表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/33

29 チュートリアル/探索型ダンジョン

 セリーリアとともにコーザは酒場に向かう。

 ちらちらとコーザたちを見て来る者もいたが、髪形をツインテールにしたためか、セリーリアに他人の視線を気にするそぶりは見られない。


(チュートリアルは受付嬢に直接話して受注だったな……)


 掲示板には向かわず、セリーリアの手を引いて、コーザは女性のNPCに声をかけた。


「黄金のレガリアを受けたい」

「かしこまりました。依頼人に連絡をいたします。しばらくお待ちくだ――」


 返事を待たずに、コーザが酒場から出ようとする。

 慌ててセリーリアがコーザを呼んだ。


「コーザさん! いいんですか、待たなくて」

「ああ、平気だ。受注が完了した時点で、もうNPCは外で待機しているんだ」


 チュートリアルであるため、グループごとにレイヤーも変わる。特定のプレイヤーに依頼人が独占される心配もない。


 酒場の外では、金髪のNPCがコーザたちを待っていた。

 名前はアルベルトⅠⅢ。身なりのいい、貴族のような男性型のNPCだ。


「遅かったじゃないか。君たちが、僕と一緒に黄金のレガリアを探してくれる者たちかな? さっそく行こうではないか!」


 陽気な声とともに、コーザの視界にメッセージが表示される。

 それはセリーリアにも同じものが表れているはずだった。


『現在のパーティーを脱退して、新しくアルベルトⅠⅢとチームを結成します』


 拒否権はない。

 パーティーとチームの差異は、親がいることにある。NPCとのグループは必ずNPCが親になるため、パーティーではなくチームという扱いになる。


 それ以外の大部分がパーティーに準ずるのだが、親がいるために必ずチーム名も作られる。


『チーム“黄金のレガリア(1日目)”に参加します』


 セリーリアのほうにうなずいて、コーザもチームに加入する。アルベルトⅠⅢに促されるままに馬車に乗れば、1分後には必ずチュートリアル用のダンジョンに到着するという手順だった。


「あたしたちは何をすればいいんでしょうか?」


 一応、セリーリアもクエストの意味について、与えられた依頼をこなす必要があるという、抽象的な部分はわかっているようだ。


「ダンジョン内の探索だな」


 受注済みのクエストに書かれたフレーバーテキストを読めば、クエストがなぜ発注されたのかという背景の部分も理解できるが、これは重要ではないだろう。アルベルトⅠⅢが黄金のレガリアという宝飾品を探しているだけである。プレイヤーはその手伝いをする形だ。


「が、頑張ります……」


 鼻息を荒くしてセリーリアが張りきっているが、結末を知っているコーザとしては苦笑いを隠せない。

 ちなみに、どうして宝飾品がダンジョンにあると気がついたのかといった、ストーリーの細部についての情報はない。元々が探索における一連の流れをプレイヤーに示すだけの目的なので、そういった些事についてはこだわっていないのだろう。


 戦闘用のダンジョンはモンスターとバトることが主だが、探索用のそれでは少々勝手が違う。


「ふむ。どうやって入ればいいんだ?」


 馬車をおりたアルベルトⅠⅢが、顎に手をあてて悩む。

 プレイヤーに答えを導かせるための誘導だろう。

 現在地は洞穴の中だ。

 辺りは薄暗くて、ほとんど何も見ることができない。だが、眼前にある灰色の扉だけは、暗い中でもはっきりと視認できる。


 護法の視界もプレイヤーと同じだが、光尾兎(ルクシャウラ)は比較的夜目が利きやすい。セリーリアの体にしがみついているのは、間違いなくわざとだろう。


「普通に開けるだけですよね……?」


 扉に近寄ったセリーリアが力いっぱいドアを押す。

 だが、扉はびくともしない。

 押すのではなく、引くのではないかと試しているようだったが、こちらもうまくはいかなかった。


「主さま。わたくしにお任せください」


 光尾兎(ルクシャウラ)が扉を破壊しにかかるが、無敵オブジェクト扱いなので護法でもどうすることもできない。


「コーザさん……」


 セリーリアがコーザに泣きついて来る。

 もちろん、黄金のレガリアをクリアしているコーザは、その答えも知っているのだが、コーザは首を横に振るだけでセリーリアに教えようとはしなかった。


 パズルギミックは初見殺しに過ぎない。

 基本的には一回限りのエンタメだ。


(ただ答えを教えるだけじゃもったいねえさ)


 きっと、自分で導き出すほうが楽しいだろうという、コーザなりの配慮だった。

 コメントまでは望みませんので、お手数ですが、評価をいただけますと幸いです。この後書きは各話で共通しておりますので、以降はお読みにならなくても大丈夫です(臨時の連絡は前書きで行います)。

 次回作へのモチベーションアップにもつながりますので、なにとぞよろしくお願いいたします。(*・ω・)*_ _)ペコリ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ