王都
王都に着いたソウタ達は、街の賑わいに驚いた。
「王都ってこんなにも賑やかなんだな」
「ええ、そうみたいね」
周りを見渡してもすごい人だかりだ。普通の町人もいれば商人、役人、そして当然のように冒険者達もいる。
「それじゃあ、王都のギルドに登録に行こうか」
「待って下さい !」
ソウタ達は、声のした方を向いた。そこには、息が切れながらも必死に走るイルの姿があった。
「やっと、追いつきました」
「なんでここにいるんだ ?」
「説明するんで少し待って下さい」
イルは乱れた呼吸を整えるために一度深呼吸をする。息が整い顔をあげた。
「この度、王都ギルドに派遣されました !」
「イル、おめでとう !」
ユーティリアは、イルに抱きつく。
「それでは、新しく王都ギルド受付嬢になった私がギルドまで案内します」
イルは歩き出した。ソウタ達もイルについていく。
「ここが王都のギルドか」
それは、始まりの町のギルドとは比べ物にならない程大きい。入り口からは多くの冒険者が出入りを繰り返している。
「登録ついでにスキル割り振りも済ましましょうか」
「いいね~。私もそろそろ新しいスキルが欲しかった頃だし」
「わ、私も。皆さんの役にも立ちたいので」
ソウタ達は、ギルドの中に入っていく。
「私は書類を渡してくるので、皆さんは先に登録を済ませておいて下さい」
イルは、ギルドの裏口に向かった。
「これで登録は終わりです」
ギルドの受付で登録を済ましたソウタ達は、次にスキルアップの為に礼拝堂に向かった。
礼拝堂でユーティリア、カグヤ、レインは祈りを捧げカードを確認する。
「ソウタはしないの ?」
「俺はいいよ、もうスキルMAXだし」
「ソウタ、嘘でしょ ?そんなのあり得ない。ちょっとカード見せて」
ユーティリア達はソウタのカードを確認する。そこには本当にMAXの文字があった。
「ずるいです」
レインがぼそっと呟いた。ソウタはそれを聞いて苦笑いをする。
「皆さーん、終わりましたよー」
礼拝堂に手を振りながらイルがやって来た。
「イルも帰ってきたことだし、宿屋を探しに行きましょうか」
ソウタ達は、ギルドを出て宿屋を探し始めた。
「それで、なんで貴女までいるか説明してもらってもいいですか ?」
ソウタの目の前の宿屋の主人には見に覚えがあった。
「久しぶりですね。最近どうですか、例の彼女とは」
彼女はニヤニヤと笑う。始まりの町で世話になった宿の主だったのだ。
「何もありませんから。それより、どうしているんですか ?」
「君達が王都に行くと聞いて知り合いが少ないと寂しいだろうと思って来たんだよ」
「余計なお世話です」
「でも、正直困ってるでしょ。空いてる宿屋が見つからなくて」
「うっ、それは」
彼女の言うことは当たっていた。ギルドを出たソウタ達は、宿屋を探すもどこも人がいっぱいだと断られた。そこで、全員別れて探しているが未だに見つからない。
「今なら、安くしてあげるよ。どう ?」
「本当に安くしてくれるんですか ?」
「もちろん。まだ誰も住んでないしね」
「他のメンバーを呼んでくるので少し待ってて下さい」
ソウタは、ユーティリア達を探しに走りだした。
ユーティリア達は、思いの外すぐに見つかった。
「宿屋見つけたよ」
「ほんとに !?」
「しかも、主は俺とユーティリアがよく知ってる人だ」
そう言ってソウタは女子メンバーを宿屋に案内した。
「ユーティリアちゃーん、久しぶりだね~」
「あ、ミレイさん。その節は、お世話になりました。お別れの挨拶が出来なくてすいませんでした」
ユーティリアは頭を下げる。
「名前あったんですね。てっきりないもんだと」
ソウタは馬鹿にするように言った。
「そんなわけないじゃないか、失礼だな君は。ミレイ・アシュレイト、これが私の名前だ。そっちの子達は初めてだね」
イルとカグヤ、レインは一緒に礼をした。
「では、荷物を預かっておくから王都を回ってくるといい。きっと楽しいだろう」
「ありがとうございます」
ソウタは礼を言い荷物を置き王都の町へと向かった。
「なんだかあの人、雰囲気変わったな」
「そうかな」
「なんか、前はもっと礼儀正しかったと言うか。ずいぶん喋り方が砕けた喋り方になった気がするんだ」
ユーティリアは前のミレイを思いだそうとする。一方、他のメンバーは話についていけてない。
「まあ、それはそれでいいんじゃない ?話しやすくなったってことだし」
「相変わらずちょっとイラッとするけどな」
「あはは、それはソウタだけだよ」
そんなくだらない話をしているうちに、王都のメイン会場に着いた。
「ここが、王宮。でかいな」
入り口には、数人の門番が立っていて関係者以外は入れないという感じだ。そこから、十数人の騎士らしき人が出てくる。
ソウタは、先頭を歩いていた1人の男と目が合う。直後、その男は騎士達を止めソウタの方に歩いてくる。やがて、ソウタの目の前で止まった。
「貴殿は、ソウタ・ミクニだな。この私と決闘してほしい」
「え、今なんて言いました」
男は呆れて頭を抱える。
「私と決闘してほしいと言ったんだ。いや、正確には貴殿と手合わせ願いたい」
「俺なんかとですか ?」
ユーティリア達は、突然のことで驚きを隠せていない。
「貴殿は、噂について知らないのか ?南の魔王の幹部を1人で倒した強者がいると。貴殿のことだろ ?」
「まあ、多分そうですけど。でも、1人では倒してないです」
「ん、そうなのか。まあ、どちらでも良い。決闘は、受けてくれるのか ?」
ソウタは少し考えた。
「俺なんかで良ければ受けます」
「そうか、では明日ここ王宮前に一時に来てくれ。決闘の場所へは私が案内しよう」
「わかりました」
「それでは私はこれで。明日の決闘、楽しみにしている」
そう言い残して男は、騎士達の元に戻り町へと消えていった。
「ソウタ、ほんとにいいの ?」
ユーティリアが心配そうに聞いてきた。カグヤを除いた他の2人も心配そうにしている。カグヤは、なんだか楽しそうにしている。
「大丈夫だよ、悪い人じゃなさそうだし。今日はもう宿に戻ろうか。旅での疲れを癒そう」
ユーティリア達もそれには納得したようで、ミレイが待つ宿へと向かった。




