第95話『異世界転生でも面倒ごとは避けられない』(完結)
あの騒動から少し時間がたったころ、俺は未だに病室のベッドに横たわって生活していた。入院したことはないが、前世で入院するとこうなるんだなということをここで実感したのだ。異世界に来てから無理をしすぎていたので、ここでそのバチが当たったということにしておこう。
そう思っていると、何やら疲れた様子でマルクが病室にやってきた。
「お兄様ぁ…疲れたのでぎゅってしてくれませんかぁ…?」
「…分かった、こっち来い」
「お兄様ぁ♡」
と、俺が了承の言葉を出したことを認識しだしたとたんに目の色を変えて抱き着いてきた。相当疲れているのだろう、俺の胸に顔をうずめながら、俺のことを確認するかのように甘え始めた。
そんなマルクのことをかわいいと思ってしまったためか、
「マルク…好き…」
そう呟いてしまった。
それを言われた当の本人は、顔は見えないが耳を真っ赤にしていることは明らかではあった。
「…お兄様、今の言葉は本当ですか?」
「え、あ、いやぁ…」
前世を含めた人生の中で告白をしたことも、されたことすらない俺がこうも恋愛になると戸惑い、質問にすら答えられなくなるのが自分自身どうも腹立たしい。この自分の中に込められた感情の正体はわかっているにもかかわらず、それを当の本人に伝えるとなると本当に末恐ろしい。
「良かったぁ…お兄様ぁ…♡僕も好きです♡♡♡」
「…え?」
マルクは俺の口からこぼれた告白を聞くと、安堵のため息をつきながら俺の唇を奪う。
…??????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????・????????????????????
「お兄様ぁ…お兄様は僕だけのものですからね♡♡♡♡♡」
と、この日、俺はマルクとの幸せが永遠に誓われた日であり、異世界に転生したとしても面倒ごとからは離れることなんてできないのだろうと思った日なのであった。
――――――――――
~数時間前~
フードをかぶった男は、意味深な笑顔を浮かべながら森の中に潜入していった。
「ふふ…私の息子はいずれ絶対に取り戻してみせるぞ…」
執念にまみれた男、レイは、自身の息子であるマルクの奪還を試みたが、アウリスに阻まれて逃走しているところであった。あと一歩というところまで来ていたが、(レイ曰く)アウリスに汚された自身の息子の一撃によって退くことを余儀なくされたのだ。
「見てろよ…意地汚い貴族のドラ息子め…!」
「誰が意地汚い貴族のドラ息子なのか、説明願いたいものですね」
「な…ッ!」
退いてたレイの目の前に現れたのは、”赤い悪魔”、後にこう称される人間である…
「まあ誰であろうとも、僕はあなたを許すつもりはありません♡覚悟してくださいね?」
「お、お許しを…」
「嫌です♡」
この森に似つかわしくないほどこの場を赤く染め上げたのは、ある一人の貴族の息子に思いを馳せる赤い悪魔、マルク・クロドネスなのであった。
完結じゃぁ!!!




