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夜空の散歩

私は今、空の上。

ザック様とルーフと一緒に黒狼を町外れへ送っている所だ。


パールは私の部屋で、ふて寝中。

黒豹くんは、騎士団の許可が出るまで我が家の裏の森に滞在することになった。


家の中に居場所を作ろうとも思ったが、


「それは、遠慮するよ。そこまで図々しくないし、パールを口説く応援をしてもらっただけで十分だ。」

「あら。そう?」


私は、それを聞いてちらりとパールを見た。


「…ふん。」


パールはそっぽを向いてしまったが、怒っているような雰囲気は感じられなかった。



「少しずつでも打ち解けてくれると良いけど。」

「ん?どうした?」

「パールのことを思い出していたのです。」

「ああ。どうなるかは見守るしかないな。」

「そうですね。…そうだ。ねぇ、黒狼くん。」

「はい?」

「黒豹くんとは長い付き合いなのかしら?」

「付き合いも何もないです。」

「でも、知り合いなのでしょう?」

「まぁ、同じ森ですからね。」

「どんな子か分かる?」

「臆病者。何度戦いを申し込んでも戦うことをせず逃げますから。」

「そう。」


面倒くさかったのかしら?


「リーナ、見えたぞ。」


森に少し入ったところで、私達は降りた。


「兄貴の主、ありがとうございました。」

「良いのよ。それより、その『兄貴の主』ってやめてほしいわ。」

「しかし…」

「リーナが言っているんだ。」

「はい、兄貴!何と呼べば?」

「リーナは、サリーナと言う名だ。」

「では、サリーナさん!ありがとうございました!兄貴もまた…すぐにでも森へ来てください!」

「…気が向いたら行く。」

「では!…あ、何かある時は遠吠えをしてくれれば、何時でも馳せ参じます。」

「ああ、分かった。」


そして、黒狼は森の奥へと消えていった。


「濃い1日でしたね。」

「そうだな。何日も経ったような気さえしてくる。…夜も遅い。帰ろうか。」

「はい。」

「俺は鍛錬がてら走っていく。」


ルーフがそう言い出した。


「え?遠いわよ?」

「確かに飛ぶより時間はかかるが、速く走る事はできるからな。」


鍛錬か。『駄目だ』といえば聞くとは思うけど…。


「明日、森の訓練場にも行くけど疲れない?」

「こんな事で支障が出るほど疲れない。」

「そうね。…分かったわ。気をつけるのよ。」

「分かっている。」

「街中に行く時に明るくなっていたら、呼ぶのよ。」

「そんなにかからない。」

「迷子になったら、」

「リーナ。家のニオイに向かえば迷子になりようが無い。」

「…そうよね。」

「リーナ。ルーフは大丈夫。」

「ザック様…。分かっています。」

「では、行こうか。」

「はい。…ルーフ、後でね。」

「ああ。後で。」


そして、私達は分かれ、再び空へ飛び立った。


「ザック様。今日はお手数おかけして申し訳ございませんでした。」

「いや、なんてことはないよ。」

「ありがとうございます。…雲もなく、星もきれいですね。」


私達のいるさらに上にはたくさんの星が輝いていた。


「なぁ、リーナ。」

「はい?」

「…少し遠回りをしないか?」

「遠回りですか?」

「ああ。夜の散歩はどうだろう?」


!!


「是非。…ですが、お疲れでは?」

「全然疲れてはいないとは言えないが、それを言ったらリーナもだろう?…あ、また別の日にするか?」

「いいえ。したいです、遠回り。」

「ははは。…では。」


ザック様は手をこちらへ伸ばした。



「触りたかったのだよな?」


忘れてた!


「そ、そうですね。」

「ほら。」


私はザック様の手を取った。

私達は手を繋いだまま、空を飛ぶ。


「もうすぐリックの結婚式か。」

「はい。サラ様の為に準備をしています。喜んでくれると良いのですが。」

「リーナの選んだものなら問題ないだろう。」

「ザック様まで…。」

「ん?」


このセリフ何度目かしら。


サリーナは苦笑いをする。


「皆、期待が過ぎます。」

「期待?…期待というよりは、相手の事を考えられるリーナだから、問題ないとおもったのだが。サラ嬢のことを考えて準備しているのだろう?」

「それは、もちろん。」

「なら、大丈夫だ。」

「はい。」

「それで、式後のエスコートの事なのだが…」

「エスコート?」


………あ!


この世界では、式は家族で行い、その後にお披露目の為、屋敷で立食会を催す。

婚約者がいる場合、エスコートをお願いする事がほとんどだ。


前世では、そんな決まりなかったから忘れてた!


「申し訳ございません。お伺いを立てていませんでした。」


サリーナは焦り、身体のバランスを崩した。


「リーナ!」


アイザックに手を引かれ、抱きしめられる。


「申し訳ございません。」

「俺もすまん。今、話すことではなかった。」

「いえ。私が忘れていたのが悪いのです。」

「…忘れていたのか?」

「はい…。」

「エスコートが必要ないとかではなく?」

「そんな事ありません。前世ではそんな決まりが無かったので失念していました。」

「そうか。」

「申し訳ございません…。」

「そんなに謝るな。………改めて聞く。俺にエスコートさせてくれるか?」

「よろしくお願いいたします。」

「では、後でドレスの色を教えてくれ。」

「はい。明日にでも実物をご覧ください。」

「いや、話だけでいい。見るのは当日に取っておくよ。」

「そうですか?見た方が色が分かりやすいと思ったのですが…。」

「可愛いリーナを楽しみにしとく。」

「まぁ!…あ、では色見本があったと思うので、メルにお願いしておきます。」


確か、生地の切れ端を色見本として置いていってくれていたはず。


「それなら、それを頼もうか。」

「はい。」

「それでは、夜の散歩の続きをしようか。」


私達は、私がバランスを崩したときに抱き合ったままだった。


「あ、ありがとうございました。」


サリーナはアイザックから離れた。


「このまま飛びたい所だけど、俺の力量じゃ、浮いているだけで動けない。…修行しとく。」


できるようになったら、抱きしめられたまま飛ぶの?

私、大丈夫かしら…。





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