表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
誠実という名の鎖に繋がれた国母は、微笑みながら毒を飲む  作者: 蒼宙 つむぎ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

44/72

43.

 翌朝、いつもの通り日が昇る頃に目が覚めました。

 いつものように、鏡台の前に座り、自分の顔を見ます。

 目と鼻と口が見えます。

 今のわたくしはただ生きていくだけ。

 そこに感情はいりません。


 化粧をしようと手を伸ばします。

 いつもと同じメイク。

 紅も1つだけ。

 何も考える必要がありません。


 鏡に映る自分の顔は、目と鼻と口がある。

 化粧をし、赤い紅をさしています。


 ただ、それだけ。


 これを、これから何十年と続けていきます。

 わたくしには、感情は必要ありません。



 扉がノックされました。

 昨日より大きめです。

 ノブを回し、人が入ってきます。


「お嬢様!私が帰ってきました!もう大丈夫です!」


 ヤスミンです。

 長い貴族としての勉強から、戻ってきました。


「ヤ、スミン……」

 久しぶりに発した声は、少し掠れました。


「はい!私が、お嬢様の分まで怒ってあげます。私は、ずっと傍にいます」


 ああ……、ヤスミンですわ。

 あの元気な声ですわ。


「わたくしのかわりに?怒ってくれる、の?」

 声が、勝手に震えてしまいます。


「勿論です。お嬢様が気持ちを出すことが出来ないなら、私がお嬢様の気持ちをいっぱい伝えます」


 ヤスミン。

 本当に、ヤスミンです。


「うう……」

 わたくしは、目から涙が溢れ、声が漏れてしまいます。

 止められません。


 ヤスミンは駆け寄って来ると、ギュッと抱きしめてくれました。


「お嬢様は、辛くても悲しくてもなかなか表に出せない優しい方です。でももう、大丈夫ですよ。傍にいます」


 ありがとう。

 貴方のその言葉が、欲しかったのかもしれません。



 わたくしは、ギュッとヤスミンを抱きしめ返します。

 そして、大声で泣きました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ