人間が短刀を持つことで儀式の土台が出来上がった。そして、リズのサインもそうだよ。今朝、インクに血を落としたでしょう。それで書いたから短刀に俺とリズのことが刻まれた。これからはずっとこの短刀を持ち歩いてね。」


 婚姻式が本当に重要な儀式でしたのね。これは、魔法だと言ってもいいのではないでしょうか。魔法を見るのは初めてでしたから、びっくり致しましたけど。


「魔法があるとは思いませんでしたわ」


「あ~。本来は使えないよ。リヒシュタッドの血が特別。俺たちも、霊廟を守るということくらいしか使えないよ」


「そうでしたのね。ふふふ。特別な魔法で得られた短刀を大切にいたしますわ」



「リズ、短刀も大事だけど。俺のことも大切だと思ってくれないかな?」

 フィーの声が、甘く感じたのは気のせいかしら。


「も、勿論、大切ですわ」

 わたくしの頭や頬を撫でるので、恥ずかしくなってしまいます。


「本当に?俺のこと、諦めようとしたのに?」

 フィーが、耳元でささやく声が、やはり甘いですわ。


「それは、頑張りましたのよ。でも、なかなかうまくいかなかったの……」


「そうだね、知ってるよ。でも、俺も傷ついたんだ。だから、もう離れないで」

 ギューッと抱きしめられます。フィーの声が、切なそうです。わたしくしもなぜかしら。切ない、ですわ……。


「リズ、宴会もなくなった。もう、リズを貰っていいよね」

 甘い甘い囁きは、色気が溢れていて、わたくしの頭がしびれてしまいます。


「ええ……。優しく、してくださいませ」

 小さな声で、なんとか答えました。



 わたくし達の初夜は、まだ日が落ちる前から始まってしまいました。




 ******


 隣ですやすやと眠っているリズ。

 本当にかわいい――。


 やっと手に入れたんだ。

 想いをつなげられた喜びに、少しやらかした。


 最初は優しく丁寧に閨を進めたんだけど、途中からタガが外れて抱きつぶしてしまった。

 夕餉も食べず、陽が落ち、空が白みかけるまでずっと――。


 途中、気を失っていそうだったけど、それでもやめられなかった。

 白い肌には赤い花をいくつもつけ、所有の証を刻んだ。

 誰にも渡すつもりもないし、離さない。


「リズ、早く子を宿して。俺たちの家族をたくさん増やそう」

 顔に張り付いた毛を優しく剥がし、優しく頭を撫でる。


 愛しい愛しいリズ。

 フランクリンなんかに、渡さない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ