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今日は、“お疲れさま”の日です!」

夕方。


商店街は、オレンジ色の光に包まれていた。


修は、八百屋の手伝いを終えて、

少し疲れた顔で歩いている。


袋の中には、


* 半額コロッケ

* 見切り品のキャベツ

* プリン二個


今日はちょっと頑張ったので、

少しだけ豪華だった。


「……疲れた」


肩を回す。


でも。


足取りは、

前より少し軽かった。


帰れば。


「おかえりなさい!」


って言ってくれる人がいる。


それが、

思ったより嬉しかった。


アパートの階段を上がる。


古い廊下。


少し軋む床。


そして。


自分の部屋の前まで来た、その時だった。


中から。


どたん!!


「きゃあっ!?」


修が固まる。


「フィアナ!?」


慌てて扉を開ける。


すると。


部屋の真ん中で。


フィアナが、

ダンボールに埋まっていた。


「……」


「……何してるの」


フィアナは、

もぞもぞ顔を出す。


頭には、

なぜか鍋。


「おかえりなさい……」


「状況がわからん」


部屋を見回す。


散らばる新聞紙。


ダンボール。


ひっくり返ったクッション。


そして。


テーブルの上には。


ぐしゃぐしゃの紙。


修は一枚拾った。


そこには。


『修さん おつかれさま大作戦』


と書いてある。


修は、ぽかんとする。


フィアナは、

恥ずかしそうに顔を赤くした。


「きょ、今日は」


「修さん、いっぱい働いたので……」


「うん」


「わたくしも」


「何かしたくて……」


修は、部屋を見る。


嫌な予感しかしない。


「……何をするつもりだった」


フィアナは、

えへへ、と笑った。


「秘密基地です!」


「年齢いくつだ」


「あと、ご飯!」


「おっ」


「あと、癒し!」


「ふわっとしてるな」


フィアナは、

慌てて台所を指さした。


「シチュー作りました!」


修は驚く。


「マジで?」


「はい!」


「火事になってない?」


「たぶん大丈夫です!」


「“たぶん”で料理するな」


修は恐る恐る鍋を開ける。


白い湯気。


シチューの匂い。


見た目は……ちょっと怪しかった。


にんじんが巨大。


じゃがいもも巨大。


肉だけ異様に小さい。


バランスが終わってる。


でも。


ちゃんと料理だった。


修は少し黙る。


フィアナは不安そうに聞く。


「……し、失敗ですか?」


修は、

スプーンで一口食べた。


沈黙。


フィアナが青ざめる。


「や、やっぱり……」


修は、ゆっくり飲み込んだ。


それから。


少し笑った。


「……うまい」


フィアナの目が、

ぱあっと輝く。


「ほんとですか!?」


「うん」


「見た目すごいけど」


「そこは優しくしてください!」


修は笑う。


そして思う。


誰かが。


自分のために、

頑張って料理を作ってくれる。


ただそれだけで。


こんなに、

心ってあったかくなるんだな、と。


フィアナは、

嬉しそうに胸を張った。


「今日は、“お疲れさま”の日です!」


修は、吹き出した。


「また変な記念日増えたなぁ」


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