7/9
02章00話 プロローグ
髑髏のキャンドルが妖しく照らす室内。
水晶玉を覗き込む老婆に向け、青年――シオンは静かに尋ねた。
「森羅万象の神眼と言われるあんたに見て欲しい。俺には記憶がない……知りたいんだ、自分の歴史を」
老婆は水晶にかざした両手をゆらゆらと妖しげに動かす。
「……見えたぞ。糞便にまみれた醜悪な現場、血と肉塊が飛び交う惨劇の跡……そこでお前は、己の真実を知ることになるだろう」
「もう少し具体的に分からないか」
「……死に直面する度に、記憶と失われし力が蘇る」
想像以上の険しい回答にシオンは深く息を吐いく。
「もう一つ、女性を探して欲しい」
「どんな?」
「妖艶な年上のボインなんだ……」
「エルフの聖水を持ってこい、そうすれば必ず会えるだろう」
シオンは立ち上がると『恋愛占いの館』の出口に向かう。
老婆は男の後ろ姿見つめる。
(ひっひっひ……エルフの聖水には美肌とアンチエイジングの効果がある……若い男はええなぁ……それに垂れててもボインだろう……)
老婆は頬を赤らめた。




