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白いワンピースと夏の花火

夕方。


買い物を終えた二人は、

フードコートで休憩していた。


フィアナの前には、

大きなクリームソーダ。


緑色。


しゅわしゅわ。


上にはバニラアイス。


フィアナは、

完全に目を輝かせていた。


「宝石みたいです……!」


「毎回リアクションがでかいなぁ」


「だって綺麗です!」


フィアナは、

そっとストローを咥える。


しゅるる。


次の瞬間。


「……っ!?」


肩が跳ねた。


修が吹き出す。


「炭酸か」


「舌が痛いです!!」


「弱っ」


フィアナは、

じーっとクリームソーダを見る。


「敵ですね……」


「飲み物に敵認定するな」


でも。


数分後には、

普通にハマっていた。


「しゅわしゅわします……!」


「楽しそうでなにより」


修は笑う。


そんな時間が、

もう自然になっていた。


その時。


館内アナウンスが流れる。


『本日、屋上で花火イベントを開催しております』


フィアナが、

ぱっと顔を上げた。


「花火!」


修は苦笑する。


「好きだなぁ」


「見たいです!」



屋上。


夕焼けが、

街をオレンジ色に染めていた。


少し風が強い。


でも。


夏の匂いがした。


フィアナは、

柵の近くまで歩いていく。


白いワンピースが、

風で揺れていた。


修は、

少し後ろからその姿を見る。


綺麗だな、

と思った。


自然に。


本当に自然に。


フィアナが振り返る。


「修さん!」


「ん?」


「こっち、景色すごいです!」


修が隣へ行く。


街が広がっていた。


遠くの住宅街。


赤い夕日。


走る電車。


フィアナは、

その景色を見ながら呟く。


「不思議です」


「何が?」


「最初は」


「この世界、怖かったんです」


修は黙って聞く。


「知らないものばっかりで」


「誰も知らなくて」


「一人で」


フィアナは、

少しだけ寂しそうに笑った。


「でも今は」


「この景色を見ると、安心します」


修の胸が、

じんわり熱くなる。


フィアナは続けた。


「修さんがいるからです」


修が固まる。


フィアナも、

言ってから真っ赤になる。


「い、今のはその!」


「変な意味では――」


どぉん。


夜空に、

花火が咲いた。


赤。


青。


金色。


フィアナの瞳に、

光が映る。


修は、

その横顔から目を離せなかった。


フィアナが、

小さく笑う。


「また、一緒に見れましたね」


修は、

ゆっくり頷く。


「……うん」


夏の夜風が吹く。


白いワンピースが揺れる。


花火の音の中で。


修は、

少しずつ確信していた。


この気持ちは、

もう。


“ただ一緒にいたい”だけじゃない。


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