再会
早朝、王都を少し出た広い草原に剣と剣でぶつかり合う音が聞こえる。
「スラッシュ !」
カグヤのレイピアがソウタに迫る。しかしソウタは、その攻撃を難なく避け剣を振り払う。
カグヤは体を反らしてギリギリ避ける。そのまま後ろに下がり距離を取る。
「やっぱりやりますね~」
「そんなことないさ。それに、カグヤだって強いじゃないか」
「ありがとうございます」
カグヤは再び剣を構える。
「起動軸 槍」
ソウタは剣を消滅させ、代わりに槍を手にする。
「初めて使うから使えるかわからないけど」
ソウタは、走り出す。しかし、槍の持ち方はまるで槍投げをするような持ち方だ。
「行けっ !」
力一杯に槍を投げる。槍はカグヤに一直線に飛んでいく。
「薔薇狂想曲」
カグヤの剣に青く輝く薔薇の蔓が絡む。その剣を振り払う。その瞬間、剣から薔薇の蔓が伸びる。ソウタの槍が蔓で破壊される。
「そんな技があったのか。器用だな」
ソウタはそう言いながら剣を軽く振り回す。
「まだあなた以外誰も知らないけど。出来ればこの技は秘密にしておいてほしいの」
しかし、ソウタはカグヤの言葉を聞く様子もなく剣を振り続けている。
「てやっ !」
近くの木に向けて振ったソウタの剣から斬撃が伸びる。木は幹の真ん中で切れ、真ん中から上の部分は地面に落ちた。
「え、」
「ふぅ~こんな感じか。ん、カグヤ何か言った ?」
「さっきの技は秘密にしてって言ったの。それより、なんで ?」
「何が ?」
「さっきのやつ。なんで出来るの」
「別におかしくないだろ。俺の創造は、基本何でも出来るからな。斬撃を創ることなんて簡単だよ」
「ずるい」
「ずるくはないよ。それに、カグヤの技は秘密にしておけばいんだな」
「ありがとう。今日はもう終わりにしよ~」
カグヤはレイピアを鞘に納める。ソウタも剣を手離し剣は光の粒子になって散っていく。
「じゃあ戻るか」
ソウタとカグヤは王都を目指して歩き始めた。
宿に戻った2人は、朝食の準備をしていたミレイに軽く挨拶を済ませる。
「そういえば、ずっと思ってたんだけど」
ミレイの言葉に、テーブルの椅子に座った2人は顔を上げる。
「君達はいつまでそんな格好でいるつもりだ ?」
2人は自分達の格好を見る。始まりの町のギルドで支給される服のままだった。
「ユーティリアとレインも買いに行ってるからついでに君達も行ってくるといい。特に君とユーティリアはお金に困ってないだろう」
ミレイの言うとおり、ソウタとユーティリアは南魔王の幹部の一件でギルドから大量にお金をもらっていた。
「それじゃあ買いに行くか」
ミレイを宿に残しソウタとカグヤは王都の町に出掛けていった。
「1527デカートになります」
デカートというのは、この世界でいうお金の単位で日本でいう円と同じものだ。
ソウタは、青のフード付きのロングコートに黒のズボンを買った。一方、カグヤは胸元が開いた服にスカートという戦闘にあまり向いてないであろう服を買っていた。
「カグヤ、それで魔物と戦うの ?」
「もちろん」
「俺が言うのもなんだけど、あまり戦闘に向いてないん」
そこまで言うと目に見えない速度で首もとにレイピアが突きつけられた。
「それ以上言うとその首はね飛ばすよ」
今までに見たことのない表情でカグヤはソウタを見ていた。
「ごめん、わかったからその剣しまって」
「わかればいいんだ~」
カグヤは身を翻し宿にスキップしながら向かう。
「(そんなに気に入ったんだ、あの服)」
女心がわからないソウタは、少し疲れた表情でカグヤの後を追った。
「あ、ソウタ。遅かったね」
宿に戻るとすでにユーティリアとレインは帰っていた。もちろん、新しい装備になって。
ユーティリアは、回復師らしく白を基調とした服装。レインは、ローブと新しい杖を買ったらしい。
「ソウタとカグヤが朝ごはん食べたら行こうか」
「どこへですか ?」
レインは不思議そうに首をかしげる。
「そういえば、カグヤとレインには言ってなかったっけ ?王都防衛戦に参加するって話」
「楽しそうだね~」
カグヤは乗り気だ。レインは少し戸惑っているが嫌ではなさそうだ。
「朝食は後でいいよ。先に参加の登録だけ済ませに行こう」
「うちもそれでいいよ~」
「2人がそれで良いなら先に行きましょうか」
ソウタ達は支度を整え宿を出た。
登録する場所は、王都ギルド。受付嬢は、イルだ。
「皆さん、防衛戦の登録ですか ?」
「ええ、今はどのくらい人が集まってるの ?」
「少し待って下さいね」
イルは手元にある書類を確認する。
「えーと、だいたい500人ぐらいです。おそらく、職業ごとで部隊分けがされると思います」
「皆も参加するのか」
聞き覚えのある声がしソウタはその方向を向く。そこには、こちらに歩いてくるカレルの姿があった。
「カレルさん」
「久しぶりだね、元気にしていたか ?」
「はい、カレルさんも防衛戦に参加するんですか ?」
「レオ殿に呼ばれたのでな」
「知り合いだったんですか ?」
カレルは少し微笑んで頷く。
「昔、ちょっとあってな」
「そ、そうなんですか」
久しぶりにカレルと会話しているうちにユーティリアが登録を済ませていた。
「ソウタ、登録済ませたよ。お久しぶりです、カレルさん」
「君も一緒だったのか」
「今はソウタとパーティーを組んでいるんです。それじゃあ、私たちはこれで失礼します」
「あぁ、また会おう」
ソウタ達は、イルとカレルと別れギルドを後にした。




